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近畿最大規模の松林と海食崖の煙樹海岸県立自然公園

はじめに

煙樹海岸【えんじゅかいがん】県立自然公園は、和歌山県が紀伊半島中部に位置する海岸に指定した自然公園である。主たる指定区域は日高川河口部から煙樹ヶ浜【えんじゅがはま】を経て日ノ御埼【ひのみさき】に至る弓形の海岸地形(松林、砂浜、海食崖など)および阿尾湿地(湖沼)である。

煙樹ヶ浜は、和歌山県屈指の景勝地として親しまれ、美浜町のシンボル的存在である。煙樹ヶ浜のクロマツ林は、近畿最大規模を誇り、その景観は煙樹海岸県立自然公園の中核をなしている。

日ノ御埼は、紀伊半島の最西端に位置する岬で、突端には白亜の紀伊日ノ御埼灯台が建っている。

煙樹ヶ浜の後背山地である西山は、煙樹ヶ浜と日ノ御埼を望む展望台として最適地である。

一方、阿尾湿地は、生物多様性の観点から重要度の高い湿地であり、適正な保護と利用を図ることが必要とされ、県立自然公園に指定されている。

このようなバリエーションに富んだ煙樹海岸県立自然公園に行くのは初めてであり、どんな旅になるか楽しみである。

目次
はじめに
煙樹ヶ浜
西山
日ノ御埼
阿尾湿地
あとがき

煙樹ヶ浜

煙樹ヶ浜【えんじゅがはま】は、日高川河口から約4.5kmにわたって弓なりに続く砂利の海岸である。海岸の背後には、初代紀州藩主の徳川頼宣【とくがわよりのぶ】の命により防潮林として植林されたクロマツの松林が広がる。

煙樹ヶ浜の名称の由来は、クロマツの松原の彼方に白波が煙っている様からであるとされる。煙樹ヶ浜の松林は、幅は最大で約500m、全長が約4kmで、近畿最大規模を誇るという。

煙樹ヶ浜は、美浜町の観光シンボルとなる非常に優れた景観を呈しているほか、夕陽が美しい場所としても知られている。

美浜町にある潮吹岩は、満潮時や波の高い時に岩の隙間から海水が噴き出し、その高さは15mにも達するという壮観さがある。また、日高川河口には全国有数のハマボウ群落が見られ、御坊市の天然記念物に指定されている。

名 称煙樹ヶ浜(煙樹ヶ浜憩いの広場)
所在地和歌山県日高郡美浜町吉原~和田
駐車場あり(無料)
Link煙樹ヶ浜 | 和歌山県公式観光サイト
煙樹海岸県立自然公園 | 和歌山県
煙樹ヶ浜(御坊~みなべ)

日ノ御埼

日ノ御埼【ひのみさき】は、紀伊半島の最西端に位置し、紀伊水道に突き出た岬である。日ノ御埼の突端には、白亜塔形の大型灯台である紀伊日ノ御埼灯台が建っている。

日ノ御埼は、起伏に富んだ海食崖であり、崖の上にはウバメガシなどの植生が見られる。

海食崖と美しい砂浜海岸からなる海岸景観には絶景という言葉が相応しい。高台から望む紀伊水道も絶景で、海に沈む夕陽を素晴らしいという。

名 称日ノ御埼紀伊日ノ御埼灯台
所在地和歌山県日高郡日高町阿尾 紀伊日ノ御埼灯台
駐車場あり(無料)
Link紀伊日ノ御埼灯台(日の岬)|和歌山情報サイト – ぐるわか

西山

西山【にしやま】(標高329m)は、煙樹ヶ浜の後背山地である。山頂は、展望台や休憩所が設置された、四季折々の草花が楽しめる緑地公園として整備されている。

頂上からは、南側の眼下に煙樹ヶ浜、東側に日高平野、西側に比井崎海岸と紀伊水道が一望できる。晴れた日には遠く大鳴門橋や四国まで望めるという。

名 称西山
所在地和歌山県日高郡日高町・美浜町 
駐車場あり(無料)
Link煙樹海岸県立自然公園|エリアガイド

阿尾湿地

阿尾湿地【あおしっち】は、汽水性の潟湖【せきこ】で、ヨシ(別名:アシ)が広がる湿原である。通称では「不毛」【ふけ】と呼ばれ、規模は和歌山県内最大(約15ha)の広さを有する。

トンボ類の宝庫として知られ、アオヤンマやハネビロエゾトンボなど貴重な生物が生息しているという。

また、渡り鳥の中継地としても知られている。野鳥観察小屋が設置されているので、鳥類の観察もできるらしい。

名 称阿尾湿地
所在地和歌山県日高郡日高町阿尾1050
駐車場あり(無料)
Link県が阿尾湿地を園地整備 – 日高新報

あとがき

紀伊日ノ御埼灯台は、2017年に建て替えられた灯台で、外観は比較的新しくて綺麗な白亜の灯台である。しかし、初点灯は明治28年(1895年)1月25日であるから、約130年の歴史を有する。その間、昭和20年(1945年)の終戦時には戦災で消失の憂き目にあったが、昭和26年(1951年)には再建されている。現在地に建て替えられた理由は、元の灯台の敷地に崩落の恐れがあったためであるとされる。日ノ御埼は紀伊半島の最西端に位置する岬で、この灯台は紀伊水道を航行する船舶の安全に寄与している。

この灯台を訪れた機会に、煙樹海岸県立自然公園の一部になっている煙樹ヶ浜にあるクロマツ林に立ち寄ろうとしたが、広大過ぎて何処を訪れれば良いのか分からないほどであった。やはり行き当たりばったりで訪ねても本当の良さを十分に味わうことができなかった。結局、事前準備をしっかりして、出直すことにした。

次の機会には、西山阿尾湿地を含めて、煙樹海岸県立自然公園をゆとりをもって訪ねてみたいと思う。


【参考資料】
煙樹海岸県立自然公園|エリアガイド|和歌山県立自然公園
煙樹海岸県立自然公園 | 和歌山県
煙樹ヶ浜(御坊~みなべ)
県が阿尾湿地を園地整備 – 日高新報
紀伊日ノ御埼灯台(日の岬)|和歌山情報サイト – ぐるわか