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  • 立山室堂・黒部ダム・宇奈月温泉を歩く──雲上の絶景と峡谷美、透明温泉に出会う旅

    目次
    はじめに
    立山室堂
    みくりが池
    室堂平散策
    黒部ダム
    黒部峡谷
    黒部峡谷鉄道
    黒部峡谷展望ツアー
    欅平の散策
    猿飛峡
    宇奈月温泉
    宇奈月温泉街周辺の散策
    あとがき

    はじめに

    立山駅から黒部ダムへ向かうには、いくつもの乗り物を乗り継いで進む必要がある。 最初は 立山ケーブルカー(立山駅〜美女平) に乗り、美女平からは 高原バス に乗り換えて室堂へ向かう。次に、室堂から大観峰までは 立山トンネルトロリーバス(現在は電気バス)に乗車し、大観峰から黒部平へは 黒部ロープウェイ、そして最後に 黒部ケーブルカー(黒部平〜黒部湖)に乗って黒部ダムへ到着する。まさに“山岳ルートを縫うように進む旅”であり、労力も交通費もそれなりに必要となる。

    もし大観峰や室堂に立ち寄らず、黒部ダムだけを目指すのであれば、長野県側の 扇沢駅 から向かうほうがはるかに便利である。関電トンネル電気バスに乗るだけで、黒部ダムに直接到着できるからだ。

    とはいえ、たまには公共交通機関を利用して旅をするのも悪くない。私は普段、旅の移動には自家用車かレンタカーを使う。荷物を気にせず“手ぶらで移動できる自由さ”が好きだからだ。今回の旅でも車を利用したが、立山駅から先は一般車両の通行が禁止されているため、必然的に公共交通機関を利用することになった。

    同じことは欅平へ向かう際にも言える。宇奈月温泉から先は 黒部峡谷鉄道を利用するしかない。しかし、こうして自分で運転しない旅を経験してみると、公共交通機関に身を委ねる旅の良さにも気づかされる。移動そのものが旅の一部となり、学びの場にもなるのだと改めて感じた。

    高い場所が苦手な私は、ロープウェイにはどうしても慣れないが、それもまた旅の思い出の一つである。


    立山室堂

    立山室堂は、富山県と長野県を結ぶ立山黒部アルペンルートの中心に位置し、標高2,450メートルに広がる日本有数の山岳景勝地である。古くから立山信仰の拠点として栄え、山岳修験の行者たちが行き交った歴史を今に伝えている。

    周辺には、立山火山の活動を感じさせる地獄谷や、エメラルド色の水を湛えるみくりが池など、自然の造形美が点在する。 遊歩道が整備されているため、山岳初心者でも無理なく散策でき、立山の自然を身近に感じられるのも室堂の魅力である。

    また、室堂ターミナルは日本最高所の交通拠点として知られ、ここから大観峰や黒部ダムへと続く山岳ルートの旅が始まる。山の天気は変わりやすいが、その一瞬一瞬が旅の記憶を深く刻んでくれる。


    みくりが池

    みくりが池は、立山室堂の中心部に位置する火山湖で、標高約2,405メートルに静かに広がる紺碧の湖である。約1万年前の立山火山の噴火によって形成された周囲約630メートルの湖は、北アルプスでも屈指の美しさを誇り、“立山室堂の象徴”とも呼ばれている。

    みくりが池

    湖面は晴れた日には深い青色をたたえ、風のない朝には立山連峰が鏡のように映り込む。その光景は、訪れる者の足を自然と止め、しばし静寂の中に身を置かせるほどの美しさである。周囲には遊歩道が整備されており、30分ほどの散策で湖を一周できるため、山岳初心者でも無理なく楽しめる。

    みくりが池

    みくりが池周辺は、立山火山の活動を感じさせる地獄谷や、夏に咲き誇る高山植物の群落など、自然の造形美が凝縮されたエリアでもある。雪解けの季節には残雪と青い湖面の対比が鮮やかで、夏は緑と花々が彩りを添え、秋には澄んだ空気の中で山肌が色づく。季節ごとに異なる表情を見せるため、何度訪れても新しい発見がある。

    みくりが池は、立山室堂の雄大な自然を最も身近に感じられる場所であり、“雲上の静けさ”を味わうには格好のスポットである。
    訪れる者は、湖面に映る空と山々を眺めながら、自然の大きさと時間の流れのゆるやかさをそっと感じ取ることができる。

    室堂ターミナルから舗装された遊歩道を歩いていくと美しいみくりが池が姿を現し、紺碧の湖面に雄大な立山を映し出してくれる。みくりが池は、まさに室堂のシンボルになっている。

    名 称 みくりが池
    所在地立山町芦峅寺ブナ坂外11国有林
    Linkみくりが池温泉

    室堂平散策

    室堂平は、立山連峰を間近に望む雄大な景観が魅力で、雄山・大汝山・富士ノ折立の立山三山が堂々とそびえ立つ。 夏には高山植物が咲き誇り、秋には澄んだ空気の中で山肌が色づき、冬から春にかけては雪の大谷が巨大な雪壁をつくり出す。 四季それぞれに異なる表情を見せる、まさに“雲上の別世界”である。

    室堂平は、雄大な山々と静寂に包まれた高原が織りなす、心洗われるような場所である。 訪れる者は、自然の大きさと人の営みの小ささをそっと感じながら、雲上の時間を味わうことができる。

    室堂平は、標高2,450メートルに広がる立山室堂の中心エリアで、立山連峰を間近に望む“雲上の高原”である。立山黒部アルペンルートの中でも最も人気の高い散策スポットで、雄大な山々と高山植物、火山地形が織りなす多彩な風景を、歩きながらゆっくり味わうことができる。

    散策路はよく整備されており、みくりが池やみどりが池、地獄谷など、立山の自然を象徴する景観が点在する。晴れた日には、雄山・大汝山・富士ノ折立の立山三山が堂々とそびえ、風のない朝には山影が池に映り込む。夏にはチングルマやハクサンイチゲなどの高山植物が咲き誇り、秋には澄んだ空気の中で山肌が色づく。季節ごとに異なる表情を見せるため、何度訪れても新しい発見がある。

    また、室堂平は立山火山の活動を感じられる場所でもある。地獄谷からは噴気が立ち上り、足元から大地の鼓動が伝わってくる。
    自然の厳しさと美しさが同居する風景は、山岳地帯ならではの迫力を感じさせる。

    標高が高いため天候は変わりやすいが、その一瞬一瞬が旅の記憶を深く刻んでくれる。ゆっくりと歩きながら、雲上の静けさと立山の大きさを全身で感じられるのが、室堂平散策の魅力である。

    立山室堂の雪渓の下から湧き出る、立山玉殿の湧水は「日本三名水」のひとつにも数えられる名水である。標高2,450メートルという高地で、万年雪がゆっくりと溶け、長い年月をかけて自然に濾過されることで生まれる水は、雑味がなく、驚くほど澄んだ味わいを持つ。

    湧水の名にある「玉殿」とは、立山信仰における神聖な場所を指し、古くから山岳修験者たちが立山を登拝する際、この湧水を“霊水”として大切にしてきた歴史がある。現代でも、室堂ターミナル近くに設けられた給水所では、訪れる人々がペットボトルに水を汲み、旅の記念として持ち帰る姿が見られる。

    玉殿の湧水は、立山の厳しい自然環境が育んだ“山の恵み”そのものである。ひんやりとした水を口に含むと、雪渓の冷たさと大地の清らかさがそのまま伝わってくるようで、歩き疲れた身体に静かに染みわたる。立山室堂を訪れたなら、雄大な景色とともに、この湧水の清らかさもぜひ味わいたい。自然が長い時間をかけて育んだ一滴が、旅の記憶に静かに深い余韻を残してくれる。

    名 称 室堂平
    所在地立山町芦峅寺字ブナ坂外11国有林
    Link室堂平で雲上散策

    黒部ダム

    日本各地に点在する有名な人造湖は、国立公園や国定公園の一部を構成していたり、それ自体が観光地になっていたりする。黒部湖黒部ダム湖)もその一つであり、中部山岳国立公園の一部に指定されている。

    黒部湖は、北アルプスの立山連峰と後立山連峰に挟まれた黒部渓谷にあるため自然の景観が良く、立山黒部アルペンルートのハイライトとして多くの観光客が訪れる観光名所となっている。

    日本一のダム湖(人造湖)と称される黒部湖黒部ダム湖)【富山県立山町】

    黒部ダムは、一度は見てみたいと長らく願っていて、ようやくその機会を得ることができたダムである。学生時代や社会人になりたての頃、登山をしていても遠くから眺めていただけなので、ダムを間近で見ることができた時は感動ものであった。

    近くで見る黒部ダムの豪快な放水は掛け値なしに圧巻! 虹も撮ることができ感激!

    黒部ダムは、富山県東部の長野県境近くの黒部川上流に関西電力が建設したコンバインダム(複数の形式を組み合わせて建設されるダムを指す)である。黒部ダムは、実は単純なアーチ型コンクリートダムではなく、ウイング部は重力式コンクリートダムであるという。

    理由は、建設途中で両岸の基礎となる岩盤を再調査したところ亀裂が見つかり、予想以上に脆いことが判明したため、設計変更をしたからである。両側がウイング状に変更となり、アーチ部を川下に向かって傾斜させることにより、水圧を両岸に逃がすのではなく、下向きの力へと変化させることでダム下部の岩盤に支えさせる構造となっているという。

    黒部ダムは、黒部渓谷に建設された日本を代表するダムの一つであり、水力発電専用ダムで貯水量2億立方メートル、高さ(堤高)186メートル、幅(堤頂長)492メートルの規模を誇る。

    日本で最も堤高の高いダムとして知られ、黒部ダムの完成により、北陸地方屈指の人造湖「黒部湖」が誕生し、ダム湖百選にも選ばれている。

    終戦(1945年)以降、日本の電力需要の大半は水力発電所によって賄われていたが、渇水になると各地で停電が相次いていた。関西地方では、1951年の秋に深刻な電力不足に陥り、一般家庭で週3日の休電日が設けられたが、休電日に関わらず連日のように停電していた。

    こうした状況は高度経済成長期を迎えた1955年以降も続き、工場で週2日、一般家庭では週3日、電力使用制限が行われていたという。このように関西地方では深刻な電力不足により、戦後復興の遅れと慢性的な計画停電が続き、深刻な社会問題となっていた。

    決定的な打開策として、関西電力は、大正時代から過酷な自然に阻まれ何度も失敗を繰り返した黒部峡谷での水力発電以外に選択肢はないと考えた。

    当時、人が行くこと自体が困難で命がけだったその黒部川上流という秘境の地でのダム建設案に、当時の太田垣社長は「黒部しかない。関西の消費電力を一気に賄える。工期7年、遅れれば関西の電力は破綻する」と決断し、資本金の3倍(最終的には5倍)の総工費で臨んだという。

    工事は難航を極め、多くの犠牲者も出たという。事期間中の転落やトラック、トロッコなど労働災害による殉職者は171人にも及び、建設現場以外でも、宿舎(飯場)が雪崩の被害を受け87名が犠牲(死亡)になったという。作業員延べ人数は、1,000万人とされる大工事であったことには間違いない。

    黒部ダムの完成当時、大阪府の電力需要の50%(25万kW)を賄ったとされ、産業も重工業への転換がようやく可能になった。(引用:ウキペディア)

    このように原子力発電や火力発電が普及していない時代にあって、黒部ダムの水力発電は多大な貢献をしたと言える。

    2006年時点での土砂堆積率は14%であり、ダム本体の耐久性と併せて考えると、これからも約250年はダムとして機能すると推定されているらしい。(引用:ウキペディア)

    黒部ダムには観光で訪れたが、このダムの建設に尽力した人々への感謝と黒部ダムの電力供給への貢献の大きさも忘れないようにしたいものである。

    名 称黒部湖黒部ダム
    所在地富山県立山町
    Link黒部ダム

    黒部峡谷

    黒部峡谷は、立山連峰と後立山連峰の間を北上する黒部川が花崗岩質の岩肌を浸食して形成したV字谷であり、日本一深い急峻な谷として知られている。

    黒部川は、北アルプス中央部に位置する鷲羽岳に源流があり、距離にして約86kmの道程を経て日本海に注ぎ込む。黒部川は標高差3000 mを流れ下るため黒部川の上・中流域には浸食によって深く刻み込こまれたV字峡が形成されている。それが日本一の大峡谷と呼ばれる黒部峡谷である。

    その景観の美しさと自然保護の観点から中部山岳国立公園に指定されている。


    黒部峡谷鉄道

    黒部渓谷のトロッコ列車は、元々はダム建設資材を運ぶ鉄道として誕生したものであるが、観光客の増加に伴い一般客にも開放されるようになったという経緯がある。

    黒部峡谷鉄道宇奈月駅

    黒部峡谷鉄道は、関西電力の専用鉄道を一般客にも開放した路線で、一般客が利用可能な全ての列車にオープン客車(後部6両がトロッコ車両)が連結されている。宇奈月駅は、黒部峡谷鉄道の始発駅である。

    黒部峡谷鉄道先頭車両

    宇奈月駅から欅平駅までの約20kmの区間は一般の観光客も乗ることができる。

    欅平【けやきだいら】は宇奈月温泉の南に位置し、黒部ダムとの間に延びる登山道、下ノ廊下水平歩道の北の起点になっている場所である。ここに行くには黒部峡谷鉄道を利用するしかない。

    黒部峡谷鉄道トロッコ車両

    黒部峡谷鉄道が一般観光客にも開放されたおかげで、欅平は登山口としての役目だけでなく、観光地そのものになっており、多くの観光客がロコッコ列車に乗って訪れている。

    黒部渓谷に沿って走る黒部峡谷鉄道

    黒部峡谷鉄道は黒部峡谷に沿って走っているので必然的に途中、いくつもの橋やトンネルを走り抜ける。

    橋やトンネルなしでは列車を開通できないほどに黒部峡谷はV字に切立っているということが実感できる。ちなみに、私は数えることができなかったが、途中には22の橋と41のトンネルがあると言われている。

    黒部峡谷鉄道にはトンネルが多いトンネル内を通過中の電車
    単線のため待機中対向列車がホームに入線してきたのでシャッターを切った

    下の写真は宇奈月駅を出発して間もない頃のものである。赤い鉄橋(山彦橋)は徒歩で渡ることができ、宇奈月温泉に滞在した際の散策コースにもなっている。

    新山彦橋を走行中の景色黒部川に架かる山彦橋が間近に見える

    黒部峡谷には黒部ダム以外にもダムがあるため、黒部峡谷鉄道の沿線にも人工湖(うなづき湖;宇奈月ダム湖)がある。エメラルドグリーンの水面に赤色の鉄橋(湖面橋)が映える。思わずシャッターを押してしまう。

    黒部峡谷鉄道車窓の景色うなづき湖(宇奈月ダム湖)に架かる湖面橋

    列車の車窓から見える景色の中でも印象に残っているのが下の写真に写る用水路橋である。トロッコ列車に乗ったからこそ味わえる私にとっての絶景の一つである。自画自賛かも知れないが、黒部峡谷を象徴するような一枚になったのではないだろうか。

    黒部渓谷用水路橋(黒部峡谷鉄道・車窓からの撮影)

    冬季は雪のため列車は走らない。そのため関西電力の電力保全職員は専用の冬季歩道を歩いて目的地に行くという。下の写真の左前方から奥に続くのがその冬季歩道である。黒部峡谷鉄道が元々は関西電力が資材と職員の運搬用に運行していることを改めて認識する機会となった。

    冬季歩道(左前方から奥に続く)
    名 称黒部峡谷鉄道
    所在地黒部市黒部峡谷口11(宇奈月温泉駅)
    駐車場あり(有料)
    Link黒部峡谷鉄道トロッコ電車

    黒部峡谷展望ツアー

    私は「黒部ダムの見学」がメインであったが、妻のお目当ては「黒部渓谷展望ツアー」に参加することであった。

    黒部峡谷展望ツアーは、富山県の深い山あいに刻まれた黒部峡谷を、さまざまな角度から眺めることができる人気の観光プログラムである。

    黒部峡谷鉄道の車窓から見る景色とは異なり、展望台や遊歩道から“上から見下ろす峡谷美”を味わえるのが、このツアーの大きな魅力である。

    黒部川が長い年月をかけて削り出した深いV字谷は、まさに日本有数の大峡谷。切り立った岩壁、豊かな原生林、そして谷底を流れる清流が織りなす風景は、季節ごとに全く違う表情を見せる。

    新緑の季節は山肌が柔らかな緑に包まれ、夏は深い森の濃淡が美しく、秋には紅葉が峡谷全体を鮮やかに染め上げる。

    展望ツアーでは、複数のビュースポットを巡りながら、黒部峡谷の地形や自然環境についてガイドから解説を受けられる。

    険しい地形ゆえに人の手がほとんど入らず、原生林がそのまま残る黒部の自然は、訪れる者に静かな感動を与えてくれる。

    また、展望台からは黒部峡谷鉄道のトロッコ列車が小さく見えることもあるという。峡谷を走る列車の姿は、まるで山の懐を縫うように進む“風景の一部”として心に残るだろう。

    黒部峡谷展望ツアーは、歩いて、眺めて、耳を澄ませて、黒部の自然を全身で感じる時間である。

    深い峡谷の静けさと、手つかずの自然が持つ力強さに触れることで、旅の記憶に深い余韻が残るだろう。

    黒部川が長い年月をかけて刻んだV字谷は、日本でも屈指の深さを誇る。展望台から見下ろすと、切り立った岩壁と谷底の清流が一望でき、まさに“山の懐に抱かれる”ような迫力がある。

    トロッコ列車は“谷底から見上げる黒部”であるが、展望ツアーは“上から見下ろす黒部”。視点が変わるだけで、同じ峡谷がまったく別の表情を見せてくれる。

    展望台や遊歩道を歩きながら、風の音、川のせせらぎ、鳥の声に耳を澄ませる――黒部峡谷展望ツアーは、自然の中で静かに過ごす時間そのものが魅力である。

    黒部峡谷は地形が険しいため、人の手がほとんど入っていない。
    展望台から眺める原生林は、まさに“日本の秘境”そのもの。深い森の静けさと、自然が持つ力強さを全身で感じられる。

    ツアーガイドが黒部の地形、植生、歴史、電源開発の背景などを丁寧に説明してくれるので、ただ眺めるだけでなく、“黒部という土地がなぜ特別なのか”を知ることで、景色の見え方が変わる。

    黒部峡谷展望ツアーは、黒部峡谷鉄道とはまた違う“上から眺める黒部”の魅力が詰まった体験である。

    参考:黒部峡谷パノラマ展望ツアー|北陸支社|関西電力

    どの季節に訪れても、自然の色彩がダイナミックに変化し、写真では伝わりきらない美しさがある。

    名 称 黒部峡谷パノラマ展望ツアー
    Link黒部峡谷パノラマ展望ツアー|北陸支社|関西電力

    欅平の散策

    黒部渓谷鉄道が一般観光客に開放されてから欅平駅周辺は一大観光地になって賑わっている。欅平は、黒部峡谷鉄道の終点に位置する峡谷の奥座敷で、深い山々と清流に抱かれた静かな散策スポットである。

    駅を降りると、まず耳に届くのは黒部川のせせらぎと、山の風が木々を揺らす音。標高600メートル前後の谷底に広がるこの地は、険しい地形ゆえに人の手がほとんど入らず、黒部の自然が最も素朴な姿で残されている。

    遊歩道はよく整備されており、猿飛峡奥鐘橋人喰岩 など、黒部峡谷を象徴する景観が点在する。 特に奥鐘橋から見下ろすエメラルド色の黒部川は、峡谷の深さと水の透明感を一望できる絶景である。

    四季折々の景色も欅平の大きな魅力である。新緑の季節は山肌が柔らかな緑に包まれ、夏は深い森の濃淡が美しく、秋には紅葉が峡谷全体を鮮やかに染め上げる。どの季節に訪れても、黒部の自然が静かに語りかけてくる。

    欅平の散策は、黒部峡谷の奥深さと静けさを全身で味わう時間である。歩きながら、自然の大きさと人の営みの小ささをそっと感じる――そんな旅の余韻を残してくれる場所である。


    猿飛峡

    黒部峡谷鉄道の終着駅、欅平駅で降り、徒歩で行った先にあるのが景勝地になっている猿飛峡【さるとびきょう】である。上流は黒部ダム直下から下流は東谷合流地点までの地域と、下流の奥鐘山の大断崖と猿飛の地域が飛地として指定されている。猿飛峡は、黒部川本流で最も川幅が狭くなった場所で、昔猿が飛び越えたことから命名されたとされる。

    黒部川は日本でも屈指の透明度を誇る。 猿飛峡では、狭い谷間を勢いよく流れる水が光を反射し、 エメラルド色や深い青色に輝く瞬間がある。水の色の変化を眺めるだけでも心が澄んでいく。

    黒部渓谷・猿飛峡

    猿飛峡の周囲は、切り立った岩壁がそびえ、黒部峡谷の“手つかずの自然”を最も強く感じられる場所である。岩肌の模様や削られた跡を眺めていると、黒部川がどれほどの力でこの谷を刻んできたのかが伝わってくる。

    猿飛峡は、黒部峡谷の“核心”とも言える場所で、 深い谷・迫る岩壁・伝説・透明な水 が一体となった、静かで迫力ある景観が魅力である。欅平散策の中でも、ぜひ足を運びたいスポットだと思う。

    猿飛峡への遊歩道はよく整備されており歩きやすかった。

    猿飛峡は、黒部川が最も狭まる場所として知られ、かつて猿が飛び越えたという伝説が残る。岩壁が迫るように立ち並び、黒部の地形の険しさを間近に感じられるスポットである。

    猿飛峡は、黒部川が長い年月をかけて岩盤を削り、川幅がわずか数メートルにまで狭まる黒部峡谷の象徴的な場所である。 両岸の岩壁が迫り、谷底を流れる水の勢いが間近に感じられる。この“圧縮された地形”こそが、黒部の険しさを物語っている。

    欅平には奥鐘橋や人喰岩など見どころが多いが、 猿飛峡はその中でも特に、 自然の力強さ・地形の険しさ・水の勢い が一度に味わえる場所である。歩いて辿り着くからこそ、峡谷の奥深さがより強く心に残る。

    名 称猿飛峡
    所在地黒部市黒部峡谷口
    Link黒部峡谷附猿飛・奥鐘山

    宇奈月温泉

    宇奈月温泉【うなづきおんせん】は、富山県黒部市にある温泉地である。大正時代に黒部川の電源開発をきっかけに温泉を引くことに成功したことで誕生した比較的新しい温泉地であるが、すでに100年近くも経ている。かつては無人の地であったというが、今では日本一の透明度と高い美肌の湯として知られ、人気の温泉地の一つとなっている。

    宇奈月温泉は、黒部峡谷のトロッコ観光(黒部峡谷鉄道)の玄関口としても全国的に知られている。宇奈月温泉駅前(富山地方鉄道)には温泉水を利用した噴水があり、宇奈月温泉のシンボル的存在の一つになっている。

    泉質と効用

    宇奈月温泉の源泉は、すべて黒部川上流にある黒薙温泉【くろなぎおんせん】からの引湯となっている。源泉温度は90℃以上もあり、かなりの高温である。

    湯量も豊富で、1日に3,000トンも湧く湯量も宇奈月温泉の自慢の一つにはなっている。そのため引湯とは言え、源泉かけ流しになっているのは嬉しい。

    宇奈月温泉の自慢は、清らかに澄んだ湯であり、日本一の透明度とも言われている。本当に日本一かどうかは別にしても、日本屈指の透明度であることには相違ない。

    泉質は、弱アルカリ性の単純温泉である。「美肌の湯」として知られている温泉である。

    筋肉痛、五十肩、神経痛、関節痛や慢性消化器病などに効能があるとされている。


    宇奈月温泉は、黒部峡谷の玄関口として知られる温泉街で、清流・黒部川に寄り添うように広がる静かな湯の町である。無色透明の美しい湯は“美肌の湯”として親しまれ、街を歩くと、川のせせらぎと温泉の湯気が旅人をやさしく迎えてくれる。


    温泉街

    宇奈月温泉街は、黒部川の渓谷沿いに、多くの旅館や保養所が立ち並んでいる。

    宇奈月温泉街には、美味しいスイーツや黒部のご当地グルメを提供するお店が11店舗もあり、散策途中や帰りに立ち寄ることができる。

    名 称宇奈月温泉
    所在地黒部市宇奈月温泉
    Link宇奈月温泉/富山県の観光
    宇奈月まち歩き | 宇奈月温泉

    宇奈月温泉街周辺の散策

    新山彦橋は、宇奈月温泉街からほど近い場所に架かる赤いアーチ橋で、黒部川の清流と深い山々を背景にした美しい景観が魅力の散策スポットである。周辺の緑に赤色の橋は映えるので、思わずシャッターを押してしまう。

    新山彦橋は、黒部峡谷鉄道のトロッコ列車が走る旧山彦橋と並ぶように架けられており、橋の上からは列車が峡谷を進む姿を間近に眺めることができる。

    新山彦橋の魅力のひとつは、トロッコ列車との“共演”である。橋の上で待っていると、峡谷へ向かう列車がゆっくりと走り抜け、鉄橋の音が山々に反響する。その響きが“山彦”の名の由来とも言われ、黒部峡谷ならではの旅情を感じさせる瞬間である。私は、残念ながら、時間の余裕がなくて、トロッコ列車とのコラボ写真を撮ることはできなかった。次の機会にはチャレンジしたいと思う。

    橋の周辺には遊歩道が整備されており、黒部川の透明な流れを見下ろしながらゆっくりと歩くことができる。川面は天候や時間帯によってエメラルド色から深い青へと表情を変え、山の緑と赤い橋が鮮やかなコントラストを描く。風が穏やかな日には、川のせせらぎと鳥の声が響き、温泉街のすぐそばとは思えないほどの静けさに包まれる。

    新山彦橋周辺の散策は、 黒部川の清流・山の静けさ・トロッコ列車の旅情がひとつに溶け合う、宇奈月温泉ならではの心ほどける時間である。温泉街から気軽に歩ける距離にあり、旅の合間にそっと立ち寄りたい場所である。


    あとがき

    好天に恵まれ、念願だった黒部ダムを間近に見ることができたのは、本当に幸運であった。 遠方への旅は天候に左右されやすく、良くも悪くも“運次第”のところがある。今回はその運が味方してくれたと言えるだろう。

    一方で、室堂から望む立山連峰は、曇り空のためにくっきりとした姿を見ることができなかった。 山の天気は夏でも変わりやすく、自然の気まぐれには逆らえない。 それもまた、山旅ならではの一場面として心に残る。

    黒部峡谷鉄道の旅では、車窓から深い峡谷の景色を存分に楽しむことができた。 いつの日か、紅葉に染まる季節の黒部峡谷も訪れてみたいと思う。

    今回の旅は、目的地への移動の多くを公共交通機関に頼るという、私たち夫婦にとっては珍しい旅であった。 しかし、いつもとは違う移動手段を選んだことで、思いがけない発見や楽しさもあった。 自分で運転しなくてもよい旅には、また別の良さがあることを改めて感じた。

    とはいえ、自宅から公共交通機関だけで長距離旅行をする気力と体力は、もうあまり残っていないのも事実である。 それでも今回の旅は、無理のない範囲で新しい体験を重ねられた、良い時間であったと思う。


    参考資料
    みくりが池温泉
    室堂平で雲上散策/とやま観光ナビ
    黒部ダムオフィシャルサイト
    黒部峡谷鉄道トロッコ電車
    黒部峡谷パノラマ展望ツアー
    黒部峡谷附猿飛ならびに奥鐘山
    宇奈月温泉/富山県の観光
    宇奈月まち歩き | 宇奈月温泉旅館

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