| <目次> はじめに ランプの宿・渡合温泉旅館 落合温泉へのアクセス 渡合温泉旅館の魅力 秘湯感のあるの温泉 ランプの灯り デジタルデトックス体験 満天の星空 美味しい料理 宿主人のホスピタリティ 付知峡・付知渓谷の魅力 不動渓谷(不動公園) 高樽の滝 渡合三滝 あとがき |
◆ はじめに
山の奥へと分け入るほどに、日常のざわめきが少しずつ遠ざかっていく。 最後の電柱を過ぎ、舗装路が途切れ、渓谷の風だけが頬を撫でる頃── そこに、ランプの灯りだけを頼りに静かに息づく「渡合温泉旅館」が現れる。
電気も電波も届かない付知峡の最深部。 夜になれば、闇の中にランプの炎がほのかに揺れ、まるで時間がゆっくりと巻き戻っていくような、不思議な安らぎが訪れる。
そんな非日常へと足を踏み入れた瞬間から、私たちの旅は静かに動き始めた。
ランプの灯りが揺れる山の宿で過ごす時間は、便利さを手放したときにだけ訪れる、どこか懐かしい静けさに満ちている。 付知峡の深い森、澄んだ空気、渓流の音、そして満天の星空──。
二年続けてこの地を訪れた私たち夫婦は、渡合温泉旅館が持つ“秘境の魅力”にすっかり心を奪われてしまった。
本稿では、ランプの灯りに導かれるように辿った旅の記憶── 渡合温泉旅館でしか味わえない体験の数々を、付知峡の魅力とともに静かに綴っていきたい。
ランプの宿・渡合温泉旅館
岐阜県・付知峡【つけちきょう】の奥深く、山道をさらに分け入った先にひっそりと佇む秘湯の一軒宿──それが渡合温泉旅館である。「ランプの宿」として知られ、岐阜県中津川市加子母渡合に位置する。源泉の発見は江戸時代末期とされ、旅館としての営業は明治時代に遡ると伝えられている。

この宿では自家発電の電気しか使えないため、テレビや冷蔵庫はなく、携帯電話も中継局がないため圏外となる。まさに秘境そのものの環境であり、灯りは今もランプの柔らかな光だけ。静寂に包まれた山里では、時の流れがふっと緩むような不思議な安らぎが訪れる。
木曽川の源流である付知川のせせらぎや野鳥のさえずりが耳に心地よく、澄んだ空気の中で深呼吸をすれば、身体の内側まで清められるようだ。晴天に恵まれれば、夜空には降り注ぐような満天の星が広がる。

夜になると、館内はランプの優しい光に包まれる。素朴で温かみのある空間に揺らめく灯りは、まるで昔話の世界に迷い込んだかのよう。静けさの中でランプの光がより一層際立ち、心の奥にある懐かしさをそっと呼び覚ましてくれる。

温泉は、山の恵みをそのまま湛えたような素朴な湯。湯船に身を沈めると、外からは渓流の音がかすかに響き、自然と一体になるような深い癒しが訪れる。派手さはないが、ここでしか味わえない“山の温泉”の原点が息づいている。
アクセスは決して容易ではない。しかし、その道のりこそが旅情を育み、辿り着いた瞬間に広がる静寂とランプの灯りが、訪れる者を優しく迎えてくれる。便利さとは無縁の、だからこそ忘れられない一夜を過ごせる宿──それが渡合温泉旅館の魅力である。

付知峡一帯には手付かずの原生林が残され、紅葉の名所として知られるほか、春にはシャクナゲ・ヤマザクラ・ツツジ・ヤマブキなどが咲き誇り、花の名所としても名高い。
渡合温泉旅館は 季節営業(4月〜11月)の宿である。冬季(12月〜翌年3月)は積雪によりアクセス道路(林道)が通行止めとなるためだ。また、定休日や臨時休業日もあるため、訪れる際は公式ホームページから予約をしておくことを強くお薦めする。
| 名 称 | ランプの宿・渡合温泉旅館 |
| 所在地 | 岐阜県中津川市加子母渡合 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | ランプの宿 渡合温泉旅館 |
落合温泉へのアクセス
渡合温泉旅館へ向かうには、まず中央自動車道・中津川インターで下車し、国道257号線を下呂方面へおよそ40分進む。やがて「付知峡口」の信号が現れるので、そこを右折して林道へ入る。そのまま約30分ほど走れば、渡合温泉旅館に到着する。
林道は途中から約6kmの未舗装区間となり、想像以上に時間を要する。しかし、この道のりこそが秘境へ向かう旅情を高めてくれる。深い山の静けさに包まれながら進む時間は、渡合温泉へ向かう旅の一部として楽しみたい。
渡合温泉旅館の魅力
スマートフォンが使えないと、多くの現代人は不便さを感じるかもしれない。しかし、その代わりに耳を澄ませば、木曽川の源流である付知川のせせらぎや野鳥のさえずりが聞こえ、澄んだ空気の中で深呼吸をすれば、心身がすっと軽くなるような心地よさがある。夜には宿を包むランプの優しい光に癒され、晴天に恵まれれば、降り注ぐような満天の星空を楽しむことができる。
渡合温泉の「ランプの宿」は、日常の喧騒から離れ、静かな非日常を味わいたい人にとって、まさに理想的な場所である。私たち夫婦もすっかりこの宿の魅力に惹かれ、二年続けて訪れるほどのお気に入りとなっている。
ここからは、秘湯感あふれるランプの宿・渡合温泉旅館の魅力を、私なりにもう少し詳しく綴ってみたいと思う。
秘湯感の溢れる温泉
渡合温泉の泉質は アルカリ性単純炭酸泉(pH 8.1) で、源泉温度は 10.5℃の冷泉。そのため加温して利用されている。燃料には高野槙【こうやまき】が使われており、山里ならではの素朴な湯守りの姿が今も息づいている。加温はしているものの、循環は行わず掛け流しで提供されているのは、湧出量が十分にあるためだろう。
泉質の効能としては、きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症 などが知られている。いずれも炭酸泉やアルカリ性の湯が持つ一般的な適応症と一致しており、内容としても妥当である。
浴槽は檜風呂で、湯に浸かると木の香りがふわりと立ちのぼり、心身がほどけていくような心地よさがある。一人で湯船に身を沈めていると、まさに贅沢な温泉だと実感する。入浴時間は 午前7時から午後8時半までと決められているが、山奥の小さな宿で、しかも数組の宿泊客を迎える体制としては十分すぎるほどだ。
日が暮れると、浴室にもランプの揺れる灯りが映り込み、幻想的な雰囲気の中で湯を楽しむことができる。静寂に包まれた山の夜に、ランプの光と温泉の温もりが寄り添う時間は、ここでしか味わえない特別なひとときである。
ランプの灯り
渡合温泉は付知峡上流部の奥まった場所にある一軒宿で、電力会社からの送電は行われていない。そのため必要な電力はすべて自家発電で賄われており、客室には白熱電灯があるだけで、テレビも冷蔵庫も備えられていない。


日中の照明は自家発電による電灯が使われるが、夜間(午後10時以降)は灯油を燃料とするランプ(ランタン)に切り替わる。この独特の灯りの文化こそが、渡合温泉旅館が「ランプの宿」と呼ばれる所以である。館内にはさまざまな種類のランプが並び、コレクションを眺めるだけでも心が躍る。


自家発電による白熱電灯は午後10時で消灯となり、翌朝7時までは灯りが落ちる。しかし、夕暮れが近づくと館内のあちこちにランプが灯され、穏やかな炎が静かな山の夜に優しく揺らめく。消灯後の客室に残るのは、ランプ一つの柔らかな光だけ。その小さな灯りを眺めていると、なぜか心がふっと癒される。不思議な安らぎがそこにはある。

デジタルデトックス体験
渡合温泉旅館の周辺には携帯電話の電波中継局がなく、携帯電話は一切使用できない。緊急時には衛星電話が用意されているだけで、まさに“秘境”という言葉がふさわしい環境である。

電気も自家発電に限られるため、夜はランプの灯りの下で静かな時間を過ごすしかない。私たちの生活は、いつの間にかスマートフォンがないと不便に感じるほど依存度が高まっているが、ここ渡合温泉では否応なく「デジタルデトックス」を体験することになる。
デジタルデトックスとは、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器から意図的に距離を置き、心身のストレスや疲労を軽減・回復させる習慣のことを指す。デジタル機器が生活に欠かせない現代だからこそ、適切な距離感を保つことはますます重要になっている。

デジタルデトックスには、次のような効果が期待される。
- 脳疲労の軽減
- デジタル機器からの情報過多は脳の疲労を招く
- デジタルデトックスはその負担を和らげる
- 体調不良の改善
- 長時間の画面使用は眼精疲労や肩こりを引き起こす
- 機器から離れることでこれらの症状が軽減される
- 睡眠の質の向上
- ブルーライトは交感神経を刺激し、睡眠の質を低下させる
- デジタルデトックスは自然な眠りを取り戻す助けとなる
- SNS疲れの軽減
- SNSの頻繁なチェックはストレスの原因となる
- 距離を置くことで心が軽くなる
- 時間にゆとりが生まれる
- デジタル機器に費やす時間が減り、読書や散策など他の有意義な活動に時間を使える

ただし、渡合温泉旅館でのデジタルデトックス体験には一つだけ残念な点がある。それは 連泊ができない ことである。せっかくのデジタルデトックスも一日限りとなる。しかし、現代人にとっては一日でも十分に効果を実感できるだろう。
満天の星空
渡合温泉旅館は一軒宿であり、夜間には電灯が灯らないため、外に出ると漆黒の闇が広がる。標高の高い山奥に位置し、空気が澄んでいることもあって、雲さえなければ満天の星空を楽しむことができる。

私たちが初めて渡合温泉を訪れたのは、偶然にも10月の新月の夜だった。月明かりがないため、星々の輝きがいっそう際立ち、旅館の駐車場から見上げた空は息をのむほど美しかった。すると、天文観察を趣味とする宿の主人の息子さん──七代目・今井氏──が、私たち宿泊者を四輪駆動車に乗せ、高台の広場へと「星空ナイトツアー」に案内してくれた。

秋の星座であるカシオペア座をはじめ、満天の星々に言葉を失うほど感動した。なかでも木星(ジュピター)の圧倒的な明るさは、今も鮮明に心に残っている。

秋の渡合温泉の夜は非常に冷え込む。星空観察には防寒対策が欠かせない。しかし七代目今井氏は、星空観察用の椅子や毛布、湯たんぽ、温かい飲み物まで用意してくださり、その心遣いが身に沁みた。満天の星空を見上げながらいただいたロイヤルミルクティーは、人生で最も美味しい一杯だった。私はこの味を決して忘れないだろう。

天候にも恵まれ、私たちは本当に幸運だった。「雨女」の妻も大喜びであったことは言うまでもない。

七代目今井氏のホスピタリティは、妻の心を完全につかんだようだ。彼女は「来年も必ず渡合温泉に来て、星空を観たい」と言った──いや、確かにそう言った。

そして翌年、2024年6月6日の新月に再訪した。梅雨入り前で星空を期待したが、その夜はあいにくの曇天で星を見ることはできなかった。

それでも、わずかな晴れ間を信じて待っていると、七代目今井氏は客室前に星空観察用の椅子を二脚そっと用意してくれていた。その心遣いに胸が熱くなった。結局、星空は姿を見せなかったが、彼の真心に触れたことで、私の心の中には満天の星空が確かに輝いていた。

美味しい料理
電気も通っていない山奥の旅館ということで、正直、食事にはあまり期待していなかった。しかし、その認識は見事に覆された。夕食も朝食もどれも美味しく、ダイエット中であるにもかかわらず、私は思わず完食してしまった。

地元の旬の食材を使った料理はどれも滋味深く、特にアマゴやイワナといった川魚、そして季節ごとの山菜料理は格別であった。伝統的な調理法で仕上げられた囲炉裏焼きの魚は香ばしく、噛むほどに旨味が広がる。また、山菜や茸の天ぷらはサクサクと軽く、私はすっかりその味の虜になってしまった。

渡合温泉旅館の名物料理として忘れてはならないのが、「わらじ五平餅」 である。顔ほどの大きさがある特大サイズで、見た目のインパクトもさることながら、香ばしい味噌だれが食欲をそそる。


特大五平餅をいただくと白飯がほとんど食べられなくなるのだが、その白飯がまた驚くほど美味しい。どの銘柄の米を使い、どのように炊いているのか──思わず気になってしまうほどの味わいである。

宿主人のホスピタリティ
渡合温泉の源泉は江戸時代末期に発見されたと伝えられ、旅館としての営業は明治時代に遡るという。現在の主人・今井俊博氏は六代目にあたる。
今井俊博氏はとても気さくで、話術に長けた魅力的な方である。夕食後には、夜間に客室で使用するランプの扱い方や注意点を、宿泊客に丁寧に説明するのが恒例となっている。ランプの燃料がエタノールではなく灯油であることを私が知ったのも、この宿に泊まったことがきっかけだった。


今井氏はランプの操作方法だけでなく、ロープの結び方や火打ち石の使い方など、山で役立つ知識を軽妙な語り口で教えてくれる。渡合温泉は電波も届かず、テレビもない山奥の宿であるため、こうした時間は宿泊客への心温まるサービスとして続けられているのだろう。

今井氏の講義を聞いていると、あっという間に時間が過ぎてしまうほど楽しい。彼の卓越したコミュニケーション力には、思わず感心してしまう。


もちろん、食後に客室で静寂を楽しむのも自由である。しかし、せっかくの機会なので、宿の主人や他の宿泊客との交流は旅の良い思い出になる。


六代目のサービスは翌朝にも続く。朝食後にはさまざまなゲームが用意されており、夢中になっているうちに気づけばチェックアウトの時刻(午前10時)が近づいている。

渡合温泉旅館に二度宿泊して気づいたことがある。六代目はリピーターが退屈しないよう、初回と二回目では夕食後の「講義」や翌朝のゲーム内容をさりげなく変えてくれるのだ。サービスの質は変わらないが、趣向を凝らした工夫が随所に感じられる。
例えば、初回はモデルガンを使った射的だったが、二回目は吹矢に変わっていた。どちらも楽しいが、吹矢は特に盛り上がり、妻は珍しく童心に返って夢中になっていた。

六代目今井氏のホスピタリティには、心から感謝したい。渡合温泉旅館にリピーターが多いという話も、実際に宿泊してみれば納得である。

さらに、七代目・今井氏のご厚意で、思いがけず星空観察を体験できたことも忘れられない。私たちの旅が特別なものになったのは、彼の温かい心遣いのおかげと言ってよい。
女将さんとの何気ない会話も心地よく、渡合温泉旅館のホスピタリティに触れた私たち夫婦は、きっとこれからもリピーターであり続けるだろう。
こうして触れた人の温もりこそが、渡合温泉旅館を何度でも訪れたくなる最大の理由なのだと、私たちは深く実感した。
付知峡・付知渓谷の魅力
付知峡【つけちきょう】は、岐阜県中津川市付知町に位置する美しい渓谷で、木曽川支流の付知川【つけちかわ】の源流にある。付知川は、その澄んだ水から「青川」とも呼ばれている。

付知川は、御嶽山の南麓から流れ出ており、不動滝や高樽滝をはじめ、大小さまざまな滝が点在する。付知峡には、手つかずの原生林が広がり、「森林浴の森日本100選」、「岐阜県名水50選」、「飛騨美濃紅葉33選」などにも選定されている景勝地である。
春にはシャクナゲ、ヤマザクラ、ツツジ、ヤマブキなどの花々が咲き誇り、新緑の季節を経て、夏には緑豊かな木々に囲まれた涼しい川遊びや釣りを楽しめるほかキャンプ場でキャンプを楽しむこともできる。そして秋には紅葉といった四季折々の風景を楽しむことができる。
不動渓谷(不動公園)
付知峡【つけちきょう】は、岐阜県中津川市付知町にある峡谷である。木曽川の支流である付知川【つけちがわ】の源流域に位置し、裏木曽県立自然公園の指定区域に含まれる。付知峡における観光スポットは、奇岩が重なりあって大渓谷をつくる不動渓谷である。不動渓谷の周辺は不動公園として整備されており、自然を満喫できる素晴らしい自然公園となっている。

不動公園には不動滝、観音滝、仙樽の滝などと名付けられた滝があり、滝好きにはたまらないスポットとなっている。滝への遊歩道も整備されている。公園の入り口には案内図があるので、散策前に見ておくと迷わずに進むことができるはずである。

不動公園の遊歩道を散策していて最初に目にすることになるのが観音滝である。観音滝は豪快な直瀑で、エメラルドグリーンの滝壺も美しい。滝を真正面から見れないのは少し残念である。

観音滝のすぐ下流に位置するのが不動滝である。公園の入り口から不動滝までは歩いて約10分ほどで到着できる。滝付近の地形は険しく、観瀑台の上からしか見ることができないのが残念な点であるが、エメラルドグリーンの滝壺には一見の価値がある。

仙樽の滝は岩盤の奥まったところにあり、沢に下りないとその姿を見ることができない。ところが仙樽の滝への遊歩道が、通行止めとなっており、残念ながら目にすることはできなかった。不動公園では、仙樽の滝がメインの滝であると思うので、改修工事が早く完了し、遊歩道が復旧することを願っている。


不動公園の奥にはBeGreen日和立というキャンプ場があり、夏季は多くの観光客で賑わうという。
不動公園内ではシャクナゲやコブシなどさまざまな植物を見ることができるので、開花時期が合えば四季折々の風景を楽しむことができるはずである。また、約1時間程度で公園内を散策することができるので、森林浴を楽しみながら、のんびりと散策するのも良いかも知れない。
尚、公園内にはトイレがないため、出発前に駐車場にあるトイレを利用しておくことが推奨される。
| 名 称 | 付知峡・不動渓谷 (不動公園) |
| 所在地 | 中津川市付知町下浦 |
| TEL | 0573-82-4737 (付知町観光協会) 岐阜県中津川市付知町6-39 |
| アクセス | 中央道中津川ICから 車で約50分 |
| Link | 付知峡「岐阜の旅ガイド」 不動渓谷滝群 – 岐阜県 |
高樽の滝

付知川は、「青川」と呼ばれるほど透明度の高い清流で知られ、木曽御嶽山の南麓に源流がある一級河川である。付知川(西俣谷)と高樽谷の合流地点には「高樽の滝」と呼ばれる、落差約20~30mの豪快な直瀑がある。

岐阜県中津川市北部に位置する高樽山(標高1672m)を源流とする高樽谷が西俣谷(付知川)に合流する場所は断崖絶壁になっているので直瀑となって一気に流れ落ちる。それが「高樽の滝」である。

付知峡に位置する美しい滝である高樽の滝は、付知峡の上流・渡合温泉に向かう途中の林道で見ることができる。滝の周辺には木造橋や眺望台が整備されており、滝を上下の視点から楽しむことができる。

滝壺の美しさもさることながら、天気が良い日に西日が当たると滝壺付近に虹が架かることもあるという。

落差約20~30mの直瀑であり、豊富な水量の豪瀑であるので、きっと滝壺周辺には多量の水滴が漂っているのであろう。

この美しい滝の周辺は自然が豊かであり、四季折々の風景を楽しむことができるはずである。自然愛好家やアマチュア写真家に人気が高い知る人ぞ知る絶景スポットの一つであり、是非、一度は訪ねてみてほしい。そして、絶景と自然を満喫して頂きたい。

渡合三滝
渡合三滝は、付知川上流部に位置し、渡合温泉からさらに奥にあると言われている。「言われている」と記したのは、私はまだ目にしたことがないからである。二度ばかり渡合温泉を訪れているが、残念ながら2度ともに渡合三滝への登山道が崖崩れのため不通になっており、立ち入り禁止になっていたからである。残念ながら復旧の目途が立っていないらしい。

渡合三滝は、親滝・子滝・木曽越の滝の三滝から成り立っているという。親滝と子滝は、直瀑で、落差はそれぞれ20mと13mであるらしい。一方、木曽越の滝は、斜瀑で、落差は23mであるという。
これらの滝は、その美しさから訪れる人々に深い印象を与えるらしい。特に、直瀑である親滝はその落差から壮大な景色を提供しているであろうし、斜滝である木曽越の滝は斜めに流れる水が独特の風景を作り出しているに違いない。登山道が復旧し、近い将来、訪れることができることを願っている。
◆ あとがき
本稿では、渡合温泉旅館の魅力をできる限り綴ったつもりであるが、その魅力をどこまで伝えられたかとなると、正直なところ心もとない。文章力の未熟さを思う一方で、私たち夫婦が二年続けてこの宿を訪れているという事実こそが、何よりの証しではないかとも感じている。
もし来年も宿泊予約を取ることができれば、私たちはきっと再びこの宿を訪れるだろう。渡合温泉旅館には、そう思わせるだけの確かな魅力がある。
こうして振り返るほどに、渡合温泉旅館で過ごした時間は、私たちの心に静かに、そして確かに灯り続けている。
そして、この静かな秘境で得た深い癒しの時間こそ、まさにスパツーリズムが目指す「心身の再生」を体現するものだと、改めて感じている。