投稿者: takaaki.nishioka

  • 四国の風景を走る──佐田岬から四国カルスト・瓶ヶ森・道後温泉へと続く旅

    目次
    はじめに
    佐田岬・佐田岬灯台
    佐田岬メロディーラインを走る
    大洲城
    臥龍山荘
    四国カルスト
    瓶ヶ森──UFOライン
    道後温泉
    伊予松山城
    双海の海岸・ふたみシーサイド公園
    下灘駅
    四国の風景を走るという体験
    あとがき

    はじめに

    四国の旅は、風景の変化が豊かである。 海、岬、高原、山岳、そして温泉── そのすべてが一つの島の中で連続して現れる。

    今回の旅では、四国の西端・佐田岬から始まり、 天空の高原・四国カルスト、 稜線の絶景道路・瓶ヶ森、 そして松山の道後温泉へと続く道を走った。

    車を走らせるたびに風景が変わり、 その変化が旅のリズムとなって心を整えてくれる。 四国の自然は雄大でありながら、どこか優しく、 走るほどにその奥行きが静かに広がっていった。


    佐田岬・佐田岬灯台

    ──四国最西端の風景

    愛媛県の地図を眺めると、九州に向かって細長く突き出た半島があるが、その先端が四国最西端の佐田岬【さだみさき】である。

    佐田岬は、四国の最西端に伸びる細長い半島で、 海と風がつくる雄大な風景が広がっている。 岬の先端に立つと、 伊予灘の青い海がどこまでも続き、 風が絶えず吹き抜けていく。

    佐田岬

    灯台へ続く道は緩やかで歩きやすく、 海を眺めながら進む時間は心地よい。 半島の細さゆえ、左右どちらを見ても海が広がり、 「海の上を歩いている」ような感覚になる。

    佐田岬灯台は、大正7年(1918年)に佐田岬半島の先端の岸壁に建設された白亜の灯台である。塔高は18 m、灯高は49 mであり、光達距離は19海里(約35km)に及ぶとされる。

    佐田岬佐田岬灯台

    四国の最西端に位置するため、晴れた日には豊予海峡を隔てて九州を遠望できる。夕暮れになると海に沈む夕日を間近に眺めることもできる。

    佐田岬佐田岬灯台

    佐田岬灯台へは車を利用すれば松山道大洲北只ICより国道197号を経由して約1時間30分で行ける。灯台近くの駐車場からは徒歩20分ほどで到着できる。佐田岬は、四国の旅の始まりにふさわしい、 開放感に満ちた風景だった。

    名 称佐田岬・佐田岬灯台
    所在地西宇和郡伊方町正野
    駐車場あり(無料)
    Link佐田岬灯台|愛媛県
    佐田岬半島の情報サイト

    佐田岬メロディーラインを走る

    佐田岬メロディーラインは、国道197号のうち、愛媛県八幡浜市から西宇和郡伊方町までの区間(約40km)の愛称である。佐田岬半島の尾根に沿って半島の付け根から先端まで伸びている。先端まで行けば、佐田岬灯台がある。「メロディー」の由来は、風と潮騒、野鳥のさえずり等の自然の音が聞こえる佐田岬半島のイメージから想起されたものであるという。

    せと風の丘パークからの展望

    現在、一部の区間がメロディー道路工法の舗装路面になっている。メロディー道路とは、タイヤの走行ノイズ音によって車が曲を奏でるようにした道路のことである。

    日本一細長いと評される佐田岬半島の中央線上の尾根伝いを貫く道路であり、「頂上線」とも呼ばれる。展望台が所々にあり、景色は素晴らしい。

    佐田岬から内陸へ戻る道は、この「佐田岬メロディーライン」と呼ばれる快走路である。 緩やかなアップダウンとカーブが続き、 車を走らせるだけで気持ちが軽くなる。

    せと風の丘パークからの展望

    その佐田岬メロディーラインから少し外れたルートに「風車コース」と言う道がある。風車コースはその名前の通り風車の中を通る道で、佐田岬メロディーラインよりも標高の高い位置から佐田岬を見下ろすことができる。

    道沿いには風車が立ち並び、 白い風車が青空の下でゆっくり回る姿は、 佐田岬の象徴的な風景となっている。

    風車コースの山道をしばらく走ると、山の尾根上に風車が立ち並ぶ「風車の道」に出る。この風車群は「せと風の丘パーク」と称して、風力発電事業を兼ねた展望公園として整備されており、広い駐車場も完備されている。

    せと風の丘パークからの展望

    せと風の丘パークは、58基もの風車が回る佐田岬半島のほぼ中心に位置し、風車と海・半島を一望できる丘にある。佐田岬半島有数の展望スポットにもなっている。

    風車【ふうしゃ】とは、羽根車に風を受けて回転し、風力から動力を得るための装置のことである。風力発電などに使われる風車(風力原動機;wind turbine)を目にする機会が以前よりも増えてきている。初めて風車を観たときには、その大きさに驚いたものだ。最近ではその風車の大きさよりも風車が何故その土地の、その場所に設置されているのかの方に関心が移っている。

    海と高原が交互に現れ、 走るたびに景色が変わるこの道は、 四国の車旅の楽しさを最初に教えてくれる場所だった。

    名 称せと風の丘パーク
    所在地西宇和郡伊方町川之浜
    Linkせと風の丘パーク
    せと風の丘パーク|伊方町

    大洲城

    大洲城は、伊予と宇和島をつなぐ交通の要所に建っていたが、明治後に解体された。現在の天守は地元の建材を用いて復元されたものである。4階建ての天守からは大洲市の街並みや肱川【ひじかわ】の美しい景色を一望でき、その眺めは絶景である。大洲城は歴史と文化、そして美しい景観を楽しむことができる素晴らしい景勝地である。

    画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSC06074-1024x685.jpg
    大洲城(愛媛県大洲市大洲903)

    大洲城へは、車を利用すれば、松山道大洲南ICよりおよそ5分ほどで到着できる。

    大洲城」の詳細はこちらから


    臥龍山荘

    臥龍山荘【がりゅうさんそう】は、愛媛県大洲市にある山荘で、ある。臥龍院【がりゅういん】(母屋)、不老庵【ふろうあん】(客室)、知止庵【ちしあん】(茶室)などの建造物と庭園からなる。これらの建造物は国の重要文化財であり、庭園は国の名勝となっている。

    臥龍山荘へは、車を利用すれば、松山道大洲南ICから約10分ほどで到着できる。

    臥龍山荘」の詳細はこちらから


    四国カルスト

    ──天空の高原をゆく

    佐田岬から山間部へ向かうと、 四国カルストの広大な高原が姿を現す。 標高1,400m前後の高原は、「天空の道」と呼びたくなるほど視界が開けている。

    四国カルスト公園縦断線天空の道(県道383号線)/姫鶴平方面を望む

    石灰岩の白い岩が点在し、 緑の草原と青空が重なる風景は、 どこかヨーロッパの高原を思わせる。

    四国カルスト姫鶴平

    風が強い日には、 草原が波のように揺れ、 雲が影を落として風景が刻々と変わる。

    四国カルスト天狗高原

    四国カルストへは、車を利用すれば、松山道内子五十崎ICより国道197号、県道36号経由で約50分で行くことができる。四国カルストは、 四国の中央高地の雄大さを象徴する場所だった。

    四国カルスト」の詳細はこちらから


    瓶ヶ森──UFOライン

    四国カルストからさらに東へ進むと、 瓶ヶ森の稜線を走る「UFOライン」が現れる。 標高1,300m前後の稜線道路は、 まるで空の上を走っているような爽快感がある。

    瓶ヶ森林道UFOライン──雄峰ライン

    晴れた日は石鎚山系の山並みが遠くまで見渡せ、 曇りの日は雲海が広がり、 幻想的な風景が現れる。

    瓶ヶ森林道UFOライン──雄峰ライン

    道路は細く、曲がりくねっているが、 その分、視界が開けた瞬間の美しさは格別である。

    瓶ヶ森は、四国の山岳風景の中でも特に印象深い場所だった。

    瓶ヶ森──UFOライン」の詳細はこちらから


    道後温泉

    ──旅の締めくくりにふさわしい癒し

    山岳の風景を走り抜け、 松山へ向かうと、道後温泉が旅人を迎えてくれる。道後温泉は、有馬温泉 (兵庫県)や 白浜温泉 (和歌山県)と共に日本三古湯の一つであり、その歴史は約三千年ともいわれ、日本書紀など史実上の記録にも登場する。日本最古の温泉といわれる道後温泉は、 歴史と風情があり、 湯に浸かるだけで旅の疲れがゆっくりほどけていく。

    四国の風景を走ったあとに訪れる道後温泉は、 まさに「旅の締めくくりにふさわしい場所」であり、 心と体を静かに整えてくれる時間となった。

    道後温泉に泊まりながら愛媛県が誇る景勝地を巡る旅は、スパツーリズムの観点からも、私たちシニア世代だけではなく他の世代の多くの人にとって魅力的だと思う。

    道後温泉」の詳細はこちらから


    伊予松山城

    松山の中心にそびえる松山城は、城下町を静かに見守り続けてきた名城である。 標高132メートルの勝山に築かれた天守へ向かう道は、 石段や緩やかな坂が続き、歩くほどに木々の香りが深まっていく。

    画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSC06559-1024x685.jpg
    松山城天守(愛媛県松山市丸之内1)

    現存12天守のひとつとして知られる松山城は、 堅牢な石垣と優美な天守が調和し、 武家文化の気品と実用性がそのまま残されている。 天守から眺める松山の街並みは、 遠く瀬戸内海まで続く穏やかな景色で、 訪れる者の心を静かに開いてくれる。

    城内の板張りの廊下や展示品には、 加藤嘉明・松平家の歴史が息づき、 歩くたびに時代の気配がそっと寄り添う。 松山城は、ただの観光地ではなく、 「歴史の静けさ」を体感できる場所である。

    伊予松山城」の詳細はこちらから


    双海の海岸・ふたみシーサイド公園

    伊予灘に沿って続く双海の海岸は、「日本の夕陽百選」に選ばれた美しい夕景の名所として知られている。 ふたみシーサイド公園に立つと、 海と空がゆっくりと溶け合うような広がりが目の前に現れる。

    波の音は穏やかで、 海風が頬をかすめるたびに心がゆっくりとほどけていく。 夕方になると、水平線に沈む夕陽が海面を赤く染め、 旅人の歩みを静かに止めるほどの美しさを見せる。

    画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: DSC06444-1024x685.jpg
    ふたみシーサイド公園での夕陽

    公園には「恋人の聖地」として知られる鐘や、 海を眺めながら休めるベンチが点在し、 ゆっくりと海を眺める時間が心に深い余白をつくってくれる。双海の海岸は、 瀬戸内の穏やかさと旅情が最も美しく重なる場所である。

    双海の海岸・ふたみシーサイド公園」の詳細はこちらから


    下灘駅

    松山駅(松山市)を経て、宇和海に沿って宇和島駅(宇和島市)に至る予讃線【よさんせん】(JR四国)が通る海沿いの駅の一つに下灘駅【しもなだえき】がある。

    伊予灘に寄り添うように佇む下灘駅は、「海に一番近い駅」として多くの旅人を魅了してきた。ホームに立つと、 目の前には遮るもののない海の広がりがあり、まるで海の上に駅が浮かんでいるかのような錯覚さえ覚える。

    列車が来ない時間帯は特に静かで、ホームに座って海を眺めていると、 風の音と波の気配だけがそっと寄り添ってくる。

    この駅のホームからは瀬戸内海(伊予灘)が一望でき、日中の青い海や、夕方には、海と空がゆっくりと色を変え、 駅全体が柔らかな光に包まれる。

    映画やドラマのロケ地として知られるが、 実際に訪れると、その静けさこそが最大の魅力だと気づく。 駅員のいない無人の駅であるにもかかわらず知名度は高いのは、映画のロケ地やポスターの撮影場所としてもよく利用されているからだという。

    確かに古びたベンチと屋根もどこかノスタルジックで、いわゆるSNS映えするスポットではあるようだ。

    下灘駅は、旅の途中でふと立ち止まり、「風景の中に身を置く時間」を味わえる特別な場所である。下灘駅へは、車を利用すれば、松山道伊予ICから国道378号経由で約25分ほどで到着できる。

    名 称下灘駅
    所在地伊予市双海町大久保
    駐車場なし(駅前に停車、又はしもなだ運動公園の駐車場;
    駅まで徒歩15分)
    Link伊予市/JR下灘駅

    四国の風景を走るという体験

    佐田岬の海、 四国カルストの高原、 瓶ヶ森の稜線、 そして道後温泉の静かな湯──四国の旅は、風景の変化が豊かで、 車を走らせるたびに景色が移り変わる。走り、歩き、眺める── その一つひとつの動作が、 旅の中で心を整えてくれるようだった。四国は、季節を変えて訪れれば、 また違った表情で迎えてくれるだろう。


    あとがき

    佐田岬から四国カルスト、瓶ヶ森、そして道後温泉へ── 四国の風景を走る旅は、海、高原、山岳、温泉という多彩な表情が途切れることなく続く、豊かな時間だった。 車を走らせるたびに景色が静かに変わり、その変化が旅のリズムとなって心をゆっくり整えてくれる。

    四国の自然は雄大でありながら、どこか優しく、旅人を包み込むような力がある。 季節を変えて訪れれば、光の色も風の匂いもまったく違う表情を見せてくれるだろう。 その日を静かに楽しみにしたい。

    道後温泉では、温泉街の散策や松山城など市内観光だけでも十分に満足できる。 湯に浸かり、街を歩き、歴史にふれる──それだけで旅の時間は豊かに満ちていく。

    しかしながら、車が利用できるのであれば、道後温泉を拠点にして愛媛県が誇る景勝地へ足を伸ばす旅は、さらに深い満足をもたらしてくれる。 双海の海岸・ふたみシーサイド公園や下灘駅は、いずれも伊予灘の穏やかな海と夕陽が美しい場所であり、訪れる価値が十分にある。むしろ、道後温泉に滞在するからこそ、これらの絶景を積極的に観に行くべきではないだろうか。 愛媛県には一見の価値がある風景が多く、見逃してしまうのはどこかモッタイナイ気がする。

    旅は、歩く速度を少し落とし、静けさの中にある美しさを見つける時間でもある。 四国の風景は、その歩みをそっと後押ししてくれる。


    関連記事

    玉造温泉と宍道湖温泉に泊まり神社や日本庭園を周遊する旅
    清少納言のお勧め榊原温泉の魅力と青山高原散策の旅
    生石高原で散策を満喫し、しみず温泉で汗を流す旅
    曽爾高原で散策を満喫し、「お亀の湯」で汗を流す旅
    砥峰高原で散策を満喫し、かさがた温泉で汗を流す旅
    上山高原で散策を満喫し、湯村温泉で汗を流す旅
    みたらい渓谷を散策して、洞川温泉の湯に浸たる旅
    高野龍神スカイラインで、高野山から龍神温泉への旅
    勝浦温泉を起点に熊野古道を経て熊野三山をめぐる旅
    立山室堂、黒部ダム、黒部峡谷及び宇奈月温泉への旅
    別府温泉/別府八湯の魅力と湯めぐり・別府観光の旅
    由布院温泉の魅力、ココを拠点に九酔渓と耶馬渓の旅
    雲仙温泉の魅力と島原半島の歴史・文化遺産を巡る旅
    南紀白浜温泉の魅力と三段壁・千畳敷・円月島への旅