はじめに
八ヶ岳中信高原【やつがたけちゅうしんこうげん】国定公園は、長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳と松本市東部の美ヶ原を中心とした国定公園である。
八ヶ岳の南東麓に広がる清里高原からは八ヶ岳連峰がよく見える。清里に行くたびに八ヶ岳に登ってみたい衝動を強く感じたものである。
<目次>
はじめに
南八ヶ岳
- 編笠山
- 三ッ頭
- 権現岳
- 赤岳
- 中岳
- 阿弥陀岳
- 横岳
- 硫黄岳
- 赤岩の頭
- 峰の松目
- 夏沢峠(南八ヶ岳・北八ヶ岳の境界)
北八ヶ岳
- 根石岳
- 天狗岳
- 中山
- 丸山
- 麦草峠
- 茶臼山
- 縞枯山
- 北横岳(横岳)
- 大岳
- 双子山
- 大河原峠
- 蓼科山
蓼科高原
霧ヶ峰
美ヶ原
鉢伏山
高ボッチ山
あとがき
南八ヶ岳
山 名 | 標高(m) |
---|---|
編笠山【あみがさやま】 | 2,524 |
三ッ頭【みつがしら】 | 2,580 |
権現岳【ごんげんだけ】 | 2,715 |
赤岳【あかだけ】 | 2,899 |
中岳【なかだけ】 | 2,700 |
阿弥陀岳【あみだだけ】 | 2,805 |
横岳【よこだけ】 | 2,830 |
硫黄岳【いおうだけ】 | 2,760 |
赤岩の頭【あかいわのあたま】 | 2,656 |
峰の松目【みねのまつめ】 | 2,568 |
夏沢峠【なつざわとうげ】 | 2,430 |
編笠山
編笠山【あみがさやま】(標高2,524m)は、八ヶ岳連峰の最南端に位置する山である。山名の由来は、編笠を伏せたなだらかな山容であるとされている。
山頂は森林限界のハイマツ帯で、北斜面に大きな岩塊がある。
三ッ頭
三ッ頭【みつがしら】(標高2,576m)は、八ヶ岳連峰の南端、西岳と権現岳の間にそびえる山である。山頂からは八ヶ岳連峰全体の展望が望める山ではあるが、それも天候次第である。天候が良くなければ何も見えない。山とはそうゆうものである。諦めるしかない。
権現岳
権現岳【ごんげんだけ】(標高2,715m)は、八ヶ岳連峰の南部に位置する山である。天候が良ければ、権現岳の山頂からは南アルプスを一望することができる。
権現岳の北側には赤岳がある。権現岳と赤岳の間は、キレット(鞍部)となっていて一気に落ち込んでいる。
赤岳
赤岳【あかだけ】(標高2,899 m)は、権現岳の北側に位置し、八ヶ岳連峰の最高峰である。山名は山肌が赤褐色であることに由来している。
赤岳の山頂は南峰と北峰に分かれていて、南峰に一等三角点と赤森神社がある。北峰には赤岳頂上山荘がある。南峰とその南側にある権現岳との間はキレット(鞍部)となっている。
赤岳や権現岳は、なだらかな山容の多い八ヶ岳連峰おいて、北アルプス的な岩肌の山容を見せる山岳であると言えよう。
中岳
中岳【なかだけ】(標高2,700m)は、赤岳と阿弥陀岳の間に位置する山である。周辺は森林限界を超えているため展望が良い。
阿弥陀岳
阿弥陀岳【あみだだけ】(標高2,805m)は、赤岳の約1km西に位置し、八ヶ岳連峰では赤岳、横岳に次いで3番目に高い山である。山頂には阿弥陀如来像をはじめとして、多くの講中碑が奉じられている。
横岳
横岳【よこだけ】(標高は2,830m)は、阿弥陀岳の北側に位置し、八ヶ岳連峰では、赤岳に次ぐ高さを誇る山である。
横岳の山頂は奥ノ院とも呼ばれ、山頂付近は小ピークが連続している。赤岳側から順に二十三夜峰、日ノ岳、鉾岳【ほこたけ】、石尊峰【せきそんほう】、三叉峰【さんしゃほう】、無名峰、奥ノ院と呼ばれる。
硫黄岳
硫黄岳【いおうだけ】(標高2,760m)は、横岳の北側に位置する山である。山頂付近はなだらかだが、南北両側は、断崖絶壁となって鋭く切れ落ちている。
赤岩の頭
赤岩の頭【あかいわのあたま】(標高2,656m)は、硫黄岳の西側に位置する山である。山頂付近は森林限界を超えているので、山頂からの赤岳、横岳や阿弥陀岳など八ヶ岳連峰の主峰の展望が良いとされる。
峰の松目
峰の松目【みねのまつめ】(標高2,568m)は、硫黄岳の西側に位置する山である。山頂は樹林帯のため、展望は開けていない。
夏沢峠
夏沢峠【なつざわとうげ】は、八ヶ岳連峰にある峠で、南八ヶ岳と北八ヶ岳の境界に位置する。
北八ヶ岳
山 名 | 標高(m) |
---|---|
根石岳【ねいしだけ】 | 2,603 |
天狗岳【てんぐだけ】 | 2,646 |
中山【なかやま】 | 2,496 |
丸山【まるやま】 | 2,330 |
麦草峠【むぎくさとうげ】 | 2,120 |
茶臼山【ちゃうすやま】 | 2,384 |
縞枯山【しまがれやま】 | 2,403 |
北横岳【きたよこだけ】 | 2,480 |
大岳【おおたけ】 | 2,381 |
双子山 【ふたごやま】 | 2,224 |
大河原峠【おおがわらとうげ】 | 2,093 |
蓼科山【たてしなやま】 | 2,531 |
根石岳
根石岳【ねいしだけ】(標高2,603m)は、北八ヶ岳の最南端に位置する山である。
天狗岳
天狗岳【てんぐだけ】(標高2,646m)は、北八ヶ岳の最高峰である。天狗岳は、北八ヶ岳の特徴であるなだらかな山容とは異なり、南八ヶ岳に近い険しい山容をしている。山頂部は東天狗岳(標高2,640m)と西天狗岳(標高2,646m)の2つのピークに分かれ、東天狗岳の山頂を八ヶ岳の主縦走路が通っている。
中山
中山【なかやま】(標高2,496m)は、八ヶ岳連峰のほぼ中央部に位置する山である。
丸山
丸山【まるやま】(標高2,330m)は、中山と麦草峠の間にある山である。残念ながら山頂は木々に囲まれているため山頂からの眺望は期待できない。
麦草峠
麦草峠【むぎくさとうげ】(標高2,120m)は、北八ヶ岳にある峠で、丸山と茶臼山の間に位置する。
国道299号(メルヘン街道)が麦草峠を通過している。峠付近は比較的なだらかであるが、それを過ぎると両側とも勾配が厳しく、狭いヘアピンカーブが続く。国道299号は、冬場には閉鎖される。
麦草峠付近には白駒の池があるほか、峠をはさんで茅野市方面には蓼科高原が、佐久穂町方面には八千穂高原がある。
茶臼山
茶臼山【ちゃうすやま】(標高2,384m)は、北八ヶ岳に属し、麦草峠の北側に位置する山である。
北側には縞枯現象で有名な縞枯山がある。
縞枯山
縞枯山【しまがれやま】(標高2,403m)は、北八ヶ岳に属し、茶臼山の北側に位置する山である。縞枯れ現象で知られる。
縞枯れ現象【しまがれげんしょう】は、モミ属の亜高山帯針葉樹であるシラビソやオオシラビソが帯状に枯れ、その縞枯れの帯が山頂に向かって長い年月をかけ移動していく現象である。離れて遠くから見ると何列もの白い縞状の模様に見える。このような縞枯れ現象は、縞枯山の他には、蓼科山や北横岳でも見られる。
北横岳
北横岳【きたよこだけ】(標高2,480m)は、北八ヶ岳に属し、縞枯山の北側に位置する山である。北横岳の正式名称は横岳であるが、わずか10kmほど南側(南八ヶ岳)に同名の横岳(標高2,830m)があるために便宜的に北横岳と称されることが多い。
山頂部は、標高は南峰(標高2,472m)と北峰(2,480m)の2つのピークに分かれている。
山頂近辺のごくわずかな一角と「坪庭」と呼ばれる一帯のみが森林限界を超え、ハイマツ帯となっている。坪庭のハイマツ帯の上部に亜高山帯針葉樹林があるという植生の逆転現象が起こっている。その理由として、坪庭周辺がきわめて土壌の乏しい溶岩地帯であると考えられている。
北横岳にも縞枯山と同様に大規模な縞枯れ現象が見られる。
大岳
大岳【おおたけ】(標高2,381m)は、北横岳と双子池(標高 2,021m)の間に位置している山である。
双子山
双子山【ふたごやま】(標高2,224m)は、双子池の北側に位置する山である。山頂はなだらかな丘陵地であり、蓼科山が近くによく見える。
大河原峠
大河原峠【おおがわらとうげ】(標高2,093m)は、北八ヶ岳にある峠で、信濃川水系と天竜川水系の境をなす分水嶺上にある。
大河原峠の頂上を蓼科スカイラインが通過している。また、峠の頂上には大河原ヒュッテ(山小屋)が季節営業をしている。駐車場が設置されており、蓼科山や双子山への登山口になっている。
蓼科山
蓼科山【たてしなやま】(標高2,531m)は、北八ヶ岳の北端に位置する火山である。成層火山によって生まれた山であり、諏訪方面から仰ぐと優美な円錐型に見えることから、「諏訪富士」の別名を有する。
頂上部はブロック状の溶岩で覆われており、樹林が育たず360度の展望がある。そのため八ヶ岳連峰、浅間山、霧ヶ峰、美ヶ原、北アルプスなどの眺望が楽しめる。
蓼科山でも縞枯れ現象が見られるが、南西斜面にのみに限られている。全く不思議な現象と言わざるを得ない。
蓼科高原
蓼科高原【たてしなこうげん】は、蓼科山の南側に広がる高原である。八ヶ岳中信高原国定公園に属し、東に八ヶ岳を望む。
蓼科高原、蓼科中央高原、奥蓼科温泉郷、白樺湖などのエリアに分けられる。国道152号、国道299号やビーナスラインが高原を縦横に貫き、ドライブコースとして眺望が楽しめる。
霧ヶ峰
霧ヶ峰【きりがみね】は、車山を中心にその外輪山と白樺湖、ガボッチョ、強清水、和田峠などに囲まれた高原台地である。
霧ヶ峰の最高峰は車山(標高1,925m)である。車山山頂には気象レーダー観測所があり、360度の展望が素晴らしい。
霧ヶ峰にはニッコウキスゲの群落がある。7月中旬にはニッコウキスゲの開花と見頃を迎える。「ニッコウキスゲの道」と呼ばれる遊歩道も整備されている。
名 称 | 霧ヶ峰 |
所在地 | 長野県諏訪市四賀霧ヶ峰 |
Link | 霧ヶ峰とは | 霧ヶ峰高原観光サイト| 諏訪観光協会 |
美ヶ原
美ヶ原【うつくしがはら】は、長野県のほぼ中央に位置する、山頂付近が平坦な高原台地である。牛の放牧地(美ヶ原牧場)となっている。
美ヶ原には下記の6つのピークがあり、最高峰は王ヶ頭である。
- 王ヶ頭(標高2,034m)
- 王ヶ鼻(標高2,008m)
- 茶臼山(標高2,006m)
- 牛伏山(標高1,990m)
- 鹿伏山(標高1,977m)
- 武石峰(標高1,973m)
美ヶ原からは県内の広範囲を見渡すことができる。特に茶臼山頂上は草原で展望良く、車山や蓼科山方面が近くに見える。
名 称 | 美ヶ原 |
所在地 | 長野県松本市・上田市・長和町の境界 |
駐車場 | あり(無料) |
Link | 美ヶ原高原 ハイキングコース – とっておき信州 |
鉢伏山
鉢伏山【はちぶせやま】(標高1,929m)は、筑摩山地に属する山である。美ヶ原高原の南東に扉峠をはさんで、南側の高ボッチ山とともになだらかな山容を見せる。
鉢を伏せたような姿から「鉢伏山」と呼ばれる。山岳信仰の山であり、西側中腹には牛伏寺【ごふくじ】がある。
牛伏寺【ごふくじ】は、真言宗智山派の寺院で、山号は金峯山【きんぽうざん】と称する。御本尊は十一面観音である。古くから修験道の寺として知られ、県下屈指の規模と文化財を誇る名刹である。
名 称 | 牛伏寺【ごふくじ】 |
所在地 | 長野県松本市内田2573 |
Link | 信州随一の厄除観音 金峯山 牛伏寺 |
高ボッチ山
高ボッチ山【たかボッチやま】(標高1,665m)は、筑摩山地に属する山である。諏訪盆地と松本盆地とを隔てる塩尻峠の北側に位置する。
高ボッチ山から南北に連なる山稜を高ボッチ高原といい、高原の大半がススキの草原で覆われているが、夏にはレンゲツツジやニッコウキスゲが咲く。「ひょうたん池」という名の池もある。
あとがき
私事で申し訳ないが、今でもニッコウキスゲを見るたびに、大学時代の恩師・朝比奈菊雄先生と一緒に散策した霧ヶ峰高原のニッコウキスゲの群落を想い出す。
車山のある霧ヶ峰高原には社会人になりたての頃は、幸運にも毎年のように行く機会があった。当時、毎年7月中旬頃に薬剤学会が主催する「製剤セミナー」が白樺湖の近くにある昭和薬科大学の諏訪校舎で開催されており、会社の上司の勧めで私も参加できたからである。そして、空き時間ができると朝比奈菊雄先生によく車山山頂にあるコロボックル小屋に車で連れて行って頂き、コーヒーをご馳走になった。懐かしくも、忘れることができない楽しかった想い出である。
私たち家族は5月の連休中に北八ヶ岳への登山した経験がある。予想外に登山道の日陰には雪が残っており、幼かった次女を私が抱え、妻が長女の手をつないで無事に下山できたときには安堵したものである。私の腕の内で陽気な次女と、悲壮感を漂わせながらもくもく歩き続ける長女が対照的であり、娘たちが愛しくてならなかったことを想い出す。
【参考資料】
ヤマケイアルペンガイド 八ヶ岳(山と渓谷社、2019.04.17発行) |
八ヶ岳(山と渓谷社、2008.05.22発行) |
霧ヶ峰とは | 霧ヶ峰高原観光サイト| 諏訪観光協会 |
美ヶ原高原 ハイキングコース – とっておき信州 |
信州随一の厄除観音 金峯山 牛伏寺 |