はじめに
京都の神社仏閣は国際的にも有名であり、世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産として17か所が登録されている。世界文化遺産に登録されていない寺社にも素晴らしい景勝地があり、むしろそちらの方が多いくらいだ。鞍馬寺【くらまでら】もその一つである。

鞍馬寺は、鞍馬山の中腹にあり、周囲には美しい自然が広がり、秋には紅葉が見事で、多くの参拝客や観光客が訪れる。鞍馬寺には天狗伝説や牛若丸(源義経)にまつわる伝説が残されており、本殿金堂への参道は神秘的な雰囲気が漂う。
鞍馬寺
鞍馬寺【くらまでら】は、京都市左京区鞍馬本町にある鞍馬弘教の総本山の寺院である。山号を鞍馬山と称し、御本尊は尊天である。尊天とは、毘沙門天王、千手観世音菩薩、護法魔王尊の三身一体の本尊であるという。
開山は、鑑真和上の高弟・鑑禎【がんてい】が770年に草庵を結び、毘沙門天を安置したのが始まりとされる。
本殿金堂の毘沙門天・千手観世音・護法魔王尊はいずれも秘仏であり、60年に一度、丙寅の年にのみ開帳される。秘仏厨子の前に「お前立ち」とよばれる御本尊の代わりの像が常時安置されている。
お前立ちの魔王尊像は、背中に羽根をもち、長いひげをたくわえた仙人のような姿で、鼻が高い。光背は木の葉でできている。このことから「鞍馬天狗」とは元々は護法魔王尊であったことを示唆する。
鞍馬弘教では、尊天は「すべての生命を生かし、存在させる宇宙エネルギーである」らしい。毘沙門天は「太陽の精霊」であり「光」を象徴する。一方、千手観世音は「月輪の精霊」であり「愛」を象徴する。そして、魔王尊を「大地(地球)の霊王」として「力」を象徴するとされる。鞍馬寺は、尊天のパワーが特に多く、そのパワーに包まれるための道場であるとされる。
京都盆地の北に位置する鞍馬山は、山岳信仰、山伏による密教も盛んであった。そのため山の精霊である天狗も鞍馬に住むといわれた。鞍馬山は天狗にとって最高位の山の一つであるとされ、鞍馬に住む大天狗は僧正坊と呼ばれる最高位の天狗であった。
鞍馬寺は、豊かな自然環境を残す鞍馬山の南斜面に位置し、牛若丸(後の源義経)が修行をした地としても有名である。
名 称 | 鞍馬寺 |
所在地 | 京都市左京区鞍馬本町1074 |
TEL | 075-741-2003 |
駐車場 | なし |
Link | 総本山 鞍馬寺 |
あとがき
鞍馬寺の魅力は、天狗伝説や牛若丸(源義経)にまつわる伝説があり、スピリチュアルな雰囲気が漂っているところであろうか。確かに、仁王門から本殿金堂へと向かう参道には神秘的な雰囲気が漂い、さらに奥の院参道ではより一層神秘的な雰囲気が増してくる。
古来より鞍馬山全体が修行の場として使用されてきたという長い歴史があるため、スピリチュアルな要素と大自然が融合した特別な場である鞍馬山の参道では修行僧ではない私たちでさえ心が洗われるような体験ができる。
毎年10月22日の夜に行われる「鞍馬の火祭」は有名な祭礼で、幻想的で壮大であるらしい。私はまだ見学したことがないので、一度は観てみたいと思っている。
鞍馬寺は、貴船神社と地理的に近いこともあり、鞍馬寺の参拝後に山道を通り貴船神社に参拝したり、逆に貴船神社に参拝後、鞍馬寺に廻る参拝者もいる。