◆ はじめに
葛城高原
葛城高原【かつらぎこうげん】は、奈良県と大阪府の県境に位置する大和葛城山(標高959m)の山頂付近に広がる高原である。
古くから伝説と歴史が息づく葛城古道の北側の起点近くには登山口があり、山麓からはロープウェイも運行されているため、誰でも気軽に山頂へアクセスできる。山頂からは大和盆地や大阪平野を一望でき、晴れた日には遠く六甲山系まで見渡せる雄大な眺望が広がる。


葛城高原はススキの群生地としてよく知られているが、実は5月のつつじの季節こそ、この高原が最も華やぐ時期と言われている。
山肌一面が真紅に染まる「一目百万本」のつつじは圧巻で、その美しさを目当てに多くの観光客が訪れる。むしろ、つつじの季節のほうが人気が高いと言ってよいだろう。

一方、秋のススキ原は、つつじとは対照的に静けさが漂い、風に揺れる穂が高原全体をやわらかく包み込む。季節ごとにまったく異なる表情を見せるのが葛城高原の魅力であり、何度訪れても新しい発見がある場所である。葛城高原は、例年10月中旬~下旬頃にススキの穂の美しさの見頃を迎える。

ススキの穂の美しさは天候にかなり影響されるが、陽光を浴びて銀色に輝くススキの穂は本当に美しい。筆舌に尽くしがたい。

ススキの穂は日中と夕暮れ時では全く違った表情を見せる。日中は陽光に照らされて銀色に輝くが、夕暮れ時は夕日に照らされて黄金色へと変わる。

葛城山ロープウェイの運行は午後5時が最終発であるので日没時の夕陽に輝くを黄金色のススキの穂を観ることができないのは残念である。


葛城山の山頂には、訪れた人々の目を引く赤い郵便ポストが設置されている。標高959メートルの山上にあるこのポストは、実際に投函が可能な「現役のポスト」で、 山頂を訪れた記念に手紙や絵葉書を投函することができる。
このポストは、山頂の名物として長く親しまれており、 登山者やロープウェイ利用者が旅の思い出として手紙を送る“山上郵便”の役割を果たしている。 投函された郵便物は、山麓の葛城郵便局を経由して通常の郵便と同じように配達されるため、「葛城山山頂」の消印が押されるのも魅力のひとつである。葛城山のポストは、「山頂で手紙を送る」という小さな非日常を楽しめる、旅のアクセントとなる存在と言えるだろう。
| 名 称 | 葛城高原 |
| 所在地 | 奈良県御所市櫛羅 |
| Link | 葛城高原|奈良県観光 |
葛城高原近郊の温泉施設
京阪神から葛城高原へのアクセスは比較的容易で、日帰りでも十分に楽しめる。せっかくなら帰路に温泉でひと息つきたいと思い、近郊の温泉施設を調べてみると、 奈良県御所市の「かもきみの湯」と、五條市の「金剛乃湯」が候補として挙がった。いずれも葛城高原から車で立ち寄りやすく、散策後の身体をゆっくり癒すにはちょうど良い温泉である。
今回は午後に葛城高原へ到着し、午後5時発の最終ロープウェイで下山したため、温泉に立ち寄る時間は残念ながら確保できなかった。しかし、5月のつつじが山肌を真紅に染める季節には、 高原散策の帰りにこれらの温泉へ立ち寄ってみたい―― そんな楽しみがひとつ増えた旅でもあった。
かもきみの湯
かもきみの湯は、奈良県御所市にある日帰り温泉施設で、 葛城高原からも立ち寄りやすい“里山の湯処”として親しまれている。館内は広々としており、内湯・露天風呂・サウナが揃い、特に露天風呂からは御所の山並みを望むことができる。
泉質はアルカリ性単純温泉(ナトリウムー炭酸水素塩・塩化物泉)で、肌あたりがやわらかく、 湯上がりにはしっとりとした“美肌の湯”としての効果が感じられる。地下約1,600mの源泉から汲み上げる温泉の温度は28.4℃と低温であるので加温して使用している。
地元の食材を使った食事処や休憩スペースも充実しており、散策後の身体をゆっくりと整えるには最適の温泉施設である。
葛城高原からのアクセスも良く、 高原の風景を楽しんだ帰りに立ち寄る“締めの湯”としておすすめできる施設である。
| 名 称 | かもきみの湯 |
| 所在地 | 御所市大字五百家333 |
| Link | かもきみの湯 – 天然温泉 |
金剛乃湯
金剛乃湯は、奈良県五條市にある天然温泉で、 金剛山・葛城山エリアの帰路に立ち寄りやすい温泉として人気が高い。 館内には広い内湯、露天風呂、ジャグジー、サウナなど多彩な湯船が揃い、 ゆったりと湯めぐりを楽しむことができる。
泉質は、ナトリウム-塩化物泉であり、入浴すると湯冷めしにくく、お肌もツルツルになる、いわゆる「美肌の湯」である。 地下1,300mからくみ上げられる天然温泉(源泉の温度は60℃)を加水せずにそのまま利用しているという。地表に出たときの水温は26.5℃らしいので加温はしていると思われる。露天風呂では五條の山里の空気を感じながら湯に浸かることができ、 旅の疲れが静かにほどけていく。
館内には食事処や休憩スペースもあり、 温泉だけでなく“ゆっくり過ごす時間”そのものを楽しめる施設である。 葛城高原からの帰路に立ち寄れば、 散策の余韻をそのまま湯に引き継ぐことができるだろう。
| 名 称 | 金剛乃湯 |
| 所在地 | 五條市新町2-874-1 |
| Link | 温泉 金剛乃湯 | 奈良県五條市 |
◆ あとがき
秋晴れの下、葛城高原を歩いていると、思わず昼寝をしたくなるような心地よさに包まれた。 もっとも、家族連れで賑わう場所ではさすがに横になるわけにもいかず、気持ちだけをそっとしまい込んだ。それでも、芝生に寝転んで昼寝を楽しむ人の姿もちらほら見え、そののどかな風景が、この高原が“休日をゆっくり過ごすには最適の場所”であることを物語っていた。
ススキの群生地としての規模は、和歌山県の生石高原と比べるとやや小ぶりではある。しかし、写真を撮るには十分な広がりがあり、何より京阪神からのアクセスが容易なのは大きな魅力だと感じた。
葛城高原は、秋のススキよりもむしろ5月のつつじの季節が有名だという。山肌を真紅に染める「一目百万本」のつつじを、次こそはこの目で見てみたい。その折には、帰路に「かもきみの湯」や「金剛乃湯」に立ち寄り、 スパツーリズムの趣を添えた旅にしてみよう―― そんな楽しみがまたひとつ増えた。