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平家滅亡後に建礼門院徳子が隠棲した寺院「寂光院」

はじめに

京都の神社仏閣は国際的にも有名であり、世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産として17か所が登録されている。世界文化遺産に登録されていない寺社にも素晴らしい景勝地があり、むしろそちらの方が多いくらいだ。寂光院【じゃっこういん】もその一つである。

寂光院の境内マップ

寂光院は、京都市左京区大原にある天台宗の尼寺である。聖徳太子が父の用明天皇の菩提を弔うために建立したと伝えられている寺である。また、平清盛の娘・建礼門院徳子が「壇ノ浦の戦い」で平家が滅亡した後、平家一門の菩提を弔うために余生を過ごしたというエピソードが残る寺でもある。

目次
はじめに
寂光院
あとがき

寂光院

寂光院【じゃっこういん】は、京都市左京区大原に位置する天台宗の寺院(尼寺)である。山号を清香山とし、寺号は玉泉寺である。御本尊は、地蔵菩薩である。

開基は聖徳太子によるものと伝わっているが、草創について明確なことは分かったいない。平清盛の娘・建礼門院徳子が、平家滅亡後に隠棲した寺として知られる。そのため、『平家物語』ゆかりの寺として有名である。

寂光院や三千院のある大原の里は、念仏行者の修行の地であり、貴人の隠棲の地であったという。

1185年9月、「壇ノ浦の戦い」で平家一族が滅亡した後も生き残った高倉天皇の中宮で、安徳天皇の生母である建礼門院徳子(平清盛の娘)は、阿波内侍を頼って入寺し、出家して真如覚比丘尼と称した。後に第3代住持となって平家一門と高倉・安徳両帝の冥福をひたすら祈って余生を送ったとされる。また、平重衡の妻・藤原輔子も出家して徳子に仕えたという。

本堂には御本尊の六万体地蔵菩薩像が祀られている。この仏像は国宝修理所の故小野寺久幸仏師によって鎌倉時代の制作当時そのままの美しい彩色に復元されているという。

境内の外、東側には建礼門院徳子を祀る大原西陵がある。陵墓はもともと境内にあったが、明治以降は宮内省(現・宮内庁)の管理下に移り、境内から切り離されたという。

名 称寂光院
所在地京都市左京区大原草生町676
TEL075-744-3341
駐車場なし
Link京都大原 寂光院

あとがき

寂光院の魅力は、本堂前西側に広がる風情ある庭園である。心字池を中心に「千年の姫小松」や「汀の桜」、苔むした石のたたずまいが素晴らしい風情を醸し出している。姫小松は、『平家物語』にも描かれているという。この平家物語ゆかりの庭園で、平家物語の世界に想いを寄せるのも良いかも知れない。

寂光院と三千院は近く、両寺院を結ぶルートは約1.7kmである。徒歩では35分ほど要するが、紅葉の季節には魅力的な散策コースとなっている。


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