月: 2024年7月

  • 清流と森が奏でる渓谷美──中津川・夕森公園の滝めぐり

    目次
    はじめに
    夕森公園の滝めぐり
    竜神の滝
    忘鱗の滝
    銅穴の滝
    アゼ滝
    一ツ滝
    あとがき

    はじめに

    夕森渓谷【ゆうもりけいこく】は、標高約700mの岐阜県中津川市川上【かわうえ】に位置し、木曽川の支流である川上川【かわうえがわ】がつくり出す渓谷である。川上川は中央アルプスを源流とし、清らかな水が深い森を縫うように流れている。この一帯は「裏木曽県立自然公園」に指定され、豊かな自然環境が守られている。

    夕森渓谷に整備された夕森公園【ゆうもりこうえん】には、川上川に沿って遊歩道が続き、四季折々の景観を楽しみながら散策できる。園内には次の5つの滝があり、時間と体力が許せば滝めぐりを満喫できる。

    • 竜神の滝
    • 忘鱗の滝
    • 銅穴の滝
    • アゼ滝
    • 一ツ滝

    これらの滝は美しい自然環境の中に点在し、散策そのものが魅力的だが、同時に注意も必要である。手前にある3つの滝(竜神の滝・忘鱗の滝・銅穴の滝)は比較的歩きやすく、ハイキング気分で楽しめる。一方、奥に位置するアゼ滝・一ツ滝へ向かう場合は、ツキノワグマの出没情報もあるため、熊対策を念頭に置く必要がある。

    初心者向けの「竜神の滝」までは気軽に歩け、夕森公園は春の花々、夏の深緑と清流、秋の紅葉など、四季の移ろいを存分に味わえる。特に秋には1万5千本以上のカエデが色づき、園内は鮮やかな紅葉に包まれる。

    また、毎年10月末から11月中旬にかけて紅葉の見頃を迎え、「夕森もみじまつり」が開催される。フォトコンテストやウォーキング大会、あまご・ます釣り大会など、季節ごとに多彩なイベントも行われているようだ。


    夕森公園の滝めぐり

    竜神の滝

    竜神の滝は、夕森公園内にある主要な滝であり、「岐阜県の名水50選」にも選定されている。竜神の滝への道のりは公園内でも最も容易で、木曽川支流の川上川【かわうえがわ】に沿って整備された遊歩道を歩いていけばよい。総合案内所から約20分以内で到着できる。

    夕森公園の遊歩道を歩いて行くと少なくとも三つの橋が現れる。まず最初の橋は、遊歩道の入口に架かる「せせらぎ橋」である。

    せせらぎ橋から眺める川上川の川原や色づき始めた広葉樹の秋の景色は格別である。紅葉が進めば圧巻の景色となるはずである。

    遊歩道をさらに進んでいくと朱色に塗られた「もみじ橋」が現れる。周囲の緑に朱色の橋が映える絶好の撮影スポットとなる。

    もみじ橋の周辺にはカエデの樹木が多く植栽されているので、紅葉すれば素晴らしい景観を眺めることができることだろう。

    もみじ橋を渡り、急坂を登り切ると遊歩道は「竜神広場」に出る。竜神広場に出れば遊歩道の最上流に位置する「竜神の滝」の展望台はすぐ目の前にある。しかしながら、一方通行なので展望台に行くには「夕森かけ橋」と呼ばれる吊橋を渡って行かなければならない。

    夕森かけ橋(吊橋)を渡れば「竜神の滝」を目にすることができる。

    竜神の滝は、落差12mの直瀑で、水量も多くて迫力のある滝である。滝壺は美しいエメラルドグリーンをしており、いつまでも眺めていたくなる。

    高低差の遊歩道は様々な角度から滝を鑑賞させてくれる。滝の音を聴き、マイナスイオンを浴びれば、元々多くはない私のストレスなど微塵もなく解消されてしまう。

    遊歩道は「竜神の滝」の間近くまで私たちを導いてくれる。こんなに親切な遊歩道を歩いたのは初めての経験である。

    竜神の滝を間近くで見るとエメラルドグリーンの滝壺が実に美しい。水が綺麗な上に、深さも十分に深いあるからであろう。

    夕森公園は、遊歩道に沿って約1万5千本のモミジが植栽されており、紅葉の名所にもなっている。例年11月初旬には紅葉狩りイベントの「夕森渓谷のもみじ」が開催されているという。私たちが訪れたのは10月中旬であり、紅葉が例年よりも10日ほど遅れていたので、紅葉には随分と早かったようだ。

    名 称夕森渓谷夕森公園
    YOU遊館/夕森公園案内所
    所在地中津川市川上1057-4
    TEL0573-74-2144
    駐車場あり(無料)
    アクセスJR中央線坂下駅からバス
    を利用する場合は夕森線・
    夕森公園口で下車
    Link夕森公園 – 岐阜県中津川市
    夕森渓谷(夕森公園)
    夕森渓谷 – 岐阜県

    忘鱗の滝

    「竜神の滝」から徒歩でおよそ15分の距離(上流)の場所にある「忘鱗の滝」【ぼうりんのたき】は、落差20mの分岐瀑であるらしい。「らしい」というのは、私はまだ行ったことがないからである。岩肌を滑り落ちるように流れる繊細な滝である。その名のとおり“魚が鱗を忘れていく”ような、細やかな水の流れが印象的である。周囲の木々が水面に映り込み、季節ごとに異なる表情を見せるため、立ち止まって眺めていたくなる静かな美しさがある。遊歩道も比較的歩きやすく、気軽に立ち寄れる滝であるという。


    銅穴の滝

    「忘鱗の滝」からさらに20分ほど歩いて奥へ進むと現れるのが「銅穴の滝」【どうこうの滝】。落差17mの直瀑であるようだ。岩壁の裂け目から勢いよく水が落ちる姿は迫力があり、周囲の地形がつくり出す“洞穴”のような空間が名前の由来とも言われている。水量が多い時期には轟音が響き、渓谷の力強さを感じさせる滝である。ここまではハイキング気分で歩ける範囲だが、足元は濡れやすいため注意が必要だ。銅穴の滝は、「竜神の滝」から徒歩でおよそ35分の距離(上流)にある滝である。


    アゼ滝

    夕森公園の奥に位置する「アゼ滝」は、訪れる人が比較的少ないため、より深い静寂に包まれた滝である。「銅穴の滝」からさらに20分ほど歩かなければならない。アゼ滝は、実際は三段滝であるようだが、目にすることができるのは落差25mの二段滝である。どこか幽玄で、森の奥にひっそりと佇む“隠れ滝”といった趣がある。道中はやや険しく、ツキノワグマの出没情報もあるため、熊鈴や携帯ラジオなどの対策を整えて向かいたい。アゼ滝は、「竜神の滝」から徒歩でおよそ1時間ほどの距離(上流)にある滝である。


    一ツ滝

    5つの滝の中でも最も奥にある「一ツ滝」は、夕森渓谷の静けさを象徴するような滝である。一ツ滝は、落差18mの直瀑である。一本の白い水柱がまっすぐに落ちる姿は清々しく、周囲の深い森と相まって神秘的な雰囲気を漂わせる。ここまで来ると渓谷の奥深さを実感でき、達成感もひとしおであろう。

    「一ツ滝」は、「アゼ滝」からさらに20分ほど歩かなければならない。「竜神の滝」からだと、徒歩でおよそ1時間20分ほどの距離(上流)にある滝である。道のりは険しいため、十分な装備と時間の余裕をもって訪れたい。


    あとがき

    夕森公園の「竜神の滝」へ向かうには、竜神神社近くの駐車場に車を停めれば、すぐに散策を始められることが分かった。普段着にスニーカーでも問題なく歩ける初心者向けのコースで、滝周辺を写真を撮りながら巡っても、一周15分ほどで十分楽しめる。

    ただし、「竜神の滝」以外の4つの滝を巡るとなると、ある程度の準備が必要になるようだ。すべての滝を往復する場合、少なくとも3時間は見込むべきで、写真撮影や休憩を含めれば4時間ほどかかるだろう。また、奥にあるアゼ滝・一ツ滝方面はツキノワグマの出没情報もあるため、熊対策を念頭に置く必要がある。

    今回、夕森公園を初めて訪れた私たち夫婦には、5つの滝をすべて巡るという計画はなかったため、「竜神の滝」だけを見物することにした。しかし、再訪の機会があれば、ぜひ5つの滝をすべて巡り、夕森渓谷の自然をより深く味わってみたいと思う。


    参考資料
    夕森公園 – 岐阜県中津川市
    夕森渓谷(夕森公園)|岐阜県観光
    夕森渓谷 – 岐阜県(恵那県事務所)

    関連記事
    ランプの灯りに癒されて:渡合温泉と付知峡・渓谷の秘境旅
    日本三名泉・下呂温泉へ!湯巡りと楽しむ観光スポット案内
    天下の名刹を参拝!龍澤山禅昌寺と庭園萬歳洞の風雅な世界
    大自然が彫刻した絶景回廊へ:中山七里の奇岩奇石の探訪旅
    桃太郎伝説の舞台:桃太郎神社で昔話の世界へタイムリープ
    現存天守が語る戦国時代の記憶:犬山城で感じる城下町風情
    アニメ『鬼滅の刃』の名シーンが蘇る!一刀岩を彷彿させる鬼岩公園の奇岩探訪
    古代の火山活動による溶岩流の断面美:巌立と巌立峡の絶景
    清流と岩が織りなす絶景!横谷峡・四滝めぐりの完全ガイド
    エメラルドの清流に刻まれた神秘:飛水峡で甌穴群探訪の旅
    信州ふたつの善光寺へ:元善光寺から始める両詣りのすすめ
    南・中央アルプスの展望台:しらびそ高原への絶景ドライブ
    天空の里と木造校舎の記憶:下栗の里と旧木沢小学校で出会える懐かしい原風景
    日本の原風景を彷彿させる!千代の里・よこね田んぼの棚田
    隠れ宿で味わう癒しと美食:奥天龍不動温泉・佐和屋の魅力
    絶景とスリルが出会う名勝:天龍峡の川下りと遊歩道の散策
    ゲンジボタルの乱舞に心ときめく夜:信州辰野町・ほたる童謡公園とほたる祭り