◆ はじめに
和歌山県の最南端に位置する潮岬から、歴史の風が吹く樫野崎、そして奇岩が連なる橋杭岩へ――。 紀伊半島の南端には、海と岬が織りなす雄大な景観が静かに広がっている。 黒潮が寄せる海原の青さ、岬に立つ灯台の白さ、そして太古の地殻変動が生んだ岩々の造形美。どれもが、訪れる者に“海と大地の時間”を感じさせてくれる。
今回は、そんな和歌山最南端の三景をゆっくりと巡った。海風に吹かれ、水平線を眺め、岬の静けさに身を置く――。 日常から少し離れ、海景の中に心をほどく旅となった。
私のような近畿在住の者にとっては、九州や沖縄より比較的容易に行ける太平洋に面する最南端の地への旅である。その観光スポットを私が撮影した写真と共に紹介したい。
潮岬
潮岬【しおのみさき】は、河口から流出する砂礫が沿岸流によって運搬・堆積した砂州の形成によって主陸地と陸続きと化した陸繋島【りくけいとう】である。
潮岬は、本州最南端のクレ崎を含み、紀伊半島の最南端に位置する。そして潮岬の南西端には潮岬灯台がある。国内有数の台風の接近・通過あるいは上陸が多い地域であるので台風の位置を示す指標にされることが多い。

潮岬灯台は、1873年(明治6年)の初点灯以来、海上交通の要所として航行する船舶を照らし続けている現役の灯台である。

高さ30mの断崖に建つ白亜の灯台で、本州最南端のシンボルにもなっている。潮岬灯台の塔高は23m、灯高は49mである。光達距離は19海里(約35km)に及ぶという。
| 名 称 | 潮岬・潮岬灯台 |
| 所在地 | 東牟婁郡串本町潮岬 |
| 駐車場 | あり(有料) |
| Link | 潮岬灯台 – 南紀串本観光 |
樫野崎
樫野崎【かしのざき】は、紀伊大島の東端に位置する岬である。紀伊大島は、潮岬の東方にある島である。

紀伊大島と潮岬は、くしもと大橋によって陸路でつながっている(1999年開通)。

樫野崎の先端断崖の上には、日本最初(明治3年に初点灯)の洋式石造りの樫野崎灯台が建っている。樫野崎灯台の塔高は15m、灯高は47mである。光達距離は18海里(約33km)に及ぶという。

樫野埼灯台と旧官舎は、イギリス人技師の設計により明治3年(1870年)に建設された。現在の灯台は、昭和29年(1954年)に大規模な改築が実施されたものである。

| 名 称 | 樫野崎・樫野崎灯台 |
| 所在地 | 東牟婁郡串本町樫野埼1006-1 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | 樫野埼灯台 – 南紀串本観光 |
樫野崎灯台の近くには、トルコ軍艦遭難慰霊碑やトルコ記念館もある。明治23年(1890年)9月16日、紀伊大島の樫野崎沖合でトルコ軍艦エルトゥールル号が嵐の中遭難し、乗組員656名のうち587名が還らぬ人となった。異国の海で亡くなった将士たちの霊を慰めるために建設されたのがこのトルコ軍艦遭難慰霊碑である。

現在でも5年ごとに追悼式典が行われているという。また串本の姉妹都市であるトルコのメルシン市にも同じ碑が建てられているらしい。
| 名 称 | トルコ軍艦遭難慰霊碑 |
| 所在地 | 東牟婁郡串本町樫野 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | トルコ軍艦遭難慰霊碑 |
1890年のトルコ軍艦・エルトゥールル号の遭難沈没事故以来、串本町は犠牲者の慰霊を通じてトルコとの友好関係を継続的に築いている。

トルコ記念館にはエルトゥールル号の模型や、遺品・写真が展示され、当時の海難事故の様子を解説している。
| 名 称 | トルコ記念館 |
| 所在地 | 東牟婁郡串本町樫野1025-26 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | わかやま観光 トルコ記念館 |
日米修好記念館の駐車場に車を停め、樹木でトンネル状になった小道を歩いていくと海金剛と呼ばれるピラミッド型の岩礁が見える展望台に到着する。

この展望台からは直前に行ってきたばかりの樫野崎灯台が小さく見えた。

| 名称 | 樫野崎・海金剛 |
| 所在地 | 東牟婁郡串本町樫野 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | 海金剛 – 熊野エリア観光 樫野崎 – 熊野エリア観光 |
橋杭岩
和歌山県串本町の海上に並ぶ大小約40の奇岩の列は、橋杭岩【はしくいいわ】と呼ばれ、国指定の天然記念物にもなっている。

1500万年前の火成活動により、泥岩層の間に流紋岩が貫入した後に差別侵食によって、柔らかい泥岩部が速く侵食され、硬い石英斑岩が杭状に残されたものらしい。

海岸から紀伊大島に向かって海上に並ぶ大小約40の奇岩が南西一列に約850mにも渡って直線状に立ち並ぶ姿が「橋の杭」のように見えることから橋杭岩と名付けられたという。

その昔、弘法大師・空海と天の邪鬼【あまのじゃく】が賭をして、一晩にして立てたという伝説も伝わっている。

旅先や生活の中で「素晴らしい!」、「楽しい!」と 私たちが感じ、心臓が高鳴る特別な瞬間がある。それが、Heartneat moments だ!

本当に綺麗なものを目にしたとき、人は無口になるものだ。多くの人々が静かに見守る中、胸の鼓動だけが高まる瞬間に気付けたらその喜びを皆と共有したい。
| 名称 | 橋杭岩 |
| 所在地 | 東牟婁郡串本町鬮野川 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | 橋杭岩 | 和歌山県公式観光 |
| 名称 | 道の駅 くしもと橋杭岩 |
| 所在地 | 東牟婁郡串本町鬮野川1549-8 |
| 駐車場 | あり(無料) |
| Link | くしもと橋杭岩 |
串本温泉
串本温泉は、本州最南端の町である串本町内に湧く温泉である。泉質は、塩分を含んだもの、そうでないものがあるという。
効能は、身体を芯から温め、きりきず・やけど・虚弱体質・慢性婦人病・リウマチ・神経痛慢性消火器病等などである。
| 名 称 | 串本温泉 |
| Link | 串本の温泉 – 南紀串本観光 |
串本温泉は、いわゆる温泉街を形成しているわけではない。観光地にしては、宿泊施設の数は少ないような印象である。

そんななかで、ホテル&リゾーツ 和歌山 串本は高台に位置しているので、ホテルの海側の部屋であればどこからでも「橋杭岩」を眼下に眺めることができる。
| 名称 | ホテル&リゾーツ和歌山串本 |
| 住所 | 串本町サンゴ台1184-10 |
| Link | ホテル&リゾーツ 和歌山串本 ホテル&リゾーツ 和歌山串本 |
◆ あとがき
潮岬の広い空と海、樫野崎に息づく灯台の歴史、そして橋杭岩の静かな迫力。 和歌山最南端の景色は、どれもが自然の大きさと時間の深さをそっと語りかけてくれた。 ゆっくりと巡ることで、海の匂い、風の音、岩肌の質感までもが心に残る。
橋杭岩への旅は、もともと妻の念願であった。 私は“いつでも行ける”と思い、つい先送りにしてきたが、それは反省すべきことであった。 朝日に照らされて輝く橋杭岩を目にした瞬間、「もっと早く連れて来るべきだった」と心の底から思ったものである。
灯台に興味を持つようになった私にとって、潮岬灯台や樫野崎灯台を訪ねる機会が得られたのも嬉しいことだった。 今回の旅は、妻のためというより、むしろ私自身が大いに楽しんでしまった気がする。 妻も同じように楽しんでくれただろうか。 そうであるなら、この旅は私たちにとって“大満足の旅”と言える。
旅を終えて振り返ると、ただ“絶景を見た”というだけではなく、 海と岬に抱かれた静かな時間が、ゆっくりと心を整えてくれたように思う。また季節を変えて、この海景の道を歩いてみたい――そんな余韻を残す旅であった。
【参考資料】
| 潮岬灯台 – 南紀串本観光ガイド |
| 樫野埼灯台 – 南紀串本観光ガイド |
| トルコ軍艦遭難慰霊碑|串本町 |
| わかやま観光 トルコ記念館 | 和歌山県公式観光サイト |
| 海金剛 – 和歌山県・熊野エリア観光 |
| 樫野崎 – 和歌山県・熊野エリア観光 |
| 橋杭岩 | 和歌山県公式観光サイト |
| くしもと橋杭岩 |
| 串本の温泉 – 南紀串本観光ガイド |
| 【公式】ホテル&リゾーツ 和歌山 串本 |
| ホテル&リゾーツ 和歌山 串本 – 南紀串本観光ガイド |