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【神話に登場する神の社】伊弉諾神宮

はじめに

イザナギは、古事記で「伊邪那岐神」、日本書紀では「伊弉諾神」と表記される男神である。一方、イナナミは、古事記では「伊邪那美神」、日本書紀では「伊弉冉神」と表記される女神である。

イザナギとイザナミの物語(神話)は、日本神話の中でも特に重要であるとされる。その理由は、彼らの創造の行為は日本列島の国土の成り立ちや、数多の神々の起源を説明するものとなっているからである。

イザナギは、イザナミと共に「国生み」と「神生み」を行い、日本列島や多くの神々を生み出した。しかし、火の神である軻遇突智【かぐつち】を産んだイザナミは、その際に大火傷を負い、その傷が原因で亡くなってしまった。絶望したイザナギは、軻遇突智を切り殺した後、黄泉の国【よみのくに】に行き、亡くなったイザナミを連れ戻そうとしたが、失敗に終わる。

イザナギは、黄泉の国に行った穢れを祓うために禊を行った。その禊の際にも多くの神々が誕生している。禊の最後に誕生したのが、三貴神と呼ばれる天照大神【あまてらすおおみかみ】、月読命【つくよみのみこと】、須佐之男命【すさのおのみこと】である。

「国産み」と「神産み」を果たしたイザナギが、御子神の天照大御神(アマテラス)に高天原の統治を委譲し、自身は淡路島の多賀の地に「幽宮」を構へて余生を過ごしたと記される。その場所が、本稿で紹介する伊弉諾神宮【いざなぎじんぐう】であるとされる。


<目次>
はじめに
伊弉諾神宮
あとがき

伊弉諾神宮

伊弉諾神宮【いざなぎじんぐう】は、日本最古の神社の一つで、伊邪那岐神(イザナギ)と伊邪那美神(イザナミ)の二神を祀る神社である。

記紀には、「国生み」と「神産み」を果たしたイザナギが、御子神の天照大御神(アマテラス)に高天原の統治を委譲し、淡路島の多賀の地に「幽宮」を構へて余生を過ごしたと記される。

その住居跡に御陵が営まれ、聖地として日本最古の神社が創始されたのが、伊弉諾神宮の起源であるとされる。地元では「いっくさん」と呼ばれ、日之少宮・淡路島神・多賀明神・津名明神として崇められたという。

現在の本殿の位置は、明治時代に後背の御陵地を整地して移築されたもので、それ以前は、禁足の聖地であったという。御陵を中心とする神域の周囲には濛が巡らされたと伝えられ、正面の神池や背後の湿地はこの周濛の遺構とされる。

大半の建造物は、明治9年(1876年)から同21年(1888年)にかけて官費で造営されたものであるが、神輿庫及び東西の御門は、旧幕時代の阿波藩主の寄進によるものであるという。

境内の広さは、約15,000坪と広大である。江戸時代の地誌にも「二丁四方の社地を領した」と記されていたという。

「丁」は「町」の略字で、尺貫法の長さを表す単位である。1町=約109.09mとして換算すれば、一辺2町 の正方形の面積は、約47,603平方メートル=約14,400坪となるので、広大な神域を有していたことが分かる。

名 称伊弉諾神宮
御祭神伊邪那岐神
伊邪那美神
所在地兵庫県淡路市多賀
駐車場あり(無料)
Link伊弉諾神宮

あとがき

伊弉諾神宮は、兵庫県淡路市多賀に位置する神社で、日本最古の神社の一つとされている。主祭神は、伊弉諾尊(イナナギ)と伊弉冉尊(イザナミ)で、日本神話の「国産み・神産み」の物語(神話)に登場する主役の二神である。

伊弉諾神宮は、「国産み・神産み」を終えたイナナギが余生を過ごした場所とされ、その御陵(お墓)が神社の起源とされている。この神社は、記紀にも登場し、「淡路国の一宮」として崇敬されてきたという。

伊弉諾神宮の境内には、およそ22mもの高さの大鳥居があり、日本三大鳥居の一つに数えられている。

境内には、夫婦大楠【めおとおおくす】と呼ばれる御神木もある。この御神木は、推定樹齢900年の大楠で、元は二株だったものが一株に成長した珍しい巨樹である。そのため夫婦円満や縁結びのご利益があるとされている。

また、「放生の神池」と呼ばれる池があり、この池ではかつて鳥や魚を放して生命の永続を祈る「放生神事」が行われていたと伝えられている。


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