| <目次> はじめに 大雪山国立公園 旭岳 層雲峡 然別湖 大雪高原旭ヶ丘 大雪 森のガーデン 十勝岳・望岳台 十勝岳連峰 美瑛 白金青い池 白ひげの滝 白金不動の滝 赤い屋根のある丘 富良野 ファーム富田 深山峠ラベンダーオーナー園 五郎の石の家 ニングルテラス 風のガーデン 旭川 上野ファーム 旅のまとめ あとがき |
◆ はじめに
大雪山国立公園は、北海道の最高峰・旭岳(標高2,290m)を主峰とする大雪山系を中心に、十勝連峰、石狩山地など「北海道の屋根」と呼ばれる広大な山岳地帯を含む、日本最大の面積を誇る国立公園である。 その広さは約23万ヘクタールに及び、手つかずの自然が今も息づいている。
大雪山の魅力は、ただ雄大なだけではない。歩みを進めるほどに静けさが深まり、心が澄んでいくような、不思議な安らぎがある。 柱状節理の断崖が続く層雲峡、氷河地形が残る高原、そして天然湖である然別湖など、景勝地も多く、各地に温泉が点在することから観光地としての人気も高い。
高山の風が頬を撫で、足元には短い夏を精一杯生きる高山植物が咲き、遠くには果てしない空が広がる──その風景は、人生の後半を歩む私たちに、どこか懐かしい静けさと深い安らぎをもたらしてくれる。
また、大雪山の裾野に広がる美瑛・富良野・旭川のエリアにも、北海道らしい大自然を満喫できる景勝地が点在している。 広大な北海道でこれらをすべて巡ることは決して容易ではないが、旅人としてはできるだけ多くの場所を訪ねてみたいと思わせる魅力がある。
美瑛・富良野の丘は、色彩のゆるやかな波が続く“北海道らしい風景”の宝庫であり、季節ごとに異なる表情を見せてくれる。一方、旭川の街には、旅の終わりにふっと肩の力が抜けるような、穏やかな時間が流れている。
本稿では、大雪山から美瑛・富良野、そして旭川へと歩みを進める、心澄む北海道の旅を紹介したい。シニア世代でも無理なく楽しめるルートと、ゆっくり味わいたい風景を中心にまとめてみた。
大雪山国立公園
──雄大な自然の中をゆっくり歩く
大雪山【たいせつざん】は、北海道中央部に位置する旭岳など標高2,000m級の山々からなる巨大な山塊の名称で、一つの山の名ではないことを示すために「大雪山系」と呼ぶこともある。一帯は大雪山国立公園に指定されている。
最高峰の旭岳を中心とする大雪火山群と南方に広がる台地のエリアは「表大雪」と呼ばれている。大雪山系は、本来はこの表大雪と呼ばれているエリアを指す呼称であった。表大雪には下記のような火山性の山岳が含まれる。
- 旭岳(標高2,291 m)
- 北鎮岳(2,244 m)
- 白雲岳(2,230 m)
- 愛別岳(2,113 m)
- 北海岳(2,149 m)
- 黒岳(1,984 m)
- 赤岳(2,078 m)
- 緑岳、別名「松浦岳」(2,019 m)
- トムラウシ山
大雪山国立公園は、表大雪のほかに、ニセイカウシュッペ山などの北大雪、ニペソツ山などの東大雪、十勝岳連峰を包含するので含むので巨大な山系となり、面積が約23万haという広大なものとなる。「日本最大の国立公園」と言われる所以である。
石狩川を挟んで「表大雪」の北側にある「北大雪」には下記のような山岳が含まれる。
- ニセイカウシュッペ山
- 武華岳(1,758 m)
- 武利岳(1,876 m)
- 平山(1,771 m)
- チトカニウシ山(1,445 m)
- 屏風岳(1,792 m)
「表大雪」のやや南東に位置する山群を「東大雪」と呼ぶ。かつては「裏大雪」とも呼ばれていたがある。「東大雪」には下記のような非火山性の山岳が含まれる。
- ニペソツ山(2,013 m)
- ウペペサンケ山(1,848 m)
- 石狩岳(1,967 m)
- 音更山(1,932 m)
- 白雲山(1,187 m)
- 天望山(1,173 m、 別名「くちびる山」)
● 高山の風を感じる旭岳・黒岳の散策ルート
大雪山の山々は、標高こそ高いものの、ロープウェイや登山道が整備されており、シニア世代でも無理なく楽しめるルートが多い。 旭岳ロープウェイで姿見駅まで上がると、眼前には火山地形が広がり、噴気孔から立ち上る白い蒸気が大雪山の“生きている姿”を感じさせてくれる。姿見の池をめぐる散策路は比較的歩きやすく、晴れた日には池面に旭岳が映り込む美しい風景が楽しめる。
黒岳も人気の高いルートで、五合目までロープウェイで上がれば、そこからは高山植物の群落が迎えてくれる。短い夏を精一杯生きる花々の姿は、どこか健気で、人生の季節を重ねてきた私たちの心に静かに響く。 無理をせず、ゆっくりと歩くことで、大雪山の雄大さと優しさが自然と胸に染み込んでくる。
● 短い夏を彩る高山植物の美しさ
大雪山は「花の名山」とも呼ばれ、7〜8月には高山植物が一斉に咲き誇る。 チングルマ、エゾコザクラ、コマクサ──名前を挙げればきりがないほど多くの花々が、厳しい環境の中で力強く、そして可憐に咲いている。
特にチングルマの綿毛が風に揺れる光景は、大雪山ならではの美しさだ。花が終わった後に現れる綿毛は、まるで小さな風車のようで、陽の光を受けて輝く姿は、人生の移ろいをそっと語りかけてくるようでもある。
高山植物は、ただ美しいだけではなく、自然の厳しさと生命の強さを静かに伝えてくれる存在だ。 ゆっくり歩きながら一つひとつの花に目を向けると、旅の時間がより深く、豊かなものになる。
● シニアでも安心して歩けるポイントと装備
大雪山の散策は、事前の準備を整えればシニア世代でも十分に楽しめる。 標高が高いため気温が低く、天候が変わりやすいので、薄手の防寒着とレインウェアは必携。歩行時間は短めでも、足元はしっかりしたトレッキングシューズが安心だ。
また、ロープウェイを利用することで体力の負担を大きく減らせる。姿見の池や黒岳五合目周辺の散策路は整備されており、休憩しながら歩けば無理なく楽しめる。 「ゆっくり歩く」「無理をしない」──この二つを心に留めておけば、大雪山の自然は優しく迎えてくれる。
● 旭岳
旭岳(標高2,291m)は、大雪山の主峰で、北海道最高峰である。
● 層雲峡
層雲峡【そううんきょう】は、北海道上川町にある峡谷で、石狩川を挟み約24kmの断崖絶壁が続く。
大雪山の黒岳山麓にある層雲峡温泉は、大型ホテルが立ち並ぶ北海道有数の規模を誇る温泉街で、層雲峡および大雪山観光の中心地となっている。
● 然別湖
然別湖【しかりべつこ】は、大雪山国立公園内にある湖で、然別火山群を構成する西ヌプカウシヌプリ溶岩ドームと東ヌプカウシヌプリ溶岩ドームの成長とともにヤンベツ川が堰き止められてできた堰止湖である。
流入河川はヤンベツ川ではあるが、流出河川の名はトウマベツ川で、やがて十勝川支流の然別川【しかりべつかわ】に合流する。湖の周囲は、白雲山(標高1,187m)や天望山(1,174m)などの「東大雪」の山々に囲まれている。
然別湖は、標高810mに位置し、北海道の湖では最も標高の高い場所にある。周囲は13.8kmで、最大深度は108mもある。湖には「弁天島」と呼ばれる小さな島があり、小さな鳥居が立っている。
然別湖の周辺には、東雲湖【しののめこ】と駒止湖【こまどめこ】がある。東雲湖や駒止湖付近は、エゾナキウサギの棲息地域として知られている。東雲湖は、支笏湖近くのオコタンペ湖や阿寒摩周国立公園内にあるオンネトーとともに「北海道三大秘湖」に数えられている。東雲湖に行くには直接の連絡道路がないので、徒歩で行くしか方法はない。一方、然別湖の南端付近にある駒止湖へのアクセスは容易である。湖の西岸を道道85号が通っているからである。
● 大雪高原旭ヶ丘
大雪高原旭ヶ丘は、大雪山系第一位の景観と称される高原で、北海道上川町に広がる大雪山の麓に位置する。雄大な山並みを間近に感じながら静かな時間を過ごせる場所として人気が高い。

標高はそれほど高くないものの、周囲には大雪山系の峰々が連なり、季節ごとにまったく違う表情を見せる。春は新緑が柔らかく揺れ、夏は高原らしい爽やかな風が吹き抜け、秋には一面が黄金色に染まる。冬は雪原の静寂が広がり、まさに「北海道らしい大自然」を身近に感じられる高原である。

大雪高原旭ヶ丘の魅力は、広々とした草原と大雪山の山並みがつくる伸びやかな風景にある。視界を遮るものがほとんどなく、空の広さがそのまま心の広さにつながっていくような感覚がある。高原には散策路が整備されており、ゆっくり歩きながら風景を楽しむことができる。シニア世代でも無理なく歩ける緩やかな道が多く、旅の途中でふっと肩の力を抜くのに最適な場所だ。
大雪高原旭ヶ丘は、ただ景色を見る場所ではなく、風・光・草原の広がりの中で、自然の時間に身を委ねる場所である。 大雪山の雄大さを背景に、静けさと開放感を味わえる高原として、旅の途中にぜひ立ち寄りたいスポットである。


大雪高原旭ヶ丘の静かな丘の上に1軒のレストランが佇んでいる。地元上川の食材を中心に、「ここでしか味わう事の出来ない最高の料理」をキャッチフレーズにしている「フラテッロ ディ ミクニ」というイタリアンレストランである。


このレストランでは、雄大な大雪山を望む絶景の中で、北海道の食材を生かした上質な料理を味わうことができる。東京・四谷の名店「オテル・ドゥ・ミクニ」の三國清三シェフの精神を受け継ぎ、北海道の自然と真摯に向き合う料理を提供している。


料理は、上川町や道内各地の食材を中心に構成され、野菜・肉・魚のどれもが北海道の大地の恵みを感じさせる。素材の味を丁寧に引き出す繊細な調理と、美しい盛り付けは、ミクニの系譜らしい“自然への敬意”が感じられる。コースは季節ごとに内容が変わり、訪れるたびに新しい驚きと発見がある。


店内は落ち着いた雰囲気で、席間もゆったりとしており、シニア世代でも安心して食事を楽しめる。スタッフの温かい接客も心地よく、旅の途中で立ち寄るレストランとしては申し分ない。
「フラテッロ ディ ミクニ」は、ただ食事をする場所ではなく、 大雪山の風景と北海道の食材が響き合う“風景のレストラン”である。 大雪高原旭ヶ丘を訪れるなら、ぜひ足を運びたい一軒だ。
● 大雪 森のガーデン
大雪山の麓、上川町の静かな森に抱かれるように広がる「大雪 森のガーデン」は、北海道の自然美をそのまま生かした“森の庭園”である。人工的な造形よりも、森が本来持つ生命の流れを尊重してつくられており、歩くほどに大雪山の自然と人の手が調和した優しい風景が広がる。

ガーデンは大きく二つのエリアに分かれている。ひとつは、北海道の植物を中心に構成された「森の花園」。季節ごとに咲く花々が森の緑と溶け合い、華やかさよりも“自然の息づかい”を感じさせる落ち着いた美しさがある。もうひとつは、森の静けさをそのまま味わえる「森の迎賓館エリア」。木々の間を抜ける風、鳥の声、苔むした地面──どれもが大雪山の自然の延長線上にあり、歩くだけで心がゆっくり整っていく。

園内の散策路は緩やかで、シニア世代でも無理なく歩ける。ベンチや休憩スペースも随所に設けられており、森の香りに包まれながらひと息つく時間は、旅の途中にふっと肩の力が抜けるような心地よさがある。

晴れた日には、森の向こうに大雪山の峰々が姿を見せることもあるという。花と森と山──三つの自然が重なり合う風景は、北海道ならではの伸びやかさと静けさを感じさせ、訪れる人の心に深い余韻を残す。

大雪 森のガーデンには、印象深い庭園「森の花園」がある。広大な敷地には英国スタイルのガーデンが贅沢に広がっていて、散策するには最高のロケーションであった。



田舎風のコテージもアクセントとして素晴らしかった。妻に誘われなければ、一度も訪ねることなく一生を終えていたかも知れない。妻に感謝である。

「大雪 森のガーデン」は、ただ花を見る庭園ではなく、 森の時間に身を委ね、大雪山の自然と静かに向き合う場所 である。 旭ヶ丘や層雲峡と組み合わせて訪れると、旅の流れがより豊かに深まる。
| 名 称 | 大雪 森のガーデン |
| 所在地 | 北海道上川町菊川841-8(大雪高原旭ヶ丘) |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | 大雪 森のガーデン |
● 十勝岳・望岳台
十勝岳【とかちだけ】(標高2,077m)は、北海道中央部に位置する活火山で、十勝岳連峰(十勝火山群)の主峰である。山頂の西北西の前十勝にある62-Ⅱ火口からは盛んに噴煙が上がり、山頂付近は火山灰に覆われている。十勝岳避難小屋と山頂の中間には昭和火口、西の三段山の南には安政火口がある。山名の由来は十勝川の源流であることとされている。

十勝岳の中腹に位置する望岳台【ぼうがくだい】は、火山の荒々しさと北海道らしい広大な風景を同時に味わえる展望地である。
標高約930メートルにあり、車でアクセスできるため、登山をしなくても十勝岳の雄大な姿を間近に感じられる。晴れた日には、十勝岳の荒涼とした山肌、噴煙を上げる火口、そして遠くに広がる美瑛の丘陵まで一望でき、その迫力と美しさは訪れる人の心を静かに揺さぶるという。

望岳台の魅力は、火山がつくり出した独特の地形にある。大地がむき出しになったような荒々しい斜面、火山灰が積もる灰色の大地、風に削られた岩肌──どれもが十勝岳の“生きている姿”を物語っている。その一方で、周囲には高山植物が可憐に咲き、厳しい環境の中でも生命が息づいていることを静かに伝えてくれる。

展望台周辺には散策路が整備されており、シニア世代でも無理なく歩ける。数分歩くだけで、火山の迫力と美瑛の丘の柔らかさが同時に視界に入り、北海道の自然の多様性を深く感じられる。風が強い日も多いが、その風こそが望岳台の魅力であり、火山の大地と空の広さを肌で感じさせてくれる。

望岳台は、十勝岳の真下に位置し、十勝岳連峰の十勝岳、美瑛岳や美瑛富士などが望める展望台である。十勝岳周辺の山へ登山口にもなっている。天候が良ければ、眼下には旭川市から富良野市までの360度の展望が楽しめる。

秋には山肌が赤や黄色に染まり、十勝岳の荒々しさと紅葉の美しさが対照的な風景をつくり出す。冬は一面が雪に覆われ、静寂の中に火山の力強さが際立つ。季節ごとにまったく違う表情を見せるため、何度訪れても新しい発見がある。

望岳台は、ただ景色を見る場所ではなく、 火山の鼓動と大地の静けさが交差する、北海道ならではの“自然の展望台” である。

望岳台からは十勝岳連峰の十勝岳だけでなく、美瑛岳と美瑛富士がよく見える。

美瑛・富良野の旅に組み込むと、風景の奥行きがぐっと深まり、旅の印象が豊かになる。
| 名 称 | 望岳台 |
| 所在地 | 北海道上川郡美瑛町白金 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | 望岳台 | 北海道Style |
● 十勝岳連峰
十勝岳連峰に属する主な山岳は下記のとおりである。
- 富良野岳(1912m)
- 上ホロカメット山(1920m)
- 下ホロカメット山(1668m)
- 十勝岳(2077m)
- 美瑛岳(2052m)
- 美瑛富士(1888m)
- オプタテシケ山(2013m)
美瑛
──丘が描く“やさしい北海道”の風景
美瑛町【びえいちょう】は、北海道らしいなだらかな丘陵風景と豊かな自然環境が特徴の、北海道を代表する観光地の一つとなっている。特に「青い池」や「四季彩の丘」の風景は、北海道を代表する風景としての知名度が高い。
● パッチワークの丘をめぐる静かなドライブ&散策
美瑛の丘は、色とりどりの畑がゆるやかに重なり合い、まるで大地が描く絵画のような風景が広がる。 「パッチワークの路」「ケンとメリーの木」「マイルドセブンの丘」など、名前のついたスポットが点在しているが、どこを歩いても、どこを眺めても、心が静かに整っていくような優しい景色が続く。
車での移動が中心になるが、ところどころで車を降りて、丘の風を感じながら数分歩くだけで、旅の印象がぐっと深まる。 広い空、遠くまで続く畑、風に揺れる草──そのすべてが、北海道らしい伸びやかな時間をつくり出している。
● 青い池・白金エリアの透明な時間
美瑛の人気スポット「青い池」は、コバルトブルーの水面が静かに広がる幻想的な場所だ。 立ち枯れたカラマツが湖面に立ち並ぶ姿は、どこか異世界のようで、訪れる人を静かな感動で包み込む。
白金温泉周辺には散策路も整備されており、森の中を歩くと、木々の香りと鳥の声が心を落ち着かせてくれる。 美瑛の自然は派手さこそないが、静けさと透明感があり、旅の途中でふっと心を休めるのに最適な場所だ。
● 白金青い池
美瑛・白金エリアに静かに佇む「白金青い池」は、コバルトブルーの水面が広がる幻想的な景勝地である。水面の青さは、地下水に含まれるアルミニウム成分と美瑛川の水が混ざり合うことで光の散乱が起こり、独特の色を生み出しているとされる。自然が偶然つくり出した色彩は、人工的な美しさとはまったく異なる“静かな奇跡”のようで、訪れる人を深い感動で包み込む。

池の中には、立ち枯れたカラマツが規則的に並び、青い水面との対比がどこか神秘的な雰囲気を漂わせている。風がない日は水面が鏡のように静まり、木々の影がゆっくりと揺れる。その光景は、時間が止まったかのような静けさを感じさせ、旅の途中でふっと心が澄んでいく。

白金青い池は、水面が青く見える不思議な池である。十勝岳の防災工事の際に堰堤にたまった水が不思議なほど青い色をたたえ、立ち枯れのカラマツとあいまって幻想的な風景となった。それがいつしか「青い池」と呼ばれるようになったと言われている。確かに立ち枯れたカラマツが幻想的な雰囲気を醸し出している。

風のない良く晴れた日の午前中が写真撮影におけるシャッターチャンスだ。季節や天候によって様々な青い色が楽しめるという。

白金青い池が青くなる理由は、付近の湧水と関係があるという。アルミニウムを含んだ湧水が美瑛川の河川水と混じることによってコロイドが生成し、そのコロイド粒子に太陽光が当たると青色の透明光が加わるので青く見えると言われている。青くて幻想的な美しい風景は太陽と自然の協働作業らしい。

青い池へは駐車場から緩やかな道を数分歩くだけで到着するため、シニア世代でも無理なく訪れることができる。散策路は整備されており、池の周囲をゆっくり歩きながら、角度によって変わる水面の色を楽しむことができる。晴れた日には鮮やかな青が際立ち、曇りの日には深い青へと変わる──天候によって表情が変わるのも青い池の魅力である。

白金青い池は、ただ美しいだけの観光地ではなく、 自然が偶然つくり出した“青の静寂”に身を委ねる場所 である。 白金不動の滝や白ひげの滝と組み合わせて訪れると、美瑛の自然の奥行きをより深く味わうことができる。
| 名 称 | 白金青い池 |
| 所在地 | 北海道美瑛町白金 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | 白金青い池 美瑛町 |
● 白ひげの滝
白金温泉のすぐそばに位置する「白ひげの滝」は、崖の割れ目から地下水が湧き出し、そのまま美瑛川へと流れ落ちる珍しい“潜流瀑”である。一般的な滝のように川の流れが落ちるのではなく、岩壁のあちこちから白い糸のように水が湧き出す姿が特徴で、その繊細な流れが「白ひげ」の名の由来となっている。白ひげの滝は、落差30mの滝である。

滝の下を流れる美瑛川は、アルミニウム成分を含む水が光を散乱させることで青く見える「ブルーリバー」として知られ、白い滝と青い川が織りなす色彩の対比は、まるで絵画のような美しさを生み出している。橋の上から眺めると、白い水の筋が幾重にも重なり、その下で青い川が静かに流れていく──その光景は、美瑛の自然が持つ透明感と静けさを象徴している。

自然岩の間から地下水が勢いよく溢れ出てきて滝となり、綺麗なコバルトブルーの美瑛川に落ちていく。このような滝を潜流爆というのだそうだ。美瑛白金温泉郷がすぐ後ろに見えており、ここは散歩コースとしても楽しめる。

アクセスは容易で、白金温泉街から歩いてすぐ。橋の上から滝を見下ろす形になるため、シニア世代でも無理なく訪れることができる。滝の音は決して大きくなく、むしろ静かに森の中へ溶け込むようで、旅の途中でふっと心が整うような穏やかな時間が流れている。
白ひげの滝は、ただの観光スポットではなく、 白い水の流れと青い川が静かに響き合う、美瑛の“水の聖地” である。 青い池や白金不動の滝と組み合わせて訪れると、白金エリアの自然の奥行きをより深く味わうことができる。
| 名 称 | 白ひげの滝 |
| 所在地 | 北海道美瑛町字白金 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | 白ひげの滝 美瑛町観光協会 |
● 白金不動の滝
白金温泉の森の奥にひっそりと佇む「白金不動の滝」は、美瑛の自然が持つ静けさと力強さを同時に感じられる名瀑である。
白金不動の滝は、緑豊かな木立に囲まれた急斜面を流れ落ちる、総落差25mの滝である。落差は大きくないものの、岩肌を滑り落ちる水の流れはしなやかで、周囲の深い森と調和しながら、どこか神聖な雰囲気を漂わせている。滝の名にある「不動」は、滝のそばに祀られた不動明王に由来し、古くから地元の人々に“心を整える場所”として親しまれてきた。

滝へ向かう道は、白金温泉街からほど近く、森の中を数分歩くだけで到着する。散策路は緩やかで歩きやすく、シニア世代でも無理なく訪れることができる。森の香り、鳥の声、そして滝の水音──そのすべてが、旅の途中でふっと肩の力を抜くような静かな時間をつくり出してくれる。

滝の前に立つと、岩肌を流れ落ちる水が白く光り、周囲の緑と美しく対比する。 春は新緑が柔らかく揺れ、夏は水しぶきが涼を運び、秋には紅葉が滝を彩る。冬には氷結し、青白い氷の造形が現れることもあり、季節ごとにまったく違う表情を見せる。
白金不動の滝は、派手さこそないが、 美瑛の森が持つ静けさと、自然への敬意を感じさせる“心を整える滝” である。 青い池や白金温泉と組み合わせて訪れると、旅の流れがより深まり、美瑛の自然の奥行きを静かに味わうことができる。
| 名 称 | 白金不動の滝 |
| 所在地 | 北海道美瑛町字白金 |
| 駐車場 | なし |
| Link | 白金不動の滝 | 美瑛町 |
● 写真好きにはたまらない、美瑛の光と影
美瑛の丘は、時間帯によってまったく違う表情を見せる。 朝の柔らかな光、昼の力強い陽射し、夕暮れの長い影──どの瞬間も美しく、写真好きにはたまらない場所だ。
特に夕暮れ時の丘は、空の色がゆっくりと変わり、畑の影が長く伸びていく。その変化を眺めているだけで、旅の時間が静かに深まっていく。 美瑛は、ただ「見る」だけでなく、「感じる」風景が広がる場所である。
● 赤い屋根のある丘
──赤い屋根の家
美瑛の丘の中でもひときわ印象的な風景として知られる「赤い屋根のある丘」は、広大な畑の中にぽつんと佇む赤い屋根の家が、ゆるやかな丘の曲線とともに美しい景観をつくり出している場所である。周囲には視界を遮るものがほとんどなく、丘の稜線が柔らかく続き、その上に赤い屋根が静かに浮かぶように見える。美瑛らしい“色彩の静けさ”が凝縮された風景だ。

プロアマを問わず多くの写真家が、美瑛を象徴する風景として訪れることが多い撮影スポットである。この場所を探して行き着くまでに迷ってしまい、かなり時間を要した経験がある。私有地であるために近づけず、また駐車場も近くにないので苦労した想い出が残る。途中で引き返そうと何度も思ったものだ。写真が撮れたときは嬉しかったが、構図をもう少し工夫して撮るべきであったかも知れない。

アクセスは車が便利で、周辺には駐車スペースはないものの、道路沿いから安全に眺められるポイントがいくつかある。 美瑛の丘を巡る途中でふっと立ち止まり、赤い屋根の家を眺める時間は、旅の流れに優しい余韻を添えてくれる。
「赤い屋根のある丘」は、ただの撮影スポットではなく、 美瑛の丘が持つ“静かな物語性”を象徴する風景 である。パッチワークの丘や青い池と組み合わせて訪れると、美瑛の自然の奥行きをより深く味わうことができる。
富良野
──花と大地の色彩を楽しむ
富良野市【ふらのし】は、北海道のほぼ中央にあり、富良野盆地の中心都市になっている。東は大雪山系、西は夕張山系の山々に囲まれ、典型的な内陸性気候の地である。冬季は降雪量が多く「特別豪雪地帯」に指定されているという。

● ラベンダー畑の香りに包まれる夏の散歩
富良野といえば、やはりラベンダー畑。 ファーム富田をはじめ、町のあちこちに紫の絨毯が広がり、風に乗ってラベンダーの香りがふわりと漂う。 その香りは、どこか懐かしく、心を静かに整えてくれる。
畑の周辺には緩やかな散策路があり、シニア世代でも無理なく歩ける。 花の色彩と香りに包まれながら歩く時間は、まさに富良野ならではの癒しのひとときだ。
● ファーム富田

ファーム富田は、広大なラベンダー畑で有名であるが、ポピーやキクなどの他の種類の花も栽培している。

花を生産する農場であるが、観光スポットとして観光客にも人気が高い。

| 名 称 | ファーム富田 |
| 所在地 | 北海道中富良野町基線北15号 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | ファーム富田 |
● 深山峠ラベンダーオーナー園
深山峠は、国道237号を走っていると上富良野と美瑛町の境界にある峠である。この深山峠にはラベンダーオーナー園が広がる。

予期しない場所でラベンダー畑を見ることができ、お得な気分になったものである。北海道・富良野の大地にはラベンダー畑が似合っている。ラベンダーの花期の見頃が7月中旬から7月下旬と比較的短いのが訪れたい機会を制限するので少し残念である。
| 名 称 | 深山峠ラベンダーオーナー園 |
| 所在地 | 北海道上富良野町西9線北34号 |
| 駐車場 | なし |
| Link | 深山峠ラベンダーオーナー園 |
● 季節ごとに表情を変える花の丘
富良野の魅力はラベンダーだけではない。 春はチューリップ、初夏はポピー、秋にはコスモス──季節ごとに違う花が丘を彩り、訪れるたびに新しい風景に出会える。
花々の色彩は力強く、しかしどこか優しく、北海道の大地の豊かさを感じさせてくれる。 ゆっくり歩きながら、季節の移ろいを肌で感じることができるのが富良野の魅力だ。
● 五郎の石の家
富良野の丘の中腹に静かに佇む「五郎の石の家」は、テレビドラマ『北の国から』の主人公・黒板五郎が自らの手で建てた家として知られる、物語性豊かなスポットである。丸い石を積み上げてつくられた素朴な家は、富良野の大地と風景に溶け込み、訪れる人に“生きることの原点”をそっと思い起こさせてくれる。

石の家は、ドラマの中で五郎が自然と向き合いながら暮らす姿を象徴する建物であり、手作りならではの温もりと力強さが感じられる。周囲には広い草原が広がり、遠くには富良野の山並みが見える。風が吹くたびに草が揺れ、家の石壁に柔らかな影が落ちる──その風景は、ドラマを知らない人でも心に静かな余韻を残す。

敷地内には、五郎の暮らしぶりを伝える展示や、ドラマの撮影に使われた建物が点在しており、ゆっくり歩きながら当時の雰囲気を味わうことができる。道は緩やかで歩きやすく、シニア世代でも無理なく散策できる。富良野の自然に包まれながら、五郎の生き方やドラマの世界観に触れる時間は、旅の途中でふっと心が整うような穏やかさがある。

五郎の石の家は、名作ドラマ『北の国から』の人気ロケ地であり、現在では富良野市の観光スポットの一つになっている。しかし、ただのロケ地ではなく、富良野の自然と人の営みが静かに響き合う“物語の風景” である。 富良野の花畑や麓郷の森と組み合わせて訪れると、旅の流れがより深まり、富良野の持つ豊かな物語性を静かに味わうことができる。
| 名 称 | 五郎の石の家 |
| 所在地 | 北海道富良野市東麓郷 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | 五郎の石の家 北海道 五郎の石の家・最初の家 |
● ゆっくり味わいたい富良野の食とカフェ
富良野は食の宝庫でもある。 新鮮な野菜を使った料理、地元のチーズやワイン、そして静かな時間を楽しめるカフェ──旅の途中で立ち寄ると、心も体もほっと緩む。
特に富良野のカフェは、窓から丘を眺められる場所が多く、食事をしながら風景を楽しめる。 旅の疲れを癒しながら、ゆっくりとした時間を過ごすのに最適だ。
● ニングルテラス
富良野の森の中にひっそりと佇む「ニングルテラス」は、木々に囲まれた小さなクラフトショップが点在する、まるで物語の世界に迷い込んだような散策スポットである。 ログハウス風の小屋が森の斜面に沿って並び、木道が静かに続く風景は、北海道の自然と人の営みが優しく調和した独特の雰囲気を醸し出している。

「ニングル」とは、脚本家・倉本聰氏の舞台「ニングル」に登場する、北海道の森に住む身長15cmくらいの森の知恵者、あるいは小さな妖精のことらしい。その世界観をもとに作られたこのテラスは、森の静けさを壊さないように設計されており、訪れる人は自然の息づかいを感じながら、ゆっくりと歩くことができる。私は妖精に出会ったことはないが、確かに妖精でも住んでいるかのような幻想的な空間を森のなかに形づくっている。ニングルテラスは倉本聰氏によってプロデュースされたという。

小屋の中には、ガラス細工、木工、紙工芸、キャンドル、香りのクラフトなど、作家たちが手作りした作品が並んでいる。どれも大量生産ではなく、森の素材や北海道の風土を生かした温もりのある品ばかりで、手に取ると作り手の思いが静かに伝わってくる。旅の記念に選ぶと、富良野の森の時間がそっと手元に残る。



ニングルテラスは、森の中に広がるショッピングエリアであるが、単なるショッピングエリアではない。自然をモチーフにしたクラフト作品を展示・販売する工房兼店舗(ロッジ)が木製の遊歩道沿いに点在している。各店舗には、それぞれのテーマを基にしたこだわりの工芸品が展示され、販売もされている。

散策路は緩やかで歩きやすく、シニア世代でも無理なく楽しめる。森の香り、木々の影、クラフトショップの柔らかな灯り──そのすべてが、旅の途中でふっと心を整えるような穏やかな時間をつくり出している。特に夕暮れから夜にかけては、灯りが森を優しく照らし、幻想的な雰囲気が広がる。

ニングルテラスは、ただのショッピングスポットではなく、 富良野の森が持つ静けさと、物語の世界観がそっと響き合う“森の散歩道” である。 五郎の石の家や富良野の花畑と組み合わせて訪れると、旅の流れがより豊かに深まり、富良野の持つ物語性を静かに味わうことができる。
| 名 称 | ニングルテラス |
| 所在地 | 北海道富良野市中御料 (新富良野プリンス ホテルに隣接) |
| 駐車場 | あり(有料) 新富良野プリンスホテル の駐車場 |
| Link | ニングルテラス|ふらの |
● 風のガーデン
富良野には有名な「風のガーデン」がある。所在地はニングルテラスの近くで、プリンスホテルが管理しているイングリッシュガーデンである。倉本聰脚本の「風のガーデン」の舞台となった庭で、話題になったことから多くの観光客が訪れている。
旭川
──旅の締めくくりにふさわしい街の時間
旭川市は、道北エリアに位置し、道北の経済・産業・文化の中心となっている中核都市である。北海道中央部に広がる上川盆地に位置し、札幌市に次ぐ道内第2位の人口(約33万人)を有している。毎年500万人以上の観光客が訪れるという人気の観光都市でもある。
交通面では旭川空港をはじめ、国道や鉄道路線が終起点となっており、高速道路も整備されていることなどから道内物流の拠点になっている。
● 旭川の街を歩く──川と橋がつくる風景
旭川は、自然と街がほどよく調和した落ち着いた都市だ。 市内を流れる石狩川と忠別川がつくる水辺の風景は、歩くだけで心が整う。 橋の上から眺める川の流れは、旅の終わりにふさわしい静けさを感じさせてくれる。
街中には広い歩道が整備されており、ゆっくり散策するのにちょうどよい。 大雪山の雄大な自然を歩いた後に訪れると、街の穏やかさが心に優しく寄り添ってくれる。
● 旭山動物園で“いのちの姿”に触れる
旭山動物園は、動物本来の姿を見せる「行動展示」で知られる人気スポットだ。 ペンギンが水中を飛ぶように泳ぐ姿、シロクマが力強く歩く姿──どれも生命の躍動を感じさせてくれる。
展示スペースはコンパクトにまとまっており、休憩しながらゆっくり見て回れるため、シニア世代にも優しい。 旅の最後に訪れると、自然の中で感じた生命の気配が、動物たちの姿と重なり、心に静かな余韻を残してくれる。
● 旅の終わりに立ち寄りたい温泉・美術館
旭川周辺には温泉が点在しており、旅の疲れを癒すのに最適だ。 また、旭川は家具の街としても知られ、美術館やギャラリーでは木工の美しい作品に触れることができる。
自然、街、文化──そのすべてが穏やかに調和しており、旅の締めくくりにふさわしい静かな時間が流れている。
● 上野ファーム
上野ファームは、ガーデンデザイナーの上野砂由紀氏が手がけたイングリッシュガーデンで、北海道の「花のガーニングの聖地」と呼ばれている。「北海道ガーデン街道」のなかでも代表的な洋風ガーデンである。
| 名 称 | 上野ファーム |
| 所在地 | 北海道旭川市永山町16丁目186番地 |
| Link | HOME – UENO FARM 上野ファーム – 北海道 |
旅のまとめ
──大自然と丘の風景がくれた静かな余韻
● 歩く旅が心にもたらすもの
大雪山の雄大な自然、美瑛・富良野のやさしい丘、旭川の穏やかな街──それぞれの風景は異なる表情を持ちながら、共通して「静けさ」を旅人に与えてくれる。 ゆっくり歩くことで、風景が心に染み込み、旅の時間が深い余韻となって残る。
● 次に訪れたい北海道の風景
北海道には、まだまだ魅力的な場所が数多くある。 道東の湿原、道北の海、道南の歴史──どこを訪れても、自然と人の営みが静かに息づいている。
今回の旅が、次の旅への小さなきっかけとなれば嬉しい。 歩く旅は、人生の後半にこそふさわしい豊かな時間をもたらしてくれる。
◆ あとがき
北海道は広大であるため、点在する景勝地を自分のペースで巡ろうとすると、どうしても車の力を借りざるを得ない。私の北海道旅行はいつも、空路で北海道に入り、空港でレンタカーを借りるところから始まる。 公共交通機関だけでは辿り着けない場所が多く、旅の自由度を求めるなら、どうしても個人旅行が最適な形になってしまう。
とりわけ大雪山国立公園の指定エリアは広大で、山岳地帯が大部分を占めている。かつてなら登山を中心に旅の計画を立てたかもしれないが、体力も気力も以前ほどではなくなった今は、麓から峰々を眺め、山頂に思いを寄せる旅が心地よい。 それでも、大雪山の雄大な姿を前にすると、山に登らずとも自然の力強さと静けさを十分に感じることができる。
北海道には、本格的な登山をしなくても大自然に触れられる場所が数多くある。特に国立公園や国定公園に指定されているエリアは、自然の美しさが手つかずのまま残されており、歩くだけで心が澄んでいくような時間が流れている。 だから私は、自然公園を訪ねる旅が昔から大好きである。そこには、年齢を重ねた今の自分でも無理なく楽しめる静けさと、自然が持つ本来の姿がある。
大雪山、美瑛、富良野、旭川──それぞれの風景は異なる表情を持ちながら、共通して「北海道らしい大らかさ」を旅人に与えてくれる。 今回の旅もまた、自然公園が持つ深い魅力を改めて感じさせてくれる時間となった。