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弘法大師空海の御誕生所「善通寺」

はじめに

善通寺【ぜんつうじ】は、香川県善通寺市にある真言宗善通寺派の総本山であり、弘法大師空海誕生地として知られている。

善通寺は、空海の父で、地元の豪族であった佐伯田公【さえきのたぎみ】(諱【いみな】は善通【よしみち】)を開基として、807年に創建された寺院である。寺号の「善通寺」は、父の諱である「善通」が由来であるとされる。

善通寺は、空海の入唐中の師であった恵果阿闍梨の青龍寺(長安)を模して建立したといわれ、創建当初は、金堂・講堂・大塔など15の堂宇があったという。

空海は、唐から帰国後、善通寺を拠点に真言密教を広めたという。平安時代から鎌倉時代にかけて、多くの信仰を集め、重要な修行の場となった。

戦国時代に戦火によって伽藍が焼失したが、江戸時代に再建された。特に、五重塔は1902年に再建され、現在もその姿が保たれている。


善通寺

善通寺は、「四国八十八箇所霊場」の第七十五番札所であると共に真言宗十八本山の一番札所でもある。さらに金剛峯寺(高野山)や東寺(京都市)と共に「弘法大師三大霊場」に数えられている。

善通寺は東院(伽藍)と西院(誕生院)に分かれており、広大な境内には多くの歴史的建造物がある。

善通寺の御本尊は薬師如来であり、健康と長寿を祈るために多くの参拝者が訪れる。金堂(本堂)は、1699年に再建された建物であり、御本尊の薬師如来坐像が祀られている。御本尊の周りを後ろまで回って間近に拝観できる。かつて金堂の背後には講堂もあったらしいが、残念ながら消失したため現存していない。

御影堂大師堂)の拝殿・奥殿は、1831年に建立され、1937年に改修された建物である。「弘法大師御誕生所」とされている。

御影堂前回廊は、1915年に建立された全長9間の回廊である。この回廊には空海の生涯を表した17枚の絵が掲げられ、その上部には十二支の動物と鳳凰の彫物が施されている。

善通寺の五重塔は高さが43m(礎石上〜相輪頂上)もあり、日本で3番目に高い木造塔である。現在の五重塔は4代目(1902年完成)であり、五智如来の内4如来が1層に中尊大日如来は5層に祀られているという。

仁王門は、西院(誕生院)の正門で、門の正面左右には金剛力士像(仁王像)が安置されている。現在の建物は1889年に再建されたものであるが、金剛力士像は南北朝時代の1370年に製作されたものであるという。

納経所は、西院(誕生院)にあり、仁王門を入ってすぐ右に進んだ位置に建っている。この納経所の大草鞋は、仁王門の金剛力士像が持つ力強さと関連して、参拝者が無事に巡礼を終えることを願う象徴とされているらしい。参拝者の安全祈願のために奉納されたものであるという。

正覚門は、善通寺の西院(誕生院)にある山門で、西院にかかる済世橋と共に1978年に建設された。この山門は、参拝者用駐車場に最も近い場所に位置する。

善通寺には国宝や重要文化財が多数あり、特に金銅錫杖頭や一字一仏法華経序品が有名である。

名 称五岳山 善通寺
所在地香川県善通寺市善通寺町 3-3-1
TEL0877-62-0111
駐車場あり(無料)
Link総本山善通寺 – 四国霊場第75番札所

あとがき

善通寺の境内には、2本の大楠がある。それぞれに「大楠」と「五社明神大楠」と名付けられている。これらのクスノキの巨樹は共に樹齢が1,500年以上と推定されている。弘法大師空海が誕生した頃からすでに生い茂っていたと伝えられており、香川県の天然記念物に指定されている。

大楠の樹高は約29mで、幹周りは約12.4mもある。一方、五社明神大楠の樹高は約40mで、幹周りは約10mである。

非常に残念なことに、実のところ私はこれらの御神木を目にしていない。その理由は、善通寺に参拝したのは夕方であり、ゆっくりと参拝できなかったからである。次回、参拝する際にはゆとりをもって参拝し、御神木の大楠五社明神大楠も是非、この目で見てみたいものである。


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