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ウェルネスツーリズム

阿蘇くじゅう国立公園内の史跡と景勝地を訪ねる旅

はじめに

阿蘇くじゅう国立公園は、九州中央部に位置し、熊本県に位置する阿蘇山と、大分県に位置する九重連山を中心とする国立公園である。やまなみハイウェイの整備に伴い、指定区域が拡張され、沿線となる由布岳や鶴見岳も追加された。「くじゅう」が平仮名であるのは、九重久住の両地区が指定区域に含まれるためであるという。

阿蘇くじゅう国立公園への旅は、いったいどんな旅になるだろうか? 阿蘇山と九重連山という九州を代表する山塊はどんな景色を見せてくれるであろうか? きっと九州の雄大な大自然を満喫できる旅になるはずだ。 


<目次>
はじめて
阿蘇山
  • 仙酔峡
  • 阿蘇谷・南郷谷
  • 草千里ヶ浜
  • 米塚
  • 阿蘇神社
  • 大観峰
  • 瀬の本高原
  • 菊池渓谷
  • 白川水源
九重連山
  • 久住高原
  • 坊ガツル
  • 飯田高原
    • タデ原
  • 九酔渓
    • 九重夢大吊橋
  • 牧ノ戸峠
  • 由布岳
  • 鶴見岳
  • 志高湖
あとがき

阿蘇山

阿蘇山は、世界最大級のカルデラ式火山である。阿蘇五岳と呼ばれる5つの中央火口丘とそれらを取り囲む外輪山などからなる。

阿蘇五岳とは、中岳(標高1,506m)、高岳(1,592m)、根子岳(1,433m)、杵島岳(1,326m)、烏帽子岳(1,337m)である。


仙酔峡

仙酔峡【せんすいきょう】(標高約900m)は、阿蘇五岳の高岳北麓に位置する峡谷である。仙人が酔うほど美しい峡谷であることからこう呼ばれているという。標高は約900mで、眼下には阿蘇カルデラの北側に位置する阿蘇谷と北外輪山が一望できる。

仙酔峡ロープウェイの駅や、阿蘇の自然等を紹介しているインフォメーションセンターがあり、高岳や中岳への登山口もある。

名 称仙酔峡
所在地熊本県阿蘇市一の宮町宮地仙酔峡一帯
駐車場あり(無料)
Link仙酔峡 |【公式】熊本県観光サイト

阿蘇谷・南郷谷

阿蘇谷【あそだに】は、阿蘇カルデラ内において、阿蘇山中央火口丘の阿蘇五岳によって南北に分断された北側の火口原(平坦部)を指す。阿蘇市の属している。

一方、南郷谷【なんごうだに】は、北側の火口原(平坦部)を指し、高森町と南阿蘇村に属する。


草千里ヶ浜

草千里ヶ浜【くさせんりがはま】または草千里【くさせんり】は、阿蘇カルデラ内の広大な草原地帯で、阿蘇を代表する観光地にもなっている。

国の名勝天然記念物(米塚および草千里ヶ浜)にも指定されている。

広々と草原に覆われた草千里ヶ浜には、中央の小高い丘を挟んでほぼ東西に対する窪地が存在し、雨水が溜まると池になり、放牧された牛や馬の水飲み場にもなっている。

米塚及び草千里ヶ浜の草原地帯の景観は、野焼きおよび放牧を行うことによって維持管理されている。

名 称草千里ヶ浜
所在地熊本県阿蘇市草千里ヶ浜
駐車場あり(無料)
Link草千里ヶ浜 | 【公式】熊本県観光サイト

米塚

米塚【こめづか】(標高954.3m)は、草千里下にある比高約80mの均整のとれたスコリア丘(噴石丘)である。スコリア丘とは、玄武岩質から安山岩質のマグマが噴火活動によって地表面に吹き上げられて飛散冷却してできる岩塊のことである。

多孔質で黒っぽいものが放出され、火口の周りに積もって崖錐斜面をつくり、円錐台形の山を形成したものを指す。小規模な火山の一種とされる。米塚は約3,300年前の噴火で形成されたものらしい。国の名勝及び天然記念物に指定されている。

米塚にはその名の由来となった伝説が残されている。その伝説はは、健磐龍命【たけいわたつのみこと】が収穫した米を積み上げて作ったとされ、貧しい人達に米を分け与えたことで頂上にくぼみができたというものである。

名 称米塚
所在地熊本県阿蘇市乙姫
駐車場なし
Link米塚 | 【公式】熊本県観光サイト

阿蘇神社

阿蘇市にある阿蘇神社【あそ じんじゃ】は、全国に約500社もあるとされる「阿蘇神社」の総本社である。古代の有力氏族である阿蘇氏が大宮司を務め、現在も阿蘇氏の末裔が大宮司を務めているという。

阿蘇神社には、阿蘇十二明神と総称される、以下の12柱の神が祀られている。

  • 一宮:健磐龍命【たけいわたつのみこと】神武天皇の孫
  • 二宮:阿蘇都比咩命【あそつひめのみこと】一宮の妃。三宮の娘
  • 三宮:國龍神【くにたつのかみ】二宮の父
  • 四宮:比咩御子神【ひめみこのかみ】 三宮の妃
  • 五宮:彦御子神【ひこみこのかみ】 一宮の孫
  • 六宮:若比咩神【わかひめのかみ】 五宮の妃
  • 七宮:新彦神【にいひこのかみ】 三宮の息子
  • 八宮:新比咩神【にいひめのかみ】七宮の娘
  • 九宮:若彦神【わかひこのかみ】 七宮の息子
  • 十宮:彌比咩神【やひめのかみ】 七宮の妃
  • 十一宮:速瓶玉神【はやみかたまのみこと】 一宮の息子
  • 十二宮:金凝神【かなこりのかみ】 一宮の叔父

名 称阿蘇神社
所在地熊本県阿蘇市一の宮町宮地3083-1
駐車場あり(無料)
Link阿蘇神社 – 全国に約500社ある「阿蘇神社」の総本社

大観峰

大観峰【だいかんぼう】(標高936m)は、阿蘇北外輪山の最高峰である。

阿蘇カルデラ壁や中央火口丘である阿蘇五岳が一望できる。

阿蘇エリアで多くの観光客が訪れる人気の観光スポットである。

名 称大観峰
所在地熊本県阿蘇市山田
駐車場あり(無料)
Link大観峰 | 【公式】熊本県観光サイト

瀬の本高原

瀬の本高原【せのもとこうげん】(標高850~900m)は、阿蘇北外輪山と九重連山の間に位置するなだらかな高原地帯である。

広々とした草原の南に阿蘇五岳、北に九重連山を望む雄大な景観が広がり、その中央をドライブコースとして人気の高いやまなみハイウェイが走り、周辺には黒川温泉や池山水源などがある。

名 称瀬の本高原
所在地熊本県南小国町満願寺瀬の本
Link瀬の本高原 | 観光 | 熊本県阿蘇郡南小国町 公式HP

菊池渓谷

菊池渓谷【きくちけいこく】は、熊本県の菊池川上流に位置する渓谷である。一帯にはモミ、ツガ、ケヤキなどの広葉樹の原生林が残されており、阿蘇くじゅう国立公園の特別保護地区となっている。

また、菊池水源として「名水百選」に選定されているほか、菊池渓谷自然休養林として「水源の森百選」にも選定されている。

遊歩道が整備されているので散策を楽しむもとができる。

名 称菊池渓谷
所在地熊本県菊池市原5026
駐車場あり(有料)
Link熊本県 菊池渓谷 – 菊池渓谷 公式HP

白川水源

白川水源【しらかわすいげん】は、南阿蘇村大字白川に位置する白川吉見神社の境内から沸き出している水源である。

湧出量は毎分60トンと大量である。私はこれほど多量の湧水量を誇る湧水場を他に知らない。名水百選にも選ばれている。

名 称白川水源
所在地熊本県阿蘇郡南阿蘇村白川2040
駐車場あり(無料)
Link白川水源 | 【公式】熊本県観光サイト

九重連山

九重連山【くじゅうれんざん】は、中岳(標高1,791m)、久住山(1,786m)、稲星山(1,774m)、星生山(1,762m)、三俣山(1,745m)、大船山(1,786m)など1,700m級の山々が連なる山脈である。中岳が最高峰で、久住山が主峰である。


久住高原

久住高原【くじゅうこうげん】は、大分県竹田市に位置し、久住山と大船山の南麓(標高約600~1,100m)の地域に広がる高原である。

名 称久住高原
所在地大分県竹田市久住町大字久住3987
Link久住高原 | 大分県の観光情報公式サイト

坊ガツル

坊ガツル【ぼうガツル】は、久住山と大船山に囲まれた、標高約1,200mの盆地に広がる湿原である。「坊」とは寺院(久住山信仰の中核である法華院)で、「ツル」は「水流」で川のある平らな土地の意味である。つまりは法華院近辺の湿地帯といった意味で名付けられた地名である。湿原の南端に法華院温泉がある。

坊ガツルは人力によって環境が保たれている湿地である。古くは牧草地であったため毎年春に野焼きが行われていたので、大きな樹木が育たず、高山植物が生育していた。現在でも高山植物のために野焼きが実施されている。

坊ガツルは、タデ原湿原とともに、中間湿原として国内最大級の面積を有する湿原であり、「くじゅう坊ガツル・タデ原湿原」としてラムサール条約の登録湿地となっている。

名 称坊ガツル
所在地大分県竹田市久住町有氏
Link坊ガツル湿原 | 大分県の観光情報公式サイト

飯田高原

飯田高原【はんだこうげん】は、久住山北麓にある高原(標高800~1,200m)で、玖珠川の水源地帯でもある。

近郊には長者原温泉郷(寒の地獄温泉・筌の口温泉・長者原温泉など)があり、他には九酔峡九重夢大吊橋などもある。

名 称飯田高原
所在地大分県玖珠郡九重町飯田高原長者原
駐車場あり(無料)
Link飯田高原 | 大分県の観光情報公式サイト

タデ原

タデ原【たでわら】は、大分県九重町の長者原【ちょうじゃばる】にある湿原である。

タデ原には板橋の遊歩道が整備されているので、湿原の中を散策することができる。

坊ガツルとともに、中間湿原として国内最大級の面積を有する湿原であり、「くじゅう坊ガツル・タデ原湿原」としてラムサール条約の登録湿地となっている。

名 称タデ原長者原ビジターセンター
所在地大分県玖珠郡九重町大字田野255-33
駐車場あり(無料)
Link長者原ビジターセンター
タデ原湿原散策コース | 阿蘇くじゅう国立公園 | 環境省

九酔渓

九酔渓【きゅうすいけい】は、大分県九重町を流れる筑後川水系の玖珠川と鳴子川の合流地点にあり、飯田高原の落差を利用して流れ落ちる渓谷である。

高低差約200mのV字谷で滝が多いことでも有名である。中でも震動の滝は「日本の滝百選」にも選定されている名瀑である。

また、斜面一面をモミ、ツガ、カエデなどの落葉樹が覆い尽くし、九州地方有数の紅葉の名所としても知られる。

九酔渓は、大分県の名勝にも指定されている。九重”夢”大吊橋からも、この渓谷の景色を望むことができる。

名 称九酔峡
所在地大分県玖珠郡九重町田野
駐車場あり(有料)
Link九酔渓 | 大分県の観光情報公式サイト

九重夢大吊橋

九重“夢”大吊橋【ここのえ“ゆめ”おおつりはし】は、大分県九重町にある歩行者専用の吊橋である。

長さが390mで日本では2番目であるが、高さは173m(水面より)で日本一を誇る。

吊橋からは、震動の滝や、九酔渓の雄大な景色を望める。

名 称九重“夢”大吊橋
所在地大分県玖珠郡九重町大字田野1208番地
駐車場あり(無料)
Link九重“夢”大吊橋公式サイト

牧ノ戸峠

牧ノ戸峠【まきのととうげ】は、やまなみハイウェイの途中にある峠である。

久住山や黒岩山などへの登山道の入り口があり、九重連山がよく見える。

名 称牧ノ戸峠
所在地大分県玖珠郡九重町牧ノ戸峠
駐車場あり(無料)
Link環境省_くじゅう_施設紹介_牧の戸峠レストハウス

由布岳

由布岳【ゆふだけ】(標高1,583m)は、由布市に位置し、東峰と西峰(最高峰)の2つのピークからなる活火山である。円錐形をしていることから、豊後富士とも称される。

由布院盆地では、由布院温泉の各所から由布岳の独特な山容を望むことができるためランドマーク的存在となっている。

名 称由布岳
所在地大分県由布市湯布院町川上
Link由布岳 | 大分県の観光情報公式サイト
由布岳–大分県由布市(湯布院・庄内・挾間)の観光情報サイト

鶴見岳

鶴見岳【つるみだけ】(標高1,375m)は、別府市にある活火山で、東側山麓の扇状地には別府温泉(別府八湯)が広がる。

山頂へは、別府ロープウェイが中腹の別府高原駅(標高503m)から山頂の鶴見山上駅(標高1,300m)まで通じており、10分足らずで登ることができる。山頂には火男火売神社(通称、御嶽権現)奥院の石祠や鶴見七福神が祀られている。

山頂からは、東方に別府市街や別府湾、南方に城島高原を見おろし、すぐ西側には由布岳、遠方には九重山を望むことができる。

名 称鶴見岳
所在地大分県別府市大字南立石字寒原10-7
Link鶴見岳 | 大分県の観光情報公式サイト
別府ロープウェイ

志高湖

志高湖【しだかこ】は、鶴見岳の南東側山腹の標高約600mの高原にある湖である。湖畔の周囲が約2km、水深が約2~5mであり、別府を代表する観光地の一つとなっている。

名 称志高湖
所在地大分県別府市別府4380-1
Link志高湖 | 大分県の観光情報公式サイト

あとがき

九州地方の山岳を代表する阿蘇山と九重連山を指定区域とする自然公園である「阿蘇くじゅう国立公園」を旅してさらに九州の雄大な大自然の魅力を感じることができた。黒川温泉や由布院温泉など魅力のある温泉地に近いこともこのエリアへの旅をより魅力のあるものにしていると思う。


【参考資料】
仙酔峡 |【公式】熊本県観光サイト
草千里ヶ浜 | 【公式】熊本県観光サイト
米塚 | 【公式】熊本県観光サイト
阿蘇神社 – 全国に約500社ある「阿蘇神社」の総本社
大観峰 | 【公式】熊本県観光サイト
瀬の本高原 | 観光 | 熊本県阿蘇郡南小国町 公式HP
熊本県 菊池渓谷 – 菊池渓谷 公式HP
白川水源 | 【公式】熊本県観光サイト
九酔渓 | 大分県の観光情報公式サイト
九重“夢”大吊橋公式サイト
環境省_くじゅう_施設紹介_牧の戸峠レストハウス
由布岳 | 大分県の観光情報公式サイト
由布岳–大分県由布市(湯布院・庄内・挾間)の観光情報サイト
鶴見岳 | 大分県の観光情報公式サイト
別府ロープウェイ
志高湖 | 大分県の観光情報公式サイト