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藤原氏が極楽浄土を現世に具現化した名刹「平等院」

はじめに

平等院【びょうどういん】は、京都府宇治市にある歴史的な寺院で、平安時代後期の1052年に藤原頼通によって建立された。平等院は、元々は藤原道長の別荘「宇治殿」であり、頼通がこれを寺院に改めた。そして、翌年の1053年に阿弥陀如来坐像を安置した阿弥陀堂(現在の鳳凰堂)を建立したという。

平等院は、鎌倉時代から江戸時代にかけて多くの変遷を経た。1180年には源頼政が平等院で自刃し、1336年には楠木正成が平等院周辺に放火するなどの出来事があった。

平等院は、1492年から1501年にかけて修復が行われたが、近代に入っても多くの修復が行われた。特に、鳳凰堂は何度も修復が行われてきた。例えば、明治修理(1902~1907)や昭和の大修理(1950~1957)などが行われている。

1994年には「古都京都の文化財」としてユネスコの世界文化遺産に登録されている。

目次
はじめに
平等院
あとがき

平等院

平等院【びょうどういん】は、京都府宇治市にある単立の寺院である。山号を朝日山と称する。御本尊は、阿弥陀如来である。宗派は17世紀以来天台宗と浄土宗を兼ねており、現在は特定の宗派に属さない単立の寺院となっている。

鳳凰堂【ほうおうどう】は、国宝に指定されており、10円硬貨にも描かれている。鳳凰堂の名前は、屋根の上にある二つの鳳凰像に由来している。1994年にはユネスコの世界文化遺産「古都京都の文化財」の一部として登録されており、世界的にも広く知られる存在である。

鳳凰堂は、阿弥陀如来を御本尊とする阿弥陀堂で、平安時代の浄土教の思想を反映している。建物は、中央の阿弥陀堂と左右の翼廊、後方の尾廊から構成されており、全体が鳥が翼を広げたような形をしている。

内部には、仏師・定朝作の阿弥陀如来像が安置されており、その周囲には52体の雲中供養菩薩像が配置されている。鳳凰堂の内部拝観は定員制で、先着順となっているので、早めに訪れることが推奨される。

鳳凰堂は、平安時代の貴族たちが極楽浄土を現世に再現しようとした試みの一つであり、その美しい庭園や建築は、当時の浄土教の信仰を象徴している。平安時代後期から保持されてきた建造物を中心とする文化財は、往時の思想・文化を今に伝える。

平等院と周辺地域は、琵琶湖国定公園の指定区域である「宇治川沿岸地区」の中核をなしている。特に、鳳凰堂にはその美しさと歴史的価値から多くの観光客が訪れている。

名 称平等院
所在地京都府宇治市宇治蓮華116
TEL0774-21-2861
駐車場あり(有料)
Link世界遺産 平等院

あとがき

2024年のNHK大河ドラマは、『光る君へ』であった。平安時代に『源氏物語』を記した紫式部の一生を描き、主演は吉高由里子が務めた。私も毎週の放送を楽しみにして観た一人である。

『源氏物語』は全54帖からなる、日本最古の長編小説といわれており、光源氏を主人公とする恋物語、権力闘争、欲望を絡ませながら、平安貴族の姿を生き生きと描いた名作であるとの評価が高い。

『源氏物語』の終章〈宇治十帖〉の舞台となったのは平等院がある宇治である。〈宇治十帖〉は、「橋姫」にはじまり「夢浮橋」で終わる。〈宇治十帖〉は、光源氏の子である薫君【かおるのきみ】と孫の匂宮【におうみや】が浮舟の姫君と紡ぐ悲恋物語である。

平等院鳳凰堂は、元々は源融の別荘として建てられ、宇多天皇に渡り、さらに源重信に移り、最後に藤原道長の別荘〈宇治殿〉となった後に藤原頼通が寺院に改めたものであるという。平等院鳳凰堂は、西方極楽浄土を思わせる寺とされていることから『源氏物語』の終章を締めくくる悲話には最適の舞台装置であると言えよう。宇治を舞台に繰り広げられる恋模様を、思い浮かべながら宇治川のほとりを歩いてみるのも良いかも知れない。


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