タグ: 水沢もみじ谷

  • 水沢もみじ谷を歩く──歴史の余韻に包まれる紅葉の名所

    <目次>
    はじめに
    水沢もみじ谷とは
    紅葉に彩られた散策路を歩く
    渓流が奏でる静寂の風景
    歴史の余韻を感じる水沢の里
    シニアにおすすめの散策コース
    訪問時のポイント
    あとがき

    ◆ はじめに

    ──静かな谷に広がる秋の絶景

    三重県四日市市の水沢町にある水沢もみじ谷は、鈴鹿山脈の麓にひっそりと佇む紅葉の名所である。

    秋が深まる頃、谷あいを埋め尽くすイロハモミジが鮮やかに色づき、訪れる人々を美しい紅葉の世界へと誘う。その風景は、まるで一枚の日本画を歩いているかのような趣に満ちている。

    古くは菰野藩主が紅葉狩りを楽しみ、猿丸太夫の和歌ゆかりの地として語り継がれてきた歴史も残る。さらに周辺には、全国有数のかぶせ茶の産地として知られる茶畑が広がり、紅葉と里山の風景が織りなす水沢ならではの景観を楽しむことができる。

    華やかな観光地とは少し異なり、水沢もみじ谷の魅力は静けさの中にある。渓流のせせらぎに耳を傾け、色づいた木々を見上げながらゆっくり歩いていると、日常の慌ただしさを忘れ、心が自然と穏やかになっていく。

    今回は、水沢もみじ谷の紅葉の魅力とともに、この地に息づく歴史や茶文化、そしてシニア世代にもおすすめしたい散策の楽しみ方をご紹介したい。


    水沢もみじ谷とは

    ──歴史ある水沢地区に広がる紅葉の景観

    水沢(すいざわ)もみじ谷は、三重県四日市市水沢町にある鈴鹿国定公園内の紅葉名所である。鈴鹿山脈の麓に刻まれた静かな谷間には、イロハモミジを中心とする多くの紅葉樹が群生し、晩秋になると谷全体が赤や橙、黄金色に染め上げられる。

    谷の規模は決して大きくない。しかし、その分、頭上を覆うように広がる紅葉を間近に感じられるのが魅力である。谷底から見上げる紅葉は立体感に富み、まるで色彩の天井の下を歩いているかのような美しさを楽しめる。

    この地は江戸時代から知られる歴史ある景勝地で、元禄年間(1688年頃)から代々の菰野藩主が領内巡視を兼ねて訪れ、紅葉狩りを楽しみながら景観の保護に努めたと伝えられている。文化6年(1809)には、9代藩主・土方義苗(よしたね)が谷を整備し、「楓渓(もみじだに)」と名付けたとされる。

    また、百人一首で知られる猿丸太夫の

    「奥山に もみぢ踏みわけ 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋はかなしき」

    という歌は、この地の紅葉を詠んだものと伝えられている。史実として確認されているわけではないものの、水沢の人々は古くからその伝承を大切に受け継いできた。


    ● 水沢茶の里に広がる美しい風景

    水沢地区は全国有数の「かぶせ茶」の産地として知られている。鈴鹿山脈からの清らかな水と朝夕の寒暖差に恵まれ、良質なお茶の生産が続けられてきた。

    もみじ谷の周辺には、整然と並ぶ茶畑が広がる。紅葉の季節になると、茶畑の深い緑と谷を染める鮮やかな紅葉が見事な対比を見せ、ほかではなかなか出会えない風景をつくり出している。

    派手さはないが、里山ならではの穏やかな景観には心を落ち着かせる魅力がある。紅葉だけでなく、水沢の茶どころとしての風土にも目を向けながら歩くと、旅の味わいがさらに深まるだろう。


    ● 人々の暮らしとともに歩んできた谷

    水沢もみじ谷は単なる観光地ではない。長い年月にわたり、地域の人々の信仰や暮らしとともに存在してきた場所である。

    谷の一角には、かつて存在した「水沢山之坊」の守り地蔵と伝えられる「才覚地蔵」が静かに祀られている。また、その傍らには願い事を念じながら持ち上げて重さを確かめる「おもかる石」も置かれており、今もなお地域の信仰の息づかいを感じることができる。

    紅葉を眺めながら歩いていると、自然の美しさだけでなく、この土地に暮らしてきた人々の歴史や祈りにも思いが及ぶ。そうした時間こそが、水沢もみじ谷ならではの魅力と言える。


    ● 美しい自然が守られてきた理由

    数百年の歳月を経てもなお、美しい景観が残されている背景には、自然を守り続けてきた先人たちの努力がある。

    江戸時代には菰野藩主が景観保護に力を入れ、樹木の伐採を禁じたと伝えられている。明治以降も地域住民が紅葉の保全に努め、現在に至るまで清掃や環境維持の活動が続けられてきた。

    その積み重ねがあったからこそ、私たちは今日も変わらぬ紅葉の美しさを楽しむことができるのである。


    ● 紅葉の見頃と見どころ

    水沢もみじ谷の紅葉の見頃は、例年11月下旬から12月上旬から中旬頃とされる。周辺の紅葉名所よりやや遅めに色づくため、「その年最後の紅葉狩り」として訪れる人も少なくない。

    最大の見どころは、谷底から見上げる紅葉の景観である。赤、黄、橙に染まった木々が幾重にも重なり、まるで色彩の層が空に向かって広がっているように見える。

    また、落葉の季節には地面を埋め尽くす「敷きもみじ」も美しい。頭上の紅葉と足元の落葉を同時に楽しめるため、散策の満足感は非常に高い。

    早朝にはやわらかな光が差し込み、昼間とは異なる幻想的な表情を見せる。写真愛好家に人気が高いのも頷ける風景である。


    ● 散策時の注意点

    もみじ谷の散策路は谷沿いに続いており、一部には段差や傾斜がある。特に雨上がりや落葉が積もった時期は足元が滑りやすいため、歩きやすい靴で訪れたい。

    また、紅葉シーズンは駐車場が混雑することもある。時間に余裕を持って訪れ、ゆっくりと谷の風景を楽しむことをおすすめする。

    名 称水沢もみじ谷
    所在地四日市市水沢町山の坊
    (ナビ設定:水沢町237 )
    駐車場あり(無料)約20~30台程度
    県道44号線沿い、水沢もみじ谷のすぐ近く
    石垣で囲まれた場所(地主さんの厚意で開放)
    紅葉シーズンは混雑するので、早めの到着を推薦!
    アクセス東名阪自動車道「四日市IC」から約25分
    Link水沢もみじ谷 | 観光三重

    紅葉に彩られた散策路を歩く

    ──頭上を覆う紅葉のトンネル

    水沢もみじ谷の散策路に一歩足を踏み入れると、そこには日常とは少し違う、静かな秋の世界が広がっている。

    谷を包み込む紅葉と清らかな流れ、そして落ち葉を踏む音。歩みを進めるごとに、心までゆっくりとほぐれていくような心地よさがある。


    ● 頭上を覆う紅葉のトンネル

    散策路の最大の見どころは、両側の斜面から大きく枝を伸ばしたイロハモミジがつくり出す紅葉のトンネルである。

    見上げれば、幾重にも重なり合った紅葉が空を覆い、視界いっぱいに赤や橙の色彩が広がる。谷という地形のため木々との距離が近く、紅葉を間近に感じられるのも魅力だ。

    ゆっくり歩いていると、まるで紅葉に包まれた回廊をくぐり抜けているかのような気分になる。鮮やかな色彩に囲まれるひとときは、日常を離れた特別な時間に感じられるだろう。


    ● 谷沿いに続く静かな遊歩道

    約200メートルにわたって続く遊歩道は、自然の地形を活かしながら整備されている。

    足元には落ち葉が積もり、歩くたびにやわらかな音を立てる。谷底を流れる小さな渓流のせせらぎも耳に心地よく、周囲の静けさをより一層引き立てている。

    紅葉が最盛期を迎える頃には、頭上の紅葉だけでなく、地面を彩る「敷きもみじ」も見事である。上を見ても下を見ても紅葉に包まれ、その美しさを存分に味わうことができる。


    ● 赤・黄・橙が織りなす秋のグラデーション

    水沢もみじ谷の魅力は、単に「赤い紅葉」だけではない。

    主役となるイロハモミジの鮮やかな紅色に加え、黄色や橙色に染まる木々が谷全体に彩りを添えている。さらに、色づき始めた緑の葉もところどころに残り、自然が描く繊細なグラデーションを楽しめる。

    一本の木の中に赤、黄、橙、緑が同居することもあり、その姿はまるで緻密なモザイク画のようである。

    歩く場所や見る角度によって色彩の印象が変わるため、何度足を止めても新しい発見がある。


    ● 光が生み出すさまざまな表情

    深い谷間にあるもみじ谷では、時間帯によって景色の表情が大きく変化する。

    午前中

    朝のやわらかな光が差し込むと、紅葉した葉が透けるように輝き、まるでステンドグラスを見るような美しさを見せる。木漏れ日が遊歩道に落とす光の模様も実に印象的である。

    昼前後

    谷底まで光が届く時間帯は、紅葉の色彩が最も鮮やかに映える。赤や黄、橙の色が一段と際立ち、谷全体が華やかな光に包まれる。

    午後

    日が傾き始めると、光と影のコントラストが深まり、景色は落ち着いた趣へと変わる。どこか幽玄な雰囲気が漂い、歴史ある里山らしい静かな余韻を感じさせてくれる。


    ● ゆっくり歩きながら味わう秋

    水沢もみじ谷は、短時間で見て回る観光地というよりも、ゆったりと歩きながら秋を味わう場所である。

    立ち止まって紅葉を見上げたり、渓流の音に耳を傾けたり、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んだりする。そんな何気ない時間が、不思議と心を満たしてくれる。

    周辺には茶畑が広がり、里山ならではの穏やかな風景が続いている。紅葉の美しさだけでなく、この土地に流れるゆるやかな時間そのものが、水沢もみじ谷の大きな魅力なのだろう。

    気がつけば歩く速度も自然にゆるみ、慌ただしい日常を忘れさせてくれる。シニア世代にこそ味わっていただきたい、静かな秋の散策路である。


    渓流が奏でる静寂の風景

    ──耳を澄ませば聞こえる水の音

    水沢もみじ谷の魅力は、紅葉の美しさだけではない。

    谷を歩いていると、自然と耳に入ってくるのが渓流のせせらぎである。鮮やかな紅葉を眺めながら、水の音に耳を傾けていると、心までゆっくりと落ち着いてくる。

    この谷では、目で秋を味わうだけでなく、耳でも秋を感じることができるのである。


    ● 谷を流れる清らかな水

    鈴鹿山脈の豊かな自然に育まれた清らかな水が、谷底を静かに流れている。

    激しく流れ落ちる急流ではなく、岩肌の間を縫うようにさらさらと流れる小さな渓流である。そのため、水音は決して大きくなく、谷の静寂にそっと寄り添うように響いている。

    秋の澄んだ空気の中で耳を澄ませると、そのやわらかなせせらぎが心地よく感じられる。谷を吹き抜ける風と相まって、歩く人の心を穏やかにしてくれる風景である。


    ● 紅葉と水面が織りなす彩り

    透明な水面には、頭上に広がる紅葉が映り込むことがある。

    赤や黄に染まった葉、水底に見える苔の緑、そして岩肌の落ち着いた色合い。それらが水の中で重なり合い、自然ならではの繊細な色彩を描き出している。

    また、木漏れ日が差し込む時間帯には、水面にきらめく光が揺れ、周囲の紅葉とともに美しい表情を見せる。

    立ち止まってしばらく眺めていると、刻々と変化する光と色彩に、時間を忘れて見入ってしまう。


    ● 落ち葉が運ぶ晩秋の風情

    紅葉が深まる頃になると、風に乗って舞い落ちたもみじの葉が渓流へと流れていく。

    水面をゆっくりと漂う一枚の葉を眺めていると、秋が少しずつ冬へと向かっていることを感じさせられる。

    川の中の岩に落ち葉がとどまり、赤や橙の葉が彩りを添える光景も美しい。決して華やかではないが、こうした何気ない風景の中に、日本人が古くから親しんできた「行く秋の趣」が感じられる。

    派手な演出のない自然の景色だからこそ、心に残る味わいがある。


    ● 静けさに包まれるひととき

    もみじ谷を歩いていると、周囲を満たしているのは自然の音であることに気づく。

    渓流のせせらぎ。風に揺れる木の葉の音。時折聞こえる鳥たちの声。

    それぞれの音は控えめでありながら、谷の静けさをいっそう際立たせている。

    忙しい日常の中では、私たちは無意識のうちに多くの音に囲まれて暮らしている。しかし、この谷では自然の音に耳を澄ませることで、普段は気づかない心のゆとりを取り戻せるように感じられる。

    紅葉の美しさに目を奪われながらも、ときには足を止め、ただ水の流れる音に耳を傾けてみたい。

    水沢もみじ谷には、そんな静かな時間の贅沢が残されている。


    歴史の余韻を感じる水沢の里

    ──茶の文化が息づく土地

    水沢の里を訪れると、紅葉だけでは語り尽くせない、この土地の奥深い魅力に気づかされる。

    鈴鹿山脈の麓に広がる水沢は、古くから茶の栽培が盛んな地域として知られてきた。もみじ谷の鮮やかな景観の背景には、自然と向き合いながら暮らしを築いてきた人々の歴史が息づいている。


    ● 水沢茶が育まれた風土

    水沢地区は、三重県を代表する茶産地の一つである。

    鈴鹿山脈から流れ出る清らかな水、朝夕の寒暖差、霧が発生しやすい気候など、お茶づくりに適した自然条件に恵まれている。そのため古くから茶の栽培が行われ、現在では「かぶせ茶」の主産地として全国的に知られている。三重県はかぶせ茶の生産量が全国一であり、水沢はその中心的な産地の一つである。

    また、この地域には弘法大師空海が唐から持ち帰った茶の種を植えたという伝承も残されており、水沢茶の長い歴史を物語るエピソードとして語り継がれている。


    ● 周辺に広がる美しい里山風景

    もみじ谷を後にして里へ目を向けると、そこにはどこか懐かしい日本の原風景が広がる。

    鎌ヶ岳をはじめとする鈴鹿の山並みを背景に、整然と並ぶ茶畑の畝が遠くまで続いている。四季折々に表情を変えるその景観は、水沢ならではの魅力である。

    春から初夏にかけては新芽の鮮やかな緑が広がり、収穫前には茶畑を覆う黒い被覆資材が独特の風景をつくり出す。秋には紅葉の赤とのコントラストが美しく、里山の趣をいっそう深めている。

    茶畑のあちこちに立つ防霜ファンも、この地域ならではの風景の一部である。お茶づくりを支える営みが、今も日常の景色として息づいている。


    ● お茶とともに育まれた地域文化

    水沢では、お茶は単なる農産物ではなく、人々の暮らしと深く結びついた文化でもある。

    かぶせ茶は、収穫前の一定期間、茶葉を覆って育てることで、甘みや旨みを引き出す伝統的な製法によってつくられる。手間と経験が求められる栽培方法であり、長年受け継がれてきた茶農家の技術と知恵が詰まっている。

    また、お茶の香りや味わいを楽しみながら人々が集い、交流する文化もこの地域の魅力である。地域の催しや茶文化の継承活動を通して、お茶とともに育まれた伝統が今も受け継がれている。


    ● 歴史の余韻に包まれる里

    水沢の里を歩いていると、風に乗ってほのかにお茶の香りが漂ってくることがある。

    江戸時代には菰野藩主たちがもみじ谷の景観を愛で、地域の人々はその自然を守り続けてきた。そして里では、お茶づくりを通して豊かな文化が育まれてきた。

    現在私たちが目にする紅葉や茶畑の風景は、自然が生み出した美しさだけではない。長い年月をかけて人々が守り育ててきた営みの積み重ねでもある。

    また、水沢もみじ谷には、百人一首で知られる猿丸太夫の

    「奥山に もみぢ踏みわけ 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋はかなしき」

    の歌がこの地を詠んだものと伝える地域の伝承も残されている。

    真偽を確かめることは難しいが、谷を吹き抜ける風や紅葉に染まる山肌を眺めていると、昔の人々もまた同じ秋を見つめていたのではないかと思えてくる。

    もみじ谷の赤と茶畑の緑が調和する水沢の里には、時代を超えて受け継がれてきた静かな歴史の余韻が、今もなお息づいているのである。


    シニアにおすすめの散策コース

    ──無理なく楽しめる秋のひととき

    水沢もみじ谷は、駐車場からほど近い場所で紅葉を楽しめるため、シニア世代にも親しみやすい散策スポットである。

    谷の規模は大きくなく、ゆっくり景色を眺めながら歩いても30分前後で楽しめる。急いで歩く必要はなく、紅葉や渓流を眺めながら自分のペースで進めるのが、この場所ならではの楽しみ方である。

    ただし谷沿いの地形には多少の起伏があるため、無理をせず、自分の体力に合わせて歩くことをおすすめしたい。


    ● 歩きやすい南側ルートから散策を

    谷の南側には比較的歩きやすい道が続いている。

    紅葉の美しさを十分に楽しみながら散策できるため、足元に少し不安がある方は、まずこちらを中心に歩くと安心である。

    無理に全体を回ろうとせず、気に入った場所でゆっくり景色を眺めるだけでも、水沢もみじ谷の魅力は十分に味わえる。


    ● 北側ルートは体力に合わせて

    谷の北側には階段や傾斜のある場所も見られる。

    健脚な方であれば問題なく歩ける範囲だが、足腰に不安のある場合は無理をしないことが大切である。

    紅葉は谷全体で楽しめるため、一周にこだわらず、その日の体調や体力に合わせて散策ルートを選びたい。


    ● まずは案内板で歴史に触れる

    谷の入口付近には、水沢もみじ谷の由来や歴史を紹介する案内板が設置されている。

    散策を始める前に少し目を通しておくと、菰野藩主と紅葉の関わりや、この地が大切に守られてきた背景を知ることができる。

    歴史を知ってから歩くと、目の前の景色にもより深い味わいが感じられるだろう。


    ● 途中で休みながら楽しむ

    もみじ谷は、ただ歩くだけでなく、立ち止まる時間を楽しみたい場所である。

    散策路沿いには休憩できるスペースもあり、腰を下ろして紅葉を眺めることができる。

    温かいお茶やコーヒーを片手に、頭上に広がる紅葉を見上げながらひと息つく時間は格別である。

    歩みを止めて耳を澄ませると、渓流のせせらぎや風に揺れる木々の音が聞こえてくる。そんな静かな時間こそ、この谷の大きな魅力である。


    ● 写真撮影におすすめの場所

    せっかく訪れるなら、美しい景色を写真にも残しておきたい。

    ① 谷の入口付近

    散策路へ入る前後の場所からは、茶畑の緑と紅葉の赤を一緒に眺めることができる。水沢ならではの風景を収めるのに適したポイントである。

    ② 休憩スペース周辺

    ベンチ付近から見上げる紅葉は迫力があり、頭上を覆う紅葉のトンネルを撮影しやすい。

    足元が安定した場所から撮影できるため、落ち着いて景色を楽しみながら写真を撮ることができる。


    ● シニアにおすすめなのは「平日の午前中」

    もし訪問日を選べるなら、平日の午前中がおすすめである。

    週末に比べて比較的人の流れが穏やかで、自分のペースで散策しやすい。朝の澄んだ空気の中では紅葉も美しく見え、谷全体が清々しい雰囲気に包まれる。

    また、午前中のやわらかな光は紅葉の色彩をやさしく引き立てるため、散策にも写真撮影にも適している。

    焦らず、急がず、気の向くままに歩く。

    そんなゆったりとした時間の過ごし方こそ、水沢もみじ谷を訪れるシニア世代にとって何よりの贅沢なのかもしれない。


    訪問時のポイント

    ──紅葉をより楽しむために

    水沢もみじ谷は、約200メートルほどの谷あいに紅葉が広がる比較的コンパクトな紅葉スポットである。

    そのため、見頃を迎える11月下旬から12月上旬頃には多くの人が訪れ、駐車場や周辺道路が混雑することもある。

    せっかく訪れるなら、混雑を避けながら、この谷ならではの静かな雰囲気も味わいたい。そこで、より快適に散策を楽しむためのポイントを紹介したい。


    ● おすすめは午前中の早い時間

    ゆったりと散策を楽しみたいなら、午前中の早い時間帯がおすすめである。

    観光客が増え始める前は比較的人が少なく、谷に流れる静かな時間を味わいやすい。

    朝の澄んだ空気の中では、紅葉の色彩もいっそう鮮やかに見える。低い角度から差し込むやわらかな光が葉を照らし、赤や黄に染まったモミジを美しく引き立ててくれる。

    写真撮影を楽しみたい方にとっても、午前中は魅力的な時間帯である。


    ● 午後は落ち着いた雰囲気を楽しむ

    午後になると、谷にはまた違った表情が現れる。

    傾き始めた日差しが木々の間から差し込み、紅葉と影が織りなす落ち着いた景観を楽しむことができる。

    午前中の華やかな美しさとは異なり、どこかしっとりとした趣が感じられる時間である。

    ただし、谷間は夕方になると日が陰りやすい。晩秋は日の入りも早いため、時間に余裕を持って散策したい。


    ● 混雑を避けるなら平日がおすすめ

    見頃の時期の土日祝日は、多くの人でにぎわうことがある。

    一方、平日は比較的人出が落ち着いており、自分のペースで歩きやすい。

    特にシニア世代の方には、無理なく散策できる平日の訪問がおすすめである。

    人の流れに急かされることなく、紅葉や渓流の音をゆっくり味わうことができるだろう。


    ● 服装と足元の準備

    もみじ谷の散策路には未舗装の場所や段差があり、落ち葉が積もる時期は足元が滑りやすくなる。

    歩きやすいスニーカーやトレッキングシューズなど、滑りにくい靴を選びたい。

    また、谷あいは平地よりも気温が低く感じられることがあるため、脱ぎ着しやすい上着があると安心である。


    ● 散策前に案内板にも目を向けたい

    谷の入口には、水沢もみじ谷の歴史や由来を紹介する案内板が設置されている。

    紅葉を見る前に少し立ち止まり、この地が長い年月をかけて守られてきた歴史に触れてみたい。

    そうすることで、目の前に広がる景色にも、より深い味わいを感じられるはずである。


    💡 プチ情報

    ● カーナビ検索は「すいざわ」

    水沢町の読み方は「みずさわ」ではなく 「すいざわ」 である。カーナビや地図アプリで検索する際は、この読み方を覚えておくとスムーズである。

    ● 歩きやすい靴がおすすめ

    谷沿いの遊歩道には落ち葉や小さな段差があるため、履き慣れた歩きやすい靴で訪れたい。

    ● ゴミは持ち帰ろう

    水沢もみじ谷の美しい景観は、地元の方々による長年の保全活動によって守られている。訪れる私たちも、ゴミは持ち帰り、自然を大切に楽しみたい。

    ● 茶畑の風景もお見逃しなく

    紅葉に目を奪われがちだが、周辺に広がる水沢茶の茶畑もこの地域を代表する景観の一つである。帰り道に少し足を止めて眺めると、水沢らしい里山の魅力をより深く感じられるだろう。


    ◆ あとがき

    ──紅葉だけではない、水沢もみじ谷の魅力



    水沢もみじ谷を歩いていると、紅葉の美しさはもちろんのこと、それ以上にこの土地に流れる穏やかな時間の豊かさに心を惹かれる。

    風に揺れる葉の音に耳を澄ませ、渓流のせせらぎを聞きながら歩いていると、季節が静かに移ろう気配を全身で感じることができる。そこには、慌ただしい日常の中でいつの間にか忘れかけていた、ゆったりとした時間が流れている。

    また、水沢もみじ谷の魅力は鮮やかな紅葉だけではない。周辺に広がる茶畑の風景、長い年月をかけて受け継がれてきた茶文化、そして人々が守り続けてきた自然と歴史が、この場所ならではの深い味わいを生み出している。

    私たちシニア世代にとって旅の楽しみは、名所を数多く巡ることだけではない。美しい風景の前で立ち止まり、その土地の歴史や暮らしに思いを馳せる時間こそが、心を豊かにしてくれるのではないだろうか。

    水沢もみじ谷は、「紅葉を見る場所」というよりも、「秋を味わう場所」である。

    もし今年の秋、どこか静かな場所で季節の深まりを感じてみたいと思われたら、ぜひ一度、水沢の里を訪ねてみてほしい。頭上を覆う紅葉の天井の下で、きっと心に残る穏やかな時間に出会えることだろう。




    【関連記事】
    【厳選の紅葉名所】岐阜県 
    【厳選の紅葉名所】滋賀県
    【厳選の紅葉名所】京都府 
    【厳選の紅葉名所】兵庫県 
    【厳選の紅葉名所】大阪府
    【厳選の紅葉名所】奈良県
    【厳選紅葉名所】和歌山県
    【厳選の紅葉名所】鳥取県 
    【厳選の紅葉名所】岡山県 
    【厳選の紅葉名所】山口県 
    【厳選の紅葉名所】愛媛県 
    【厳選の紅葉名所】福岡県 
    【厳選の紅葉名所】熊本県
    【厳選の紅葉名所】長崎県
    【厳選の紅葉名所】大分県 
    【厳選の紅葉名所】宮崎県