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利尻礼文サロベツ国立公園の利尻島と礼文島への旅

はじめに

利尻礼文【りしりれぶん】サロベツ国立公園は、日本最北部に位置する自然公園で、利尻島、礼文島、抜海・稚咲内海岸、サロベツ原野で構成された変化に富む景観を有する国立公園である。国内有数の渡り鳥の中継地としても知られている。

北海道は日本の国土の22%にもなる広大な大地であり、大自然が残されている魅力的な観光地である。その広大さゆえ、移動に時間がかかるので一度に周遊することは容易ではない。したがって、自ずといくつかのエリアに分けて訪れることになる。一般に、北海道は大きく4つのエリアに分けて紹介されることが多い。その一般的区分とは、道央・道南・道北・道東の4区分である。それぞれのエリアでは特徴が異なるので、北海道の旅は飽きることがない。

本稿で紹介するのは、道北エリアに属する地域の旅である。北海道の雄大な大自然が感じられるスポットであり、島の美しい景色とオホーツク海の海岸を堪能することができる大満足の旅になるはずである。

目次
はじめに
利尻礼文サロベツ国立公園
利尻島
姫沼
オタトマリ沼
甘露泉水
沓形岬
礼文島
久種湖
スコトン岬
桃岩展望台
西海岸の海蝕崖
礼文滝
抜海岬・稚咲内海岸
サロベツ原野
稚内
宗谷岬
ノシャップ岬
あとがき

利尻礼文サロベツ国立公園

抜海・稚咲内海岸は砂丘列が発達した海岸である。一方、サロベツ川流域に形成されラムサール条約に登録されている広大な

サロベツ原野はサロベツ川流域に形成された広大な原野であり、ラムサール条約にも登録されている地域である。


利尻島

利尻島【りしりとう】は、礼文水道を挟み礼文島の南に位置にする円形の有人島である。島の最高地点は「利尻富士」と呼ばれる美しい姿の利尻山(標高1,721m)である。島内には利尻富士町と利尻町の自治体がある。

島の大部分は「利尻礼文サロベツ国立公園」に指定されている。またオタドマリ沼、沼浦湿原、南浜湿原と周辺沿岸部は重要湿地(環境省)に指定されている。

島の主な産業は、水産業と観光業で、特に「利尻昆布」は高級品として全国的に有名である。


姫沼

姫沼【ひめぬま】は、爆裂火口跡の窪地に水が溜まった3つの湧水池(小沼)の流出口を堰き止めたことで誕生した人造沼であるらしい。名前の由来は大正4年(1915年)にヒメマス(姫鱒)を沼に放流したことであるとされる。現在は、ヒメマス、コイ、フナやエビが生息しているという。

利尻島の玄関口である鴛泊港【おしどまりこう】の南東約2kmに位置し、エゾマツやトドマツなどの原生林帯に囲まれた、神秘的な沼となっている。天候が良ければ、コバルトブルーの湖面に利尻山の雄姿が写り込むという。いわゆる「逆さ利尻富士」である。

姫沼を一周する姫沼探勝路も整備され、所要時間は20~30分ほどであるらしい。海岸を巡る道路沿いには姫沼展望台もあり、鴛泊湾、ぺし岬や礼文島が眺望できるという。次回には是非、立ち寄りたいものだ。

名 称姫沼
所在地北海道利尻郡利尻富士町鴛泊
Link姫沼 | 北海道Style

オタトマリ沼

オタトマリ沼は、爆裂火口の底が泥炭地となった沼である。沼の周囲には湿原が広がっており、重要湿地(環境省)に指定されている。「オタトマリ」とはアイヌ語の「オタ・トマリ」(ota-tomari=砂・泊まり地)に由来しているとされる。

近年の研究では、4000~4500年前に湿原になったと推測されている。7月初旬にはヒオウギアヤメやエゾカンゾウが開花する。

天候が良ければ、オタトマリ沼には利尻山が写り込むらしいが、残念ながら私たちが訪れた際にはその美しい景色を見ることはできなかった。

名 称オタトマリ沼
所在地北海道利尻郡利尻富士町鬼脇沼浦
Linkオタトマリ沼 | 北海道Style

甘露泉水

甘露泉水【かんろせんすい】は、利尻山・鴛泊登山ルートの入口にあたる北麓野営場から登山道を10~15分ほど登った場所にある湧水場で、環境省選定「名水百選」にも選ばれている。

名の由来は、水の味が甘露と例えられており、利尻山への登山者にとって重要な水場・休憩所にもなっているという。

名 称甘露泉水
所在地北海道利尻郡利尻富士町鴛泊富士野
Link甘露泉水 | 北海道Style

沓形岬

沓形岬【くつがたみさき】は、利尻島・沓形港フェリーターミナル近くの岬である。近くには沓形岬公園もある。

利尻山から礼文島までを一様に見渡せる場所として人気がある観光スポットである。残念ながら私たちは天候に恵まれなかった。

名 称沓形岬公園
所在地北海道利尻郡利尻町沓形字富士見町
Link沓形岬公園 | 利尻島|りしぷら RISHIRI PLUS

礼文島

礼文島【れぶんとう】は、稚内の西方60kmの日本海上に位置する日本最北端の有人島である。礼文水道を挟んで利尻島の北西に位置する。島の最高地点は礼文岳(標高490m)である。島内には自治体として礼文町がある。

亜寒帯(冷帯)に属するため、海抜20mからハイマツが見られる。また、礼文島には「高山植物の宝庫」と呼ばれるほど海抜ゼロメートルから珍しい高山植物が生育している。

冷涼な気候のため、海抜ゼロメートル地帯から200種類以上の高山植物が咲くため、別名「花の浮島」と呼ばれる。


久種湖

久種湖【くしゅこ】は、礼文島に淡水湖で、最北端の湖でもある。利尻礼文サロベツ国立公園に含まれ、環境省により重要湿地の一つに指定されている。

湖を北流するオションナイ川が海に注ぐ地点で砂丘、砂堤に閉ざされて形成された堰止湖とされている。南側には沼ノ沢と呼ばれる湿地が広がっており、ミズバショウの群生地として知られている。冬にはハクチョウやマガモ、ヨシガモ、コガモなどが飛来して来るという。また5月頃にはオションナイ川をワカサギが遡上してくるという。

湖に隣接してキャンプ場や展望台があり、湖を一周する遊歩道がある。

名 称久種湖【くしゅこ】
所在地北海道礼文郡礼文町船泊村
Link久種湖 (くしゅこ) – 宗谷QRサイト

スコトン岬

スコトン岬(北緯45度27分51秒)は、礼文島最北端の岬である。かつては「日本最北端」を名乗っていたというが、測量の結果、宗谷岬(北緯45度31分22秒)の方がスコトン岬より約3分31秒(約6.5 km)ほど北に位置することが判明した後は「日本最北限」を名乗っているという。「スコトン」とは、アイヌ語で「シコトン(大きな谷)・トマリ(入江)=「大きな谷にある入江」という意味であるらしい。

スコトン岬は、礼文島の景勝地の一つとして知られる。スコトン岬の先にはトド島があり、さらにその北には種島がある。トド島にはかつて人が住んでいたようだが、現在は共に無人島である。

名 称スコトン岬
所在地北海道礼文町船泊順古頓
Linkスコトン岬【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

桃岩展望台

桃岩展望台は、礼文島の玄関口とされる香深港【かぶかこう】の南西に位置する高台にある展望台である。桃の実の形をした桃岩を眼前に見える場所に設置されている。

桃岩展望台の眼下には猫岩が見える。

桃岩展望台一帯には美しい高山植物の「お花畑」が広がる。開花期は例年、6月~8月頃で、「花の浮島」と称される礼文島を代表する「お花畑」である。

名 称桃岩展望台
所在地北海道礼文郡礼文町香深村
Link桃岩展望台 | 北海道Style
桃岩展望台 | 北海道礼文町
桃岩展望台コース | 北海道礼文町

西海岸の海蝕崖

西海岸の海蝕崖は、礼文島西海岸の元地海岸【もとちかいがん】海岸からはじまる海食崖【かいしょくがい】は約10数kmにも及ぶ秘境的な雰囲気が楽しめる礼文島のイチオシの景勝地である。

海食崖とは波の浸食作用によってできた海岸の崖のことである。礼文島の西海岸にある海食崖は、実際に見ると圧巻と言うしか表現のしようがないが、写真で表現するのは非常に難しい。

遊歩道が整備されており、海岸に聳え立つ奇岩を間近で観ることができる。

下の写真のような奇岩もあり、時間が過ぎるのを忘れてしまいそうである。贅沢を言えば、青空の元で写真を撮りたかった。それだけが心残りである。

名 称礼文島西海岸の海蝕崖
所在地北海道礼文郡礼文町大字船泊村西上泊【にしうえんとまり】
Link岬めぐりコース | 礼文島トレイルオフィシャルウェブ

礼文滝

礼文滝は、礼文島随一の滝で、島のほぼ中央部分を通る礼文林道の途中にある。

礼文滝へは「礼文林道」と呼ばれる舗装されていない道を歩くことになる。ハイヒールでは無理である。この林道は登山コースにもなっているので、時折、登山者にも出会う。登山者には人気の撮影スポットであるようだ。

名 称礼文滝
所在地北海道礼文郡礼文町船泊村ウヱンナイ
Link礼文滝コース | 北海道礼文町

抜海岬・稚咲内海岸

抜海岬【ばっかいみさき】は、稚内市域の南西部(抜海村)に位置し、日本海(利尻水道)に面した岬である。抜海岬の南側に抜海漁港があり、岬の大半は同港の岸壁となっている。

稚咲内海岸【わかさかないかいがん】は、晴れた日には海に浮かぶ利尻島(利尻山)を一望できる海岸で、海岸線に沈む夕日も美しいロケーションでもある。海岸には草原や砂丘林が広がる。

オロロンラインを北上するルート上にあり、日本海を望む絶景スポットが続く、ドライブコースとしても楽しめる場所となっている。


サロベツ原野

サロベツ原野【サロベツげんや】は、宗谷丘陵南西側に位置する湿原で、泥炭地である。独特の植生が豊富に見られることから、一部の区域は特にサロベツ原生花園と呼ばれることもある。東西8km、南北27km、面積216km2にも及ぶ広大な湿原である。

上サロベツ原野と下サロベツ原野に分かれ、後者は利尻礼文サロベツ国立公園の特別保護地区である。

ペンケトーパンケトーなどの泥炭地も点在する。海岸砂丘とその背後にある宗谷丘陵によって阻まれた潟湖【せきこ】である。潟湖とは、湾が砂州によって外海から隔てられて湖沼化した地形のことである。泥炭による長い堆積作用によって形成されたものと考えられている。日本国内の泥炭地としては石狩湿原や釧路湿原に次ぐ広さである。

パンケトー

パンケトーは、サロベツ原野に位置する円形の塩沼(汽水湖;海跡湖)である。水深は約1.8mほどと浅いが、面積は3.55km2と意外と広い湖沼である。「パンケ・トー」とは、アイヌ語で「panke-to=下にある・沼」という意味である。

パンケトーのすぐ北側にあるのはペンケトーである。「ペンケ・トー」とは、アイヌ語で「penke-to=上にある・沼」という意味である。

ペンケトーパンケトーは、阿寒横断道路(国道241号)区間の途中にある双湖台展望台からも展望することができる。

名 称パンケトー
所在地北海道天塩郡幌延町下沼
Linkパンケ沼 | 北海道Style

稚内

稚内市【わっかないし】は、北海道北部(道北)に位置し、西は日本海、北は宗谷湾・宗谷海峡、東はオホーツク海に面している。日本国内の最北端の地で、樺太(サハリン島)に最も近い。宗谷岬北西にある弁天島が日本国の最北端である。

地勢は南北に縦走する2本の丘陵性山地とこれらの中間と両端に発達する低地帯からなる。東側の脊梁山地は「宗谷丘陵」と呼ばれている。西側の丘陵帯と日本海との間にある低地帯は砂丘と湿地であり、「利尻礼文サロベツ国立公園」の一部になっている。


宗谷岬

宗谷岬【そうやみさき】は、稚内市にある岬で、日本の本土における最北端の地である。宗谷岬公園として整備され「日本最北端の地碑」の記念碑が建っている。

実際の日本の最北端の地は宗谷岬の沖合い西北西約1kmに位置する無人島の弁天島であるが、そこには通常、一般人が訪れることができない。したがって、私たちが訪れることができる「日本最北端の地」は宗谷岬であることに間違いはない。

晴れた日には宗谷岬から約43 km先の樺太(サハリン島)の最南端・西能登呂岬あたりを眺めることができるという。

名 称宗谷岬
所在地北海道稚内市宗谷岬
Link宗谷岬【公式】北海道の観光・旅行情報サイト

ノシャップ岬

野寒布岬【のしゃっぷみさき】は、稚内の最西端、宗谷海峡に突き出た岬で、稚内市ノシャップに位置し、「ノシャップ岬」とカナ表記することが多い。

ノシャップ岬には稚内灯台があり、晴れた海霧の立たない日には利尻島や礼文島を望むことができる。稚内灯台は、紅白のストライプが特徴的で、全国第2位(42.7 m)の高さを誇っている。

残念ながら私たちは天候に恵まれず、利尻島や礼文島を望むことができなかった。

名 称ノシャップ岬
所在地北海道稚内市ノシャップ2
Linkノシャップ岬【公式】稚内・利尻・礼文の観光WEBサイト

あとがき

北海道へは何度か観光のために訪れたことがあるが、礼文島や利尻島を旅したことは一度しかない。このエリアは魅力的ではあるが北海道の本土から陸続きで行くことができない離島であるため他のエリアに比べてアクセスが良いとはいえない。それでも一度でも訪れると再び訪れてみたくなるような魅力に満ちている。

本稿で用いた写真は古いネガフィルムを市販の普及品スキャナーでデジタル化したものであるため、鮮明さを欠いている。最新の画像を使用していないことをご容赦頂きたい。近い将来、再訪した際にupdateしたいと思う。


【参考資料】
姫沼 | 北海道Style
オタトマリ沼 | 北海道Style
甘露泉水 | 北海道Style
沓形岬公園 | 利尻島|りしぷら RISHIRI PLUS
久種湖 (くしゅこ) – 宗谷QRサイト
スコトン岬【公式】北海道の観光・旅行情報サイト
桃岩展望台 | 北海道Style
桃岩展望台 | 北海道礼文町
桃岩展望台コース | 北海道礼文町
岬めぐりコース | 礼文島トレイルオフィシャルウェブ
礼文滝コース | 北海道礼文町
パンケ沼 | 北海道Style
宗谷岬【公式】北海道の観光・旅行情報サイト
ノシャップ岬【公式】稚内・利尻・礼文の観光WEBサイト