はじめに
京都の神社仏閣は国際的にも有名であり、世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産として17か所が登録されている。世界文化遺産に登録されていない寺社にも素晴らしい景勝地があり、むしろそちらの方が多いくらいだ。御香宮神社【ごこうのみやじんじゃ】もその一つである。

御香水【ごこうすい】は、本殿の横にあり、御香宮神社の名前の由来となった清泉(湧水)である。古来より病気平癒に効能があると伝わっており、現在でも多くの参拝者が汲みに来るという。口溶けの良い甘い風味のする飲料水である。取水可能時間は、7:00~19:00である。
御香宮神社
御香宮神社【ごこうのみやじんじゃ】は、京都市伏見区御香宮門前町にある神社である。主祭神として神功皇后を祀り、相殿神として夫の仲哀天皇、子の応神天皇のほか七神(仁徳天皇、高良大明神、宇倍大明神、瀧祭神、河上大明神、菟道稚郎子尊、白菊大明神)を祀っている。
本殿には、菊の御紋や五七の桐紋、葵の御紋が見られるのも特徴的である。現在の本殿は、徳川家康の命で造営されたため、絢爛豪華で極彩色の彫刻が施されている。桃山時代を代表する大型建築であり、国の重要文化財に指定されている。
創建の由緒は不詳であるが、伝承によれば、862年に境内から良い香りの水が湧き出し、その水を飲むと病が治ったので、時の清和天皇から「御香宮」の名を賜ったという。この湧き出た水は御香水として名水百選にも選定されている。現代でもボトルを持参して取水する地元民も多いという。
1590年に、小田原の北條氏を滅亡させ、天下統一を成し遂げた豊臣秀吉は、御香宮神社に戦勝祈願をして、太刀(重要文化財)と願文を納めた上で、社領三百石を寄進したという。さらに、1594年に秀吉は伏見城を築城した際に、鬼門除けの神として城内の艮の隅に勧請したと伝えられている。このように御香宮神社は、豊臣秀吉との縁も深いようだ。
小堀遠州ゆかりの庭園(石庭)が、造園家・中根金作の手によって、社務所の裏側に再現されている。
名 称 | 御香宮 |
所在地 | 京都市伏見区御香宮門前町174 |
TEL | 075-611-0559 |
駐車場 | あり(有料) |
Link | 御香宮神社 - 安産・子育ての社 |
あとがき
御香宮神社は、厳かな雰囲気が漂い、参拝することで心が清められると感じる人も多いという。静かで落ち着いた環境は、心の安らぎを与えてくれるはずである。
御香宮神社の境内には幾つかの末社がある。なかでも徳川家康を祀る東照宮と、豊臣秀吉を祀る豊国社が同じ境内に祀られているのは全国的にも珍しいという。
東照宮の本殿は、1622年に造営され、拝殿は1624年に造営されたという。御香宮神社の本殿が家康の造営によることから、江戸時代においては特に重きをなしていたという。
一方、豊国社は、明治6年(1873年)に創建されたという。明治元年に明治天皇が勅令にて豊国神社を再興させたことを機に、御香宮神社においても由緒との関わりを鑑み、建立したという。江戸時代、つまり徳川幕府の時代は、徳川家に遠慮して豊臣秀吉を祀ることができなかったということだろう。