◆ はじめに
「よこね田んぼの棚田」は、長野県飯田市千代地区に広がる美しい棚田で、「日本の棚田百選」や「信州田園風景25選」にも選ばれている名景である。周囲は豊かな緑に包まれ、山里ならではの静けさと自然の息づかいが感じられる。棚田と周囲の景観が織りなす風景は、訪れる人の心に深い印象を残す。
この「よこね田んぼの棚田」へは、奥天龍不動温泉・佐和屋から車でおよそ10分とアクセスも良い。本稿では、この棚田が持つ魅力と、千代の里に息づく日本の原風景について紹介したい。
よこね田んぼの棚田
「よこね田んぼの棚田」は、長野県飯田市千代地区に位置する美しい棚田である。戦国時代から江戸時代に水田開発された110枚からなる棚田で、総面積は約3haと言われている。

「よこねのねこよ」
棚田の名称の由来は、地名が「よこね」であったからという説、田んぼの形が横に長く曲がりくねっているため「横畝【よこうね】田んぼ」と呼ばれていたという説などの諸説があるが、明確な由来は不明のままであるらしい。

この棚田は、美しく豊かな自然に囲まれた「千代の里」にあり、昔懐かしい田園風景が魅力的である。棚田の周囲には民家などがなく、日本の原風景と呼ぶにふさわしい景観が広がっており、四季折々の風景が楽しめる。春には水田の水面にくっきり空が映り、秋には実った稲穂が黄金色に輝くという。

「よこね田んぼの棚田」の下段の中央辺りには展望台(見晴らし山)への遊歩道の入口がある。遊歩道は、階段や急な坂道ではあるが、5~10分で到着するはずである。展望台から眺める棚田の風景はまた違った印象を見せてくれるに違いない。

また、「よこね田んぼの棚田」では、四季折々のイベントも開催されているようだ。初夏には畦塗りや田植えがあり、秋には稲刈りのイベントも開催されているという。特に、毎年夏(7~9月)には、「かかしコンテスト」が開催されているようだ。

「よこね田んぼの棚田」の特徴は、様々な体験事業が実施されていることであろう。例えば、地元の保育園や小・中学校の児童や生徒向けの体験授業をはじめ、都会の生徒の体験修学旅行や企業の新人研修の場としても活用されているらしい。棚田の自然や文化に触れる体験ができるのは良いことである。

棚田は、景観として美しい印象がある反面、耕運機やトラクターなどの耕作用機械が入りにくいこともあり、高齢化や過疎化が進む山間地で水田を維持することは年々難しくなっているという。

この「よこね田んぼの棚田」も地元のボランティアによる保全活動によって支えられているようだ。日本の原風景ともいうべき棚田の多くが農業従事者の高齢化や後継者不在などによって遊休化が目立つようになっている。

この棚田でも全体の約4割が休耕田となっていたが、平成9年(1997年)に地元自治会と環境保全推進協議会が立ち上がり、平成10年2月に「よこね田んぼ保全委員会」を発足させて計画的に復田作業を実施しながら棚田の保全活動に取り組んでいるという。

是非、この美しい棚田を千代地区の財産としてだけでなく日本の宝として後世に受け継いでいってもらいたいと願う。
| 名 称 | よこね田んぼの棚田 |
| 所在地 | 飯田市千代芋平・野池地籍 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | よこね田んぼ 日本棚田百選 よこね田んぼの棚田 | 信州 よこね田んぼ | 棚田NAVI |
◆ あとがき
「よこね田んぼの棚田」の魅力は、「日本の棚田百選」に選ばれた美しい棚田であるという点だけにとどまらない。
この棚田では、畦塗りや田植え、かかしコンテスト、稲刈りなど、年間を通して多彩なイベントが行われている。特に夏の「かかしコンテスト」はユニークで、地元の人々だけでなく観光客も楽しめる催しとして知られている。
もちろん、イベントだけが魅力ではない。季節の移ろいとともに表情を変える棚田の風景は、訪れるたびに新しい発見を与えてくれる。5月の田植えから9月の稲刈りまでの約5カ月間、初夏の水鏡、盛夏の緑、秋の黄金色と、四季折々の美しさを堪能できる。特に秋には、金色に輝く稲穂と休耕田に咲くコスモスが織りなすコントラストが見事だといわれている。
さらに、この棚田はアクセスの良さも魅力の一つである。飯田山本I.C.からは車で約20分、飯田I.C.からでも30分ほどで到着できる。奥天龍不動温泉・佐和屋からはわずか10分と、旅の途中に立ち寄るにも最適な距離だ。「よこね田んぼの棚田」が多くの人に親しまれる観光地となっている理由がよく分かる。