◆ はじめに
鬼岩公園は、岐阜県瑞浪市と可児郡御嵩町にまたがる「飛騨木曽川国定公園」の指定区域内にあり、園内には奇岩・巨岩が点在する独特の景観が広がっている。
この地には、平安時代末期の伝説が残されている。現在の岐阜県関市から追われた「関の太郎」と呼ばれる鬼人が、この山の岩屋に住み着き、強盗や放火を繰り返していたという。後白河法皇の勅命を受けて派遣された武士によって討伐され、最期には自らの悪行を悔い改め、善鬼となって魔除けの仏になったと伝わる。この伝説が「鬼岩」という地名の由来とされている。
そんな鬼岩公園で近年注目を集めているのが、奇岩のひとつ「鬼の一刀岩(蓮華岩)」である。アニメ『鬼滅の刃』第3話で主人公・竈門炭治郎が一刀両断した岩に似ていると話題になり、全国のファンが訪れるようになった。地元観光協会がこの岩を「鬼の一刀岩」と名付け、案内マップに掲載してPRしたところ、観光客が増えたという。アニメの影響力もさることながら、観光協会の柔軟な発想にも驚かされる。
園内には、この蓮華岩を外側から望める「蓮華岩絶景ポイント」があり、岩に走る大きな亀裂をはっきりと確認できる。自然がつくり出した造形とは思えない迫力があり、炭治郎の修行シーンを思い起こさせる光景となっている。
また、鬼岩公園には「蓮華岩・烏帽子岩巡りコース」をはじめ、「渓谷・岩巡りコース」「臼岩・展望台巡りコース」など複数の散策ルートが整備されており、体力や時間に合わせて思い思いの散策を楽しむことができる。
鬼岩公園

鬼岩公園【おにいわこうえん】は、木曽川の支流である可児川の源流付近に位置する公園である。花崗岩が数百万年にわたって浸食されてできた巨岩や奇石があり「鬼岩」と呼ばれている。鬼岩は国の名勝および天然記念物に指定されている。

と名付けられた巨大な花崗岩
鬼岩の名称は、約800年前に、この岩山に「関の太郎」という鬼人が「鬼の岩屋」に住んでいたという伝説に由来している。



鬼岩公園にはいくつかの散策コースが整備されており、体力と好みで選択できるようになっている。ガイド付きツアーとして「岩穴くぐりコース」(要予約)もあるようだ。

渓谷・岩巡りコース
──蓮華岩・「鬼の一刀岩」を見物
私たちは「渓谷・岩巡りコース」を選び、松野湖へは行かずに、その代わりに「蓮華岩・烏帽子岩巡りコース」のハイライトである蓮華岩【れんげいわ】と鬼の一刀岩【おにのいっとういわ】を見て引き返して来た。



蓮華岩の近くには「鬼の一刀岩」と呼ばれる奇岩もある。まるで日本刀で一刀断ちにされたかのような花崗岩の巨岩である。逆光のため正面からの写真が撮れなかったのは残念である。



一世を風靡したアニメ「鬼滅の刃」に登場する「一刀岩」を彷彿させるような岩である。アニメ原作者もこの奇岩からインスパイアされたのではなかろうかとつい推察してしまう。

他のコースを歩いたわけではないので断定はできないが、私たちが歩いたコースは鬼岩公園の魅力を十分に堪能できるものであった。心残りがあると言えば、「臼岩」【うすいわ】をすぐ近くで見たかったことぐらいであろうか。



もみじ橋の近くでは巨岩の上に杉【スギ】の大木が生育している姿を目撃した。よくこんな姿で倒れずにここまで生育できるものだと感心したものである。

鬼岩公園には、ユニークな岩が数多くする。例えば、御智那岩【おちないわ】と名付けられた岩もその一つである。地表から浮き上がっているので、今にも転げ落ちそうであるが、「落ちそうで落ちない」ことから「御智那岩」と呼ばれるようになったという。様々な試験合格を祈願する人々の信仰を集めているという。
◆ あとがき
飛騨木曽川国定公園の指定区域が、想像していた以上に広範囲に及んでいることを知り、改めて驚かされた。その分、自然公園内の景勝地はどれも個性が際立ち、それぞれに異なる魅力を楽しむことができた。
なかでも鬼岩公園は、特異な形をした奇岩や巨岩が点在し、歩くたびに新しい発見がある場所だった。大自然がつくり出した造形の迫力に圧倒されつつ、妻とゆっくり散策できた時間は、旅の中でも特に印象深いひとときとなった。