世界遺産・神話が残る巨岩の聖地――「花の磐」花磐神社

目次
はじめに
イザナミの眠る神話の舞台
世界遺産としての価値
花の奉納:年に二度の神事
あとがき

はじめに

三重県熊野市にある花窟神社【はなのいわやじんじゃ】は、日本最古の神社の一つとされる、神話と自然が融合した聖地です。

社殿を持たない特異な神社として知られています。高さ約45メートルの巨岩・花の窟【はなのいわや】が御神体であり、古代から神々を祀る聖地として崇敬されてきました。本稿では、そんな花窟神社の魅力を紹介します。


イザナミの眠る神話の舞台

花窟神社は、伊弉冉尊(イザナミノミコト)が火の神を産んだ後に亡くなり、葬られた場所と伝えられています。日本神話(古事記および日本書紀)に登場するイザナギとイザナミの物語は、国生み・神産みの神話として知られ、その終焉の地がこの「花の磐」とされています。

『日本書紀』の一節(「神産み」)にも下記のような記載があります。

『別の伝承(第五)では、イザナミ火の神を生むときに、体を焼かれて亡くなった。それで紀伊国【きいのくに】の熊野の有馬村に葬った。土地の人がイザナミをお祀りする際、花が咲いているときには花を供え、鼓、笛、旗をもって歌って舞ってお祀りするという。』

花窟神社花の窟【はなのいわや】(御神体

花窟神社は、社殿を持たず、巨岩・花の窟【はなのいわや】が御神体とされ、自然崇拝の原点ともいえる神社です。古代の人々がどれほど自然を畏れ敬っていたかが伝わってきます。

花窟神社伊弉冉尊(イザナミノミコト)の拝礼所

そのため花窟神社は「日本最古の神社」とも言われ、神話の原点に触れることができる貴重な聖地です。この神社に祀られている神さまは、伊弉冉尊(イザナミノミコト)と軻遇突智尊(カグツチノミコト;火の神)です。

名 称花窟神社
所在地三重県熊野市有馬町上地130
行き方JR熊野市駅から車で約5分
駐車場あり
Link花の窟・花窟神社

世界遺産としての価値

花窟神社は、2004年に「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産の一部としてユネスコの世界遺産に登録されています。熊野古道の信仰文化と自然崇拝を象徴する場所として、国内外から多くの参拝者が訪れています。

自然と信仰が融合した神聖な空間は、文化的景観とされ、参詣道(熊野古道)とのつながり熊野速玉大社などと共に巡礼ルートの一部として評価されたことになります。

特に、毎年2月と10月に行われる「お綱掛け神事」では、岩の頂上から御神体に向かって大綱が張られ、神と人をつなぐ儀式として知られています。その光景は圧巻で、まるで神話の世界に迷い込んだような感覚に包まれると言われています。


花の奉納:年に二度の神事

毎年2月と10月には「花の窟神社例大祭・お綱掛け神事」が行われます。この神事では、岩の頂上から御神体に向かって長さ170mもの大綱が張られ、この大綱に色とりどりの花が飾られ、巨岩の頂上へと奉納されます。この大綱は、地元の人々が手作業で編んだものです。

花の窟神社例大祭・お綱掛け神事後の大綱

この神事は、神と人をつなぐ儀式として知られています。その光景は圧巻で、まるで神話の世界に迷い込んだような感覚に包まれる、幻想的な瞬間であると言われています。厳かでありながら、地域の温かさも感じられるという。是非、機会を見つけて、見物してみたいものです。


あとがき

花窟神社は、神話の舞台であり、自然そのものが神とされる聖地です。神話と自然が織りなす「花の磐」に向かって、心を澄ませて手を合わせると、遠い昔の祈りが今も響いているような気がします。

神話の記憶が刻まれた巨岩と、花を捧げる人々の祈り。花窟神社は、ただの観光地ではなく、いのちと信仰の原点に触れる聖地であることは、この神社を参拝する信者たちの立ち居振る舞いを見ているだけで十分に納得できるものです。

花窟神社伊弉冉尊(中央)と軻遇突智尊(カグツチノミコト;火の神)の拝礼所

花窟神社周辺の観光スポットとしては、鬼ヶ城、熊野古道、獅子岩や七里御浜などがあり、神話と自然を巡る旅にぴったりであるかも知れません。是非、旅先のリストに入れて頂きたいと思います。


参考資料

花の窟・花窟神社【はなのいわや】 世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』

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