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宇佐神宮、熊野摩崖仏、両子寺を訪ねる国東半島の旅

はじめに

国東半島【くにさきはんとう】は、大分県の北東部に位置し、南側を別府湾、東側を伊予灘と瀬戸内海、北側を周防灘に囲まれている。国東半島には宇佐神宮や熊野磨崖仏などの有名な観光スポットがある。別府温泉に旅する際には、是非、立ち寄ってみたいと思っていたので、念願の旅ができて良かったと思っている。


<目次>
はじめに
国東半島
宇佐神宮
熊野磨崖仏
両子寺
富貴寺
あとがき

国東半島

国東半島【くにさきはんとう】は、大分県の北東部に位置する半島で、南側を別府湾、東側を伊予灘と瀬戸内海、北側を周防灘に囲まれている。そして半島の北には姫島がある。

最高峰の両子山【ふたごさん、ふたごやま】(標高721m)をはじめとする両子火山群の峰々がそびえ、半島全体が円に近い火山地形である。丘陵地と谷が海岸に向かって放射状に伸びる特徴的な地形をしている。

国東半島には、豊後高田市【ぶんごたかだし】、国東市【くにさきし】、杵築市【きつきし】および速見郡【はやみぐん】日出町【ひじちょう】の4つの自治体がある。


宇佐神宮

宇佐神宮(大分県宇佐市)は、4万社余りの八幡神社の総本宮で、御祭神は八幡大神比売大神神功皇后である。

宇佐神宮・上宮・西大門

八幡大神は、応神天皇のご神霊で、571年(欽明天皇の時代)に初めて宇佐の地にご示顕になったと伝わる。

第15代の応神天皇は大陸の文化と産業を輸入し、新しい国づくりをされた天皇である。その天皇が、神亀2年(725年)、現在の地に御殿を造立し、八幡神をお祀りしたのが宇佐神宮の創建の起源だという。

八幡大神の御神徳は強く顕現し、三殿一徳のご神威は、東大寺の大仏建立や道鏡の神託事件の時に皇室を護ったことで朝廷から厚く信仰されてきた。

皇室も伊勢神宮につぐ第二の宗廟としてご崇敬になり、勅祭社16社に列されている。

また皇室だけでなく、清和源氏をはじめ全国の武士も武運の神「弓矢八幡」として崇敬を寄せた。

勿論、一般の人々にも鎮守の神として親しまれてきた。仏教の世界でも八幡大菩薩として崇められ、元寇の時に神風を吹かせた神は八幡大神であるとされている。

宇佐神宮・上宮南中楼門 (ココで参拝し、本殿に見ることはできない)

宇佐の地は畿内出雲と同様に早くから開けたところで、神代比売大神宇佐嶋(宇佐の御許山)に降臨されたと『日本書紀』に記されている。

比売大神とは、天照大御神素戔嗚尊誓約によって誕生したとされる神で、多岐津姫命【たぎつひめのみこと】・市杵嶋姫命【いちきしまひめのみこと】・多紀理姫命【たぎりひめのみこと】の三女神のことをいう。

比売大神八幡神が現われる以前の神、地主神として祀られ崇敬されてきた。八幡神が祀られた8年後の天平5年(733年)に神託により二之御殿が造立され、宇佐の国造は、比売大神をお祀りした。

三之御殿は神託により、弘仁14年(823年)に建立された。応神天皇の御母、神功皇后をお祀りしている。神功皇后は母神として神人交歓、安産、教育等の守護をされており、そのご威徳が高くあらわれている。

宇佐神宮・下宮、三神が祀られているので「下宮参らにゃ片参り」と云われる

八幡信仰とは、応神天皇の聖徳を八幡神として称えると共に、仏教文化と、日本固有の神道習合したものと考えられている。

その長い信仰の歴史は、宇佐神宮の神事や祭会、建造物や宝物などに強く伝承されている。

名 称宇佐神宮
所在地大分県宇佐市南宇佐2859
駐車場あり(有料)
Link八幡総本宮 宇佐神宮

熊野崖仏

熊野磨崖仏は、国内最古にして最大級の磨崖仏として知られている。そこには平安時代末期の作と伝わる「大日如来」と「不動明王」の磨崖仏があり、国指定重要文化財となっている。

熊野磨崖仏への入口は、田原山(鋸山)山麓にある今熊野山胎蔵寺(豊後高田市田染)にある。

この寺の脇から急な山道を300 mほど登ると自然石を乱積にした石段に達する。

鳥居から磨崖仏まで続く100段もの石段には、鬼が一夜にして築いたという伝説も残っている。この急峻な石段を登ると左手が開け、岩壁に刻まれた巨大な磨崖仏2体が姿を現す。

熊野摩崖仏

石段を登りきった場所には熊野神社が鎮座する。

熊野神社

名 称熊野磨崖仏
所在地大分県豊後高田市田染平野
駐車場あり(無料)
Link熊野磨崖仏 | 豊後高田市公式観光サイト

不動明王二童子像

向かって左側に位置するのが半身像の不動明王で、高さが約8mもある。作者は不明だが、鎌倉時代の作とされている。

不動明王二童子像
不動明王二童子像

安山岩質の礫混じりの硬い岩壁に彫られているため、彫り口がやや浅い。通常の明王像とは異なり、口元に柔和な笑みを浮かべているように見えなくもない。

不動明王像の左右両脇には高さ約3 mの矜羯羅童子【こんがらどうじ】と制多迦童子【せいたかどうじ】の二像の痕跡も認められるという。


大日如来像

向かって右に位置するのが半身像の大日如来で、高さが約6.7mもある。高さ約8mのくぼみ(龕【がん】)の中に彫り出されている。

大日如来像
大日如来像

螺髪等の造形的特徴から、不動明王像よりも制作年代が遡ると推定されている。光背上部の種子曼荼羅は鎌倉時代の追刻とされる。

通常の大日如来像は菩薩形(髻を結い、装身具を着ける)に造形されるが、本像は頭髪を螺髪としており、本来の像名は不明である。そのために重要文化財指定名称は「如来形像」になっているという。


両子寺

両子寺【ふたごじ】は、国東半島の最高峰両子山の中腹に位置する寺院である。広大な境内には両子寺七不思議や国東随一と言われる石造仁王像などが点在する。子授け寺としても有名であるらしい。

両子寺は、紅葉の名所としても知られている。

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両子寺参道

名 称両子寺
所在地大分県国東市安岐町両子1548
駐車場あり(無料)
Link両子寺ホームページ

蓮華山 富貴寺

富貴寺【ふきじ】は天台宗の寺院で、阿弥陀如来が本尊である。

富貴寺の大堂【おおどう】は、数少ない貴重な平安建築であり、国宝に指定されている。富貴寺境内も史跡に指定されている。

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富貴寺大堂(国宝)と境内(史跡)
名 称蓮華山 富貴寺
所在地大分県豊後高田市田染字蕗2395
駐車場あり(無料)
Link富貴寺 | 昭和の町・豊後高田市公式観光サイト

あとがき

国東半島には宇佐神宮や熊野磨崖仏のような有名な観光スポットだけでなく、両子寺や富貴寺のような素晴らしい寺院があることを訪れてはじめて私は知ることができた。特に両子寺の紅葉は素晴らしかったにもかかわらず、ゆっくりと散策することができなかったのは心残りである。別府温泉からの日帰りでは時間が足りなくなってしまったからである。次回に訪ねる場合には国東半島内で一泊して十分な時間を確保したいと思う。


【参考資料】
八幡総本宮 宇佐神宮
熊野磨崖仏 | 豊後高田市公式観光サイト
両子寺ホームページ
富貴寺 | 昭和の町・豊後高田市公式観光サイト