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桂昌院ゆかりの玉の輿神社とも称される「今宮神社」

はじめに

京都の神社仏閣は国際的にも有名であり、世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成資産として17か所が登録されている。世界文化遺産に登録されていない寺社にも素晴らしい景勝地があり、むしろそちらの方が多いくらいだ。今宮神社【いまみやじんじゃ】もその一つである。

今宮神社の境内マップ

今宮神社は、平安時代に創建された歴史のある神社で、京都市北区紫野今宮町に位置する。現代では、商売繁盛や家内安全を祈るための信仰を集めている神社である。

目次
はじめに
今宮神社
あとがき

今宮神社

今宮神社【いまみやじんじゃ】は、京都市北区紫野今宮町にある神社で、主祭神として大己貴命【おおなむちのみこと】、事代主命【ことしろぬしのみこと】、奇稲田姫命【くしなだひめのみこと】の3柱の神様が祀られている。

1001年に疫病が流行した際、朝廷は疫神を船岡山から移し、疫神を祀った社に神殿・玉垣・神輿を造らせて今宮社と名付けたのが創始と伝わる。以来、疫病が流行るたびに紫野御霊会が営まれ、やがて今宮社の祭礼(今宮祭)として定着して毎年5月に行われることとなったという。

京都西陣の八百屋に生まれた「お玉」が江戸幕府第3代将軍徳川家光の側室となり、5代将軍綱吉の生母・桂昌院として従一位となった。このことが「玉の輿」の由来になったとの説がある。桂昌院は、京都の寺社の復興に力を注いだが、特に今宮神社に対する崇敬と西陣に対する愛郷の念が非常に強かったといい、社殿の造営を行った他、数々の寄進や祭事の整備など様々な施策を行ったという。そのため、今宮神社は別名で玉の輿神社【たまのこしじんじゃ】とも呼ばれる。

名 称今宮神社
所在地京都市北区紫野今宮町21
TEL075-491-0082
駐車場あり(有料)
Link紫野 今宮神社

あとがき

奈良時代や平安時代は、疫神や政治的に失脚し亡くなった人の霊などが災いと結びつけられて御霊【ごりょう】と恐れられていた時代である。疫病や厄災が起こると、原因である御霊を鎮めるために祭礼が行われることを御霊会【ごりょうえ】と呼んでいた。

医療が未発達な時代においては、病原性細菌やウイルスによる感染症などの疫病は、その原因が目に見えない存在であったため、祟りや呪いであると信じられてきたからである。

御霊会を臨時的に行い、祭壇に神饌【しんせん】を捧げて御霊の御心を和ませ、京の中心部から京外へとお遷りいただくことが御霊会の目的であった。

紫野御霊会もそんな御霊会の一つであるが、紫野と呼ばれる地域で行なわれたことから「紫野御霊会」と呼ばれるようになったらしい。紫野御霊会のはじまりは、994年に疫神の神輿を設えて船岡山で執り行っていた御霊会を、1001年に疫神を船岡山から紫野の地に移して執り行うようになってからである。それが、今宮神社の創祀となっているようである。つまり紫野御霊会を営んだのが今宮神社のはじまりである。

平安京は都市として栄える一方で、人々はうち続く疫病や災厄に悩まされたという。藤原道長の全盛期、一条天皇の御代であった994年の6月に、疫神のために2基の御輿を造営して、都の悪疫退散を祈って船岡山に安置し、御霊会を営んだという。

この御霊会の際には、京中の老若男女が神輿と共に船岡山へ登って、綾傘に風流を施し囃子に合わせて唄い踊り、病魔のよれる人形を難波江【なにわえ】に流したと伝えられている。これが、後に「夜須礼(やすらい祭)」の起源にもなっているようだ。

毎年4月第2日曜日(午後3時頃)に今宮神社で開催されている「やすらい祭」は、疫病を鎮め平安を願う春のさきがけの祭として知られている。平安時代より伝えられる花鎮めの祭礼で、「やすらい花」とも称されている。桜や椿などで飾られた花傘を中心に、赤毛・黒毛の鬼達をはじめ約20名の行列が、お囃子に合わせて踊り歩き、御幣を奉じて神前へと向かう。この花傘の下に入ると1年間健康に過ごせると云えられている。私もこの祭礼を一度は見学してみたいと思っている。

今宮神社は、このように御霊会と深い関係がある神社であるが、現代では商売繁盛や家内安全を祈るための信仰を集めている神社である。


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