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【世界遺産】安芸の宮島・厳島神社の魅力を知る旅

はじめに

随分と昔の話であるが、恥ずかしながら私は「安芸の宮島」【あきのみやじま】を「秋の宮島」だと思って、宮島の観光シーズンは秋だと信じていた。ある時、観光ポスターを見てはじめて「秋」ではなく「安芸」であることを知って、人知れず赤面したことを覚えている。

一般には「宮島」と呼ばれる厳島【いつくしま】は、毛利元就と陶晴賢【すえはるかた】が争った厳島の戦い(1555年10月)の舞台としても知られている。

私が初めて厳島神社を参拝したのは、広島で薬学会が開催されたある年の春で、学会の帰りに友人と折角の機会だからといって宮島を観光したのを覚えている。そのときも観光客が多く、定期便の観光船になかなか乗船できずに随分と待たされた記憶がある。

そんな人気の宮島の厳島神社に再び参拝することができ、また前回とは違った印象をもったので本稿に記載したいと思う。


<目次>
はじめに
宮島
厳島神社
あとがき

宮島

私たちが宮島または安芸の宮島【あきのみやじま】と呼んでいるのは、厳島【いつくしま】の通称であるという。

宮島は古来より神が宿る神聖な島として、自然崇拝の対象とされてきた。だから宮島には殆ど人の手が入っていない原生林が広がっている。島の最高峰は弥山【みせん】(標高535 m)という山であり、山頂への登山道が整備されている。

安芸の宮島(中央の高い峰が標高535 mの弥山である)

厳島神社【いつくしまじんじゃ】は、、平安時代末期に平清盛が厚く庇護したことで大きく発展したという。

平安時代末期以降は、厳島神社の影響力の強さや海上交通の拠点としての重要性から、歴史の表舞台に登場するようになった。

江戸時代中期以降、天橋立(京都府)や松島(宮城県)と共に日本三景と呼ばれ、日本を代表する景勝地として国内外に広く知られている。

明治33年(1900年)に定期航路が開設されると、交通の利便性が改善し、島への参拝客や観光客が急増したという。今では人口1800人余りの島に国内外から年間300万人を超える参拝客や観光客が訪れており、日本屈指の観光地として栄えている。

島全域は、瀬戸内海国立公園の一部であり、自然公園法が定める特別保護区域となっている。国の特別史跡及び特別名勝にも指定され、弥山の原始林は国の天然記念物に指定されている。

厳島神社付近の町並みは「廿日市市宮島町伝統的建造物群保存地区」として重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。

名 称厳島(通称、安芸の宮島又は宮島
所在地広島県廿日市市宮島町
Link安芸の宮島 観光ガイド 【公式】 日本三景

厳島神社

厳島神社【いつくしまじんじゃ】は、海上に浮かぶ朱塗の大鳥居と社殿で知られ、本殿、幣殿、拝殿、祓殿、廻廊などの主要な建造物はすべて国宝または国の重要文化財に指定されている。

貴族や武将、商人たちが奉納した美術工芸品・武具類には貴重な品が多く、中でも平清盛が奉納した「平家納経」は豪華絢爛の装飾が施されており、平家の栄華を天下に示すものとして日本美術史上特筆すべき作品の一つとされている。

嚴島神社は、1168年に平清盛の厚い信仰のもと現在の規模に造営された。 海をも含む敷地内には本社を中心に大小の各神社、舞台や楽房などが設置され、そのそれぞれは延長108間に及ぶ廻廊で結ばれ、独創的な配置構成を見せる。

厳島神社は、島全体が神の島として崇められていたので、陸地では畏れ多いと潮の満ち引きする所に社殿が建てられたという。

厳島神社および弥山原始林は、平成8年(1996年)にユネスコ世界遺産に登録されている。

名 称厳島神社
所在地広島県廿日市市宮島町1-1
Link国宝・世界遺産 嚴島神社 【公式サイト】

厳島神社多宝塔

多宝塔は、大永3年(1523年)に建立され(総高は15.6m)、薬師如来像が祀られていたが、明治維新の神仏分離令で大願寺に移されたという。仏塔自体は、現在、嚴島神社に帰属している。

厳島神社多宝塔
厳島神社多宝塔

厳島神社五重塔

応永14年(1407年)建立の五重塔は、桧皮葺で和様・唐様を融合した壮麗な建造物(総高27.6m)である。心柱が2層目で止まっているのが特徴で、風に対して強い構造となっているという。

厳島神社五重塔
厳島神社五重塔

豊国神社・本殿(千畳閣

豊国神社・本殿千畳閣)は、元々は豊臣秀吉によって戦歿将兵の慰霊のために建立された大経堂であった建造物である。秀吉の没後に建築工事はなぜか中止されたため、今も天井が張られておらず未完成のままになっている。

明治政府による神仏分離政策により、明治5年(1872年)に大経堂を千畳閣と改称し、本尊・釈迦如来座像などの仏像を大願寺に移した。現在は豊国神社【とよくにじんじゃ】の本殿となっている。


あとがき

厳島神社は、平清盛や毛利元就をはじめ毛利家にもゆかりのある神社であることがよく理解できた。

明治政府による愚かな神仏分離政策がこの厳島神社にも影響を与えていることが分かり、非常に残念な気持ちになったが、一方で本来は仏教伽藍として建立されたであろう多宝塔や五重塔が厳島神社所属の建造物として残されたことには安堵している。

次に宮島を訪ねる際には是非、弥山【みせん】に登り、日本三景の一つと称される「安芸の宮島」の絶景を観てみたいものだ。


【参考資料】
安芸の宮島 観光ガイド 【公式】 日本三景
国宝・世界遺産 嚴島神社 【公式サイト】