投稿者: takaaki.nishioka

  • 竹田城址を歩く──雲海に浮かぶ“天空の城”の静けさ

    目次
    はじめに
    天空の城へ
    雲海に包まれる石垣
    山城が語る歴史
    天空の眺望
    歩き終えて感じる余韻
    あとがき

    はじめに

    兵庫県朝来市にある竹田城址は、「天空の城」と呼ばれるほど雄大な山城である。 秋から冬にかけては雲海が立ちのぼり、城跡がまるで空に浮かんでいるような幻想的な姿を見せてくれる。 石垣の上を歩けば、山々の稜線が静かに連なり、風が運ぶ音だけが耳に届く── その静けさは、訪れる者の心をゆっくりと整えてくれる。本稿では、竹田城址を歩きながら出会った雲海の風景、山城の魅力、そして静かな時間を綴りたいと思う。


    天空の城へ

    ──山城へ向かう道の高揚感

    竹田城址へ向かう道は、山城ならではの高揚感に満ちている。 麓から城跡までは、ゆるやかな坂道と山道が続き、 歩くほどに視界が開けていく。 朝の光が山肌を照らし、空気が澄んでいる日は、 「この先にどんな風景が待っているのだろう」と胸が静かに弾む。

    山城は、平地の城とは違い、 自然の中に築かれた防御の要だ。 そのため、歩いて向かう過程そのものが、 城の歴史を体感する時間になる。木々の間を抜ける風、鳥の声、そして、山の斜面に沿って続く石段──それらが、訪れる者をゆっくりと天空の城へと導いてくれる。


    雲海に包まれる石垣

    ──竹田城址が見せる幻想の風景

    竹田城址の最大の魅力は、なんといっても雲海だ。特に晩秋から初冬の早朝は、山々の谷間に白い雲が立ちこめ、城跡がその上に浮かんでいるように見える。

    石垣の上に立つと、 眼下には一面の白い海が広がり、 遠くの山々が島のように浮かんでいる。その光景は、写真で見るよりもはるかに静かで、そして深い。

    雲海は自然現象であるため、必ず見られるわけではない。しかし、たとえ雲海が出ていなくても、竹田城址の石垣は美しい。 山の稜線に沿って築かれた石垣は、まるで大地の骨格のように力強く、 長い年月を経てもなお凛として立っている。

    風が吹き抜けると、 石垣の間を通る空気がかすかに響き、 その音が雲海の静けさと重なって、 心に深い余韻を残してくれる。

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    天空の城」または「日本のマチュピチュ」とも呼ばれる竹田城城址

    竹田城址は、秋から冬にかけての早朝に発生する雲海の中に浮かぶ姿が幻想的で美しい。この光景は「日本のマチュピチュ」とも呼ばれ、私たち多くの観光客を魅了している。


    山城が語る歴史

    ──石垣に刻まれた時の痕跡

    竹田城は、戦国期から江戸初期にかけて重要な山城として機能していた。その歴史は華やかではないが、 石垣の造りや配置を見ると、当時の武士たちがどのようにこの地を守っていたのかが伝わってくる。本丸跡へ向かう道は急で、 兵たちが駆け上がったであろう姿を想像させる。石垣の一部は崩れ、苔むし、風雨にさらされて刻まれた痕跡が残っている。それらは、歴史の「静かな証言」のようだ。

    竹田城は、標高353.7mの山頂に築かれた山城である。嘉吉年間(1441年~1443年)に但馬守護の山名宗全によって築かれた城とされる。初代城主は家臣の太田垣光景で、その後7代にわたって太田垣氏が城主を務めたという。

    1580年、羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)の但馬攻めにより、竹田城は落城し、太田垣氏は没落した。その後、羽柴秀長や桑山重晴が城主を務めたという。

    1585年、赤松広秀が竹田城の城主となり、現在に残る石垣遺構を整備したと言われている。広秀は「仁政の主君」として領民から慕われ、養蚕業や漆器産業を奨励し、地場産業の礎を築いたと伝わっている。

    1600年の関ヶ原の戦いでは、赤松広秀は西軍に与し、丹後田辺城攻めに加勢したが、西軍の敗北後に竹田城に撤退した。その後、鳥取城攻めの際に城下町を放火した罪で自刃させられ、竹田城も廃城となっている。

    赤松広秀は、竹田城の歴史において非常に重要な人物である。彼は、1585年に竹田城の城主に任命され、豊臣秀吉の命を受けて竹田城の大規模な改修を行い、現在に残る総石垣の城郭を築いたとされる。広秀は、竹田城の石垣を築くために現地で石を調達し、滑車を使って人力で石を引き上げるなどの工夫を凝らしたという。

    赤松広秀は、関ヶ原の戦いでは西軍に属し、田辺城(舞鶴城)を攻めたが、西軍の敗北後に竹田城に帰還した。その後、鳥取城攻めの際に城下町を放火した罪で徳川家康の命により切腹を命じられた。広秀の死後、竹田城は廃城となったため、彼が竹田城の最後の城主でもある。

    竹田城址には派手な展示や説明はほとんどない。 だからこそ、訪れる者が自分の感性で歴史を受け取ることができる。 石垣に触れ、風に耳を澄ませると、 この山城が歩んできた時間が、 そっと心に語りかけてくる。

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    竹田城跡

    天空の眺望

    ──山々が描く静かなパノラマ

    竹田城址の本丸跡に立つと、360度のパノラマが広がる。朝来の町並み、連なる山々、そして季節によって表情を変える自然の色彩。春は淡い緑が山を包み、夏は濃い緑が風に揺れ、秋は紅葉が山を染め、 冬は澄んだ空気が遠くの山まで見通せる。どの季節に訪れても、その静けさは変わらない。特に印象的なのは、風の音がすべての雑音を消してくれる瞬間だ。山城の高台に立つと、町の喧騒が遠くに消え、ただ風だけが耳に届く。その静けさは、心をゆっくりと整えてくれる。

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    竹田城は、「天空の城」あるいは「日本のマチュピチュ」と呼ばれ、大人気の城址である。自然石を巧みに配置した豪壮な石垣の城郭は全国屈指の威容を誇る。

    竹田城址の石垣は、自然石を巧みに配置したもので、その豪壮な石垣の城郭は全国屈指の威容を誇っていると高く評価されている。江戸時代以前のものがそのまま残っており、特に野面積み算木積みといった技法が見られる。これらの石垣は、自然石をほとんど加工せずに積み上げたもので、美しく耐久性が高いのが特徴であるとされる。


    歩き終えて感じる余韻

    ──竹田城址が心に残すもの

    竹田城址を歩き終えるころ、 雲海の光景が心の中に静かに残っていた。石垣の力強さ、山々の稜線、そして風が運ぶ音── それらがひとつの物語として重なり、 深い余韻を生む。

    竹田城址は、四季折々の美しさを楽しむことができるが、折角、訪れるなら秋から冬にかけての早朝に発生する雲海の中に浮かぶ竹田城跡を見たい思うのが人情というものである。雲海が発生する時間帯を狙って、早朝に訪れる人の数はやはり多い。

    竹田城址は、ただの観光地ではない。 自然と歴史が交差し、 風景が心に語りかけてくる場所だ。 歩き終えたあとも、その静けさがしばらく消えず、また訪れたくなる。天空の城と呼ばれるこの山城は、静かな旅を愛する人にこそふさわしい場所だと感じた。

    名 称竹田城址
    所在地兵庫県朝来市和田山町竹田
    駐車場あり(無料)
    Link竹田城跡|朝来市観光協会

    あとがき

    竹田城址は、雲海の幻想だけでなく、山城が持つ静けさと歴史の深みを感じられる特別な場所であった。 石垣に触れ、風景に身を置き、 自然の音に耳を澄ませる── そんな時間が、心をゆっくりと整えてくれる。

    また季節を変えて、 この天空の城の静けさに身を委ねたくなる。 竹田城址は、そう思わせてくれる山城であった。


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